俺の高校生活に平和な日常を

ノベルバユーザー177222

第11章 #49「2人の冒険者」

 「待て。そんな警戒せんでもええよ」

 「?」

 俺達が物音がする方に身構えていると、トカゲみたいな人が俺達を落ち着かせようとした。

 「ようやく追いついた」

 「随分と遅かったやないか」

 「後ろで援護しようとしてたの。まあその前に倒されたけど」

 「それはお気の毒に」

 そのとき、草むらからフードを被った人が現れ、トカゲの人に向かって話しかけてきた。会話から察するにトカゲの人のお仲間のようだ。

 「…その子、重傷みたいね」

 「おう。頼めるか?」

 「言われなくても分かってる」

 フードを被った人は現れるや否やすぐに状況を理解し、有紗のところに向かって行った。

 「ちょっと失礼。代わって貰えるかしら?」

 「え? あっ、はい」

 フードの人は横になっている有紗の前に座ると、梓に治療を代わって欲しいと言ってきた。梓は言われるがままにその人に治療を代わってもらっていた。

 「ヒールマジック・ライフアクテビティ」

 そして、フードの人は梓と同じ回復魔法を有紗に掛けた。てっきりもっとすごい効く回復魔法があるのかと思った。

 「ッ!?」

 そう思っていたときだった。有紗の腹部の傷がものすごい早さで塞がっていく。さっき梓がしたときは数分掛かっても塞がる気配はなかった。

 しかし、フードの人は同じ魔法を使っているにもかかわらず、わずか数秒で有紗の傷を塞いだのだ。

 「レベルの差やな」

 「えっ?」

 俺達がその光景に驚いていると、トカゲの人が俺達の疑問に答えるかのように喋り始めた。

 「この世界じゃあ同じ回復魔法でもレベルの差で回復量とかが変化するんや。オモロいやろ?」

 「そ、そうなんですか」

 こんな状況でおもしろがっている場合ではないが、また1ついいことが聞けた。この世界にはちょっと変わったシステムがあるんだな。

 「とりあえず傷は塞いだわ。今は肉体的疲労で眠ってしまっているけど、しばらくすれば目が覚めると思うわ」

 「本当ですか?! よかったー」

 フードの人は治療を終えると、俺達にそう説明してくれた。それを聞いて梓は安堵の声を漏らした。俺もそれを聞いて安心した。

 「色々ありがとうございます。なんとお礼を言ったらいいか」

 「かまへんかまへん。それよりギルドに今回の件報告せんといけんやろ。自己紹介がてら一緒に行こうや」

 「は、はい!」

 みのりが礼を言うと、トカゲの人は手を小さく手を振り、気にするなと言ってくれた。

 その上、ギルドまで一緒に来てくれるようなので、2人の冒険者と共にギルドまで行くことにした。

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