俺の高校生活に平和な日常を

ノベルバユーザー177222

第11章 #20「時間の概念がない世界」

 ---「へぇー、ここって時間とかってないんですね」

 歩きながら話していると、この世界のことについて色々知ることができた。

 なかでも驚かされたのは、この世界には時間という概念がないんだそうだ。日の傾き加減で朝・昼・夕・夜を決めているそうだ。意外とその辺大雑把なんだな。

 そう言われてみてふと自分のスマホの時間を確認してみたが、時間どころか日付だけでなく画面に表示されている文字すべてが文字化けしてしまっていた。まあ考えてみれば向こうの世界の時間がこの世界と同じなわけないのだろうが、まさか文字化けしてしまうとはな。

 「ああ、そうだな。この『日傾計(ひけいけい)』といって、君達の世界でいうところの『とけい』というものと似たような役割を果たしてくれる」

 シルヴィアさんはそう話しながら腕に付けてあったものを俺達に見せてきた。

 一見、OLが付けていそうな小さい腕時計のように見えるが、時計盤部分のところには小さくて丸いガラスが付けてあり、そのガラスの中には白い光が光っていた。

 「これは魔法具の1つで誰にでも簡単に入手出来る代物だ。今光っている白い光が昼を指していて、朝は黄色、夕は橙色、夜は黒色に変色する仕組みになっている」

 「へー、おもしろいですねー」

 シルヴィアさんは日傾計を見せながら説明をすると、みのりから素直な感想が溢れ出た。たしかに中々おもしろい仕組みだな。

 「日傾計はこういう小さい物だけでなく、壁に掛ける大きい物や据え置き型の物もあるし、デザインも色々あるから機会があれば今度一緒に皆に合うやつを探してみようか」

 「それいいですね!?」

 俺達が日傾計を興味津々で見ていると、シルヴィアさんはそんな提案が出てきた。その提案に梓はうれしそうに賛同した。まあこの世界にいる間は必要にはなるだろうしな。なにも言わなかったが、俺は心の中で梓と同様に賛同していた。

 「けど、時間がわからないのって、ちょっと不便ね」

 そんななか、有紗は唐突に皮肉めいたことをボソリと言い出した。まあたしかに有紗の言う通り、時間がわからないというのはちょっと、いや、けっこう不便になりそうだ。

 例えば、待ち合わせする際、『どこ』でかはいいとして『いつ』というのが問題になってくる。

 『明日の朝、◯◯で待ち合わせね』と言われても、朝なんて俺達がいた世界なら大体6~11時ぐらいのことを言うんだぞ。下手したらけっこう待たされるぞ。

 「確かに君達には少々不便に思うかも知れないだろうが、そのうち慣れてくるだろうさ」

 しかし、そのうち慣れるだろうとシルヴィアさんが言うのだが、そんなものなのだろうか?

コメント

コメントを書く

「コメディー」の人気作品

書籍化作品