俺の高校生活に平和な日常を
第11章 #57「サキさん家」
---「すいません。予報確認し忘れてました」
「いや、こっちこそすいません。わざわざ家に上げてもらって」
突然の雨が降り、俺とサキさんは慌ててサキさんの家に向かった。幸いなことにちょうどサキさんの家の近くまで来ていたらしく、走って2、3分ぐらいで三角屋根がついた木造の一軒家に到着した。どうやらここがサキさんの家らしい。なんか可愛らしい家だな。
家に着くと、サキさんのご好意で家に上げてもらうことになった。
家の中に入ると、雨で濡れて冷えた身体をあったかくしてくれるほどの暖かな室内が迎え入れてくれた。
「今、タオル取って来ますね」
「あっ、はい」
サキさんは家に入るとすぐにタオル取りに行くと、1分ほどで戻ってくるとドアの近くで棒立ちしていた俺にバスタオルを渡してくれた。バスタオルからほんのりいい匂いがした。
「カズヒコさん、こっちにタオル敷いて置くので座って下さい。お茶淹れますんで」
「あっ、どうも」
サキさんは俺にバスタオルを渡すと、もう1枚のバスタオルを自分の頭に被せ、もう1枚を木の椅子の座る部分に敷いて俺に座るよう促し、お茶を準備しようとキッチンの周りを忙しなく動いていた。どことなくギルドでも見たことあるような光景だ。せっかく仕事から解放されたというのに突然の来客のためにまた働かされているのかと思うとサキさんに対して申し訳ない気持ちでいっぱいになりそうだ。雨が止んだら早めに帰ろう。
---「どーぞ。アルディーン特産のオイマア茶です。ニホンの方にこの国のお茶が口に合うかどうか判らないんですけど」
「い、いただきます!」
しばらくすると、俺の前にティーカップが置かれた。カップの中からは紅茶のようなほのかに甘い香りがした。
「…これおいしい」
一口飲んでみると、甘味と温かさが口の中に広がっていった。どうやらこのお茶は日本の紅茶みたいなもののようだ。
「お口に合って良かったです」
俺がボソリと感想を零すと、サキさんはホッと胸を撫で下ろした。そんなに気になってたのかな?
「今、お風呂も沸かしているので入っていって下さい」
「…へっ?!」
二口目を飲もうとしたそのとき、サキさんの一言に驚きのあまりティーカップを持った手がピタッと止まった。今、お風呂って言ったのか?
「い、いやいやいや! さすがにそこまでしてもらわなくてもいいですよ!?」
「何言ってるんですか?! このまま濡れた服と身体で返す訳には行きませんよ!? 翌日体調でも崩されたら私の責任です! 冒険者さん達をサポートするのが私達ギルド職員の仕事です! それなのに冒険者さんの体調を悪化させてしまうなんてこと…」
「それで言うならサキさんこそ早く入った方がいいですよ!? 元はと言えばこっちが半ば強引に付いて来たんだし、なによりサキさんの方こそ翌日風邪でも引いたら仕事行けないじゃないですか?! そうなればギルドの人達も困ると思います。俺なんか新米冒険者よりギルドの職員さんの方が優先順位高いはず。だから、サキさんの方が入ってください。俺はこれ飲んだら帰りますから」
「お客さんを濡れたまま帰す訳には行きませんよ!? 雨だってまだ降ってるじゃないですか?! 雨が止む前まで居て貰っても構いませんからその間に入っちゃって下さい! 洗濯と乾燥は私がしておきますから」
「いや、だからですね…」
さすがにそこまではと遠慮してサキさんに譲ろうとしたのだが、サキさんが思いの外引こうとしない。独身女性の家の風呂なんてなんか気恥ずかしくて入れないのだが。
そのせいでしばらく入浴を譲り合う俺とサキさん。もう1人居ればダ◯ョウ倶楽部みたいなノリでなんとかなったかもしれないが。いや、この世界じゃそのノリ通じねーか。
