俺の高校生活に平和な日常を

ノベルバユーザー177222

第11章 #16「報酬」

 「それで? 報酬の方は?」

 「ッ!?」

 そのとき、有紗がまさかの発言をし、俺も含めて周りにいた人達が驚愕した。

 「ちょっ、ちょっと夏目さん…」

 「有紗ちゃん、こんな状況でその話は…」

 有紗の今の発言にみのりと梓は撤回させようとするが、有紗の表情は至って真剣だった。

 「あのねー、これは道に迷った人に道案内してあげたり、重そうな荷物を持った年配者に手を貸したり、そういうボランティア精神でできるような話じゃないのよ!? それに、これは依頼よ。依頼を出すならちゃんと見合った代価を払わないといけないものなのよ!?」

 「そ、それはたしかにそうですけど…」

 「でも、今ここでするような話じゃあ…」

 有紗がため息混じりにそう言うと、2人は言葉を詰まらせてしまった。ひょっとすると、殺し屋稼業をしているから、その手の話には慣れているのかもしれない。

 しかし、今の発言は時と場所を考えるべきだと思った。この国で1番偉い国王とその次に偉い聖騎士長が頭を下げてるんだから。

 「うむ。それはもっともだ。勿論、この国を救ってくれた暁にはそれに見合った代価を払う事を約束しよう」

 「具体的には?」

 国王が報酬を約束してくれたにもかかわらず、有紗はさらに報酬の内容まで聞いてきた。有紗のやつ、国王相手によく物怖じせずにそんなことが言えるな。

 「それなら、君達が決めるというのはどうだろうか? 君達がこの国を救っただけの価値がある物を報酬として出そう。如何でしょうか、国王?」

 「うむ。そうだな。望みがあるのなら、私達が出来るだけ叶えてみせよう」

 だが、思いの外話は進み、シルヴィアさんの提案でこの国を救っただけの価値がある物を報酬として支払ってくれるようだ。

 しかし、そんなことを言われても困ってしまうのが現状であった。一国の危機を救っただけの価値がある物なんて考えもつかない。みのりと梓も俺と同じように困惑の表情を浮かべていた。

 財宝なんて興味ないし、地位と名誉なんてもってのほかだ。

 「そう。なら、1つだけあるわ」

 「えっ?!」

 俺達3人がただただ困惑しているなか、有紗はすんなりと決めた。思わず俺達3人は目を丸くしていた。一体、なにを報酬でもらうつもりなんだ?

 「聞こう」

 一方でシルヴィアさんは真剣な眼差しで有紗に話を促した。いつのまにか周りにいる兵士の人達は固唾を飲んで有紗を見ていた。

 「私達がこの依頼を達成した場合、『私達を無事に元の世界に帰すこと』。それが報酬よ」

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