俺の高校生活に平和な日常を

ノベルバユーザー177222

第11章 #50「イブリートさんとナターシャさん」

 ---「へー。イブリートさん達はお隣の国から来られたんですか?」

 「そや。つっても2人とも出身はもっと別の国なんやけどな。ワイらは今あちこちの国を回って旅しとるんや」

 ギルドに向かう道中、お互い軽く自己紹介をすることにした。

 トカゲの人はイブリート・ドラゴニクス。ジョブは剣士(ソードマスター)で竜人族の生まれらしい。トカゲではなく竜だったようだ。

 そして、フードを被った人はナターシャ・ナナキュリオス。声でなんとなくわかっていたが、女性のようだ。フードを深く被っているせいで顔がよく見えなかったが。

 ジョブは弓使い(アーチャー)らしいが、さっきの回復魔法のようなアーチャーでは覚えないようなスキルまで覚えているらしい。ナターシャさん曰く、『回復魔法を使える人に教えてもらった』とのことだ。どうやらこの世界では人に教えてもらえれば本来覚えないスキルも覚えれるようだ。

 その話を聞いていると、俺でも戦闘の役に立つかもしれないという希望が湧いてきた。簡単なことではないだろうが、いつまでも傍観しているわけにはいかない。今回の件もあるし、戦えずとも梓みたいにサポートできれば少しはマシになるだろう。

 2人はアルディーン国の出身ではないらしく、他所の国から来たらしい。しかも、アルディーン国に着いたのはつい数日前とのことだ。

 そんななか、ギルドに向かう道中俺達を偶然見つけ助けてくれたらしい。ほんとうに不幸中の幸いだったようだ。

 「それにしてもお前さんら、災難やったのお。あのレベルのモンスターが街の近くに出る確率はけっこう低いんはずなんやけどなあ。お前さんら、運ないのお」

 「ははは、そう、みたいですね…」

 イブリートさんが言うにはあのモンスターは低確率でしか出てこないらしい。俺のラックはそこそこあるはずなのだが、強運の持ち主ではなく凶運の持ち主だったとはな。そう考えると半分笑い話にしようとするイブリートさんの話に愛想笑いでしか返せなかった。こっちからすれば笑い話ではすまないんだけどな。

 「けど、間に合ってよかった。あと少し遅れてたらカズヒコとアリサは間違いなく殺されてた」

 一方、ナターシャさんは俺と背中に背負っている有紗を見て、救えてよかったと安堵の声を漏らした。口調は冷静でフードで表情が見えないから本心なのかどうかはわからないが。

 ファサ

 「あっ」

 そのとき、不意に強い向かい風が吹き、ナターシャさんのフードが取れてしまった。

 すると、ナターシャさんの顔が初めてあらわになった。

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