「…それじゃあ、こうしませんか?」
お互い譲り合って決着がつかなくなったそのとき、サキさんからなにやら提案があるようだ。
「一緒に入りましょう!?」
「いや、こっちこそすいません。わざわざ家に上げてもらって」
突然の雨が降り、俺とサキさんは慌ててサキさんの家に向かった。幸いなことにちょうどサキさんの家の近くまで来ていたらしく、走って2、3分ぐらいで三角屋根がついた木造の一軒家に到着した。どうやらここがサキさんの家らしい。なんか可愛らしい家だな。
家に着くと、サキさんのご好意で家に上げてもらうことになった。
家の中に入ると、雨で濡れて冷えた身体をあったかくしてくれるほどの暖かな室内が迎え入れてくれた。
「今、タオル取って来ますね」
「あっ、はい」
サキさんは家に入るとすぐにタオル取りに行くと、1分ほどで戻ってくるとドアの近くで棒立ちしていた俺にバスタオルを渡してくれた。バスタオルからほんのりいい匂いがした。
「カズヒコさん、こっちにタオル敷いて置くので座って下さい。お茶淹れますんで」
「あっ、どうも」
サキさんは俺にバスタオルを渡すと、もう1枚のバスタオルを自分の頭に被せ、もう1枚を木の椅子の座る部分に敷いて俺に座るよう促し、お茶を準備しようとキッチンの周りを忙しなく動いていた。どことなくギルドでも見たことあるような光景だ。せっかく仕事から解放されたというのに突然の来客のためにまた働かされているのかと思うとサキさんに対して申し訳ない気持ちでいっぱいになりそうだ。雨が止んだら早めに帰ろう。
---「どーぞ。アルディーン特産のオイマア茶です。ニホンの方にこの国のお茶が口に合うかどうか判らないんですけど」
「い、いただきます!」
しばらくすると、俺の前にティーカップが置かれた。カップの中からは紅茶のようなほのかに甘い香りがした。
「…これおいしい」
一口飲んでみると、甘味と温かさが口の中に広がっていった。どうやらこのお茶は日本の紅茶みたいなもののようだ。
「お口に合って良かったです」
俺がボソリと感想を零すと、サキさんはホッと胸を撫で下ろした。そんなに気になってたのかな?
「今、お風呂も沸かしているので入っていって下さい」
「…へっ?!」
二口目を飲もうとしたそのとき、サキさんの一言に驚きのあまりティーカップを持った手がピタッと止まった。今、お風呂って言ったのか?
「い、いやいやいや! さすがにそこまでしてもらわなくてもいいですよ!?」
「何言ってるんですか?! このまま濡れた服と身体で返す訳には行きませんよ!? 翌日体調でも崩されたら私の責任です! 冒険者さん達をサポートするのが私達ギルド職員の仕事です! それなのに冒険者さんの体調を悪化させてしまうなんてこと…」
「それで言うならサキさんこそ早く入った方がいいですよ!? 元はと言えばこっちが半ば強引に付いて来たんだし、なによりサキさんの方こそ翌日風邪でも引いたら仕事行けないじゃないですか?! そうなればギルドの人達も困ると思います。俺なんか新米冒険者よりギルドの職員さんの方が優先順位高いはず。だから、サキさんの方が入ってください。俺はこれ飲んだら帰りますから」
「お客さんを濡れたまま帰す訳には行きませんよ!? 雨だってまだ降ってるじゃないですか?! 雨が止む前まで居て貰っても構いませんからその間に入っちゃって下さい! 洗濯と乾燥は私がしておきますから」
「いや、だからですね…」
さすがにそこまではと遠慮してサキさんに譲ろうとしたのだが、サキさんが思いの外引こうとしない。独身女性の家の風呂なんてなんか気恥ずかしくて入れないのだが。
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