俺の高校生活に平和な日常を

ノベルバユーザー177222

第11章 #8「異世界転移」

 「い、異世界?!」

 俺は最初、その言葉の意味が理解できなかった。

 「はい! あなた達は俗に言う『異世界転移』させられたんですよ」

 「……」

 人は突如夢が叶ってしまうと思考が停止してしまうものなのだろうか? 少なくとも俺はそうなってしまっている。

 ラノベに影響を受け、『異世界とか行ってみてーなー』とかバカみたいなことを現在進行形で夢見ていた俺。

 異世界行ったらどんな能力が欲しいかとかアホみたいなことを丸岡と話し合ったりもした。まあ大体自分で考えたチート能力とかが出てくるけどな。

 それほどまでに行きたかった念願の異世界に来れた俺なのだが、正直言うと嬉しい気持ちにはなぜか全然ならなかった。

 「…異世界、ですか。あんまり実感が湧きませんね」

 隣にいたみのりは渋い表情を浮かべなが独り言のようにボソリと呟いた。

 たしかにみのりの言う通り、異世界に来たという実感はまるでない。なにもない大草原だし、マルクスさんも普通の人間に見えるしな。

 「そんなこと、どうでもいいわよ!?」

 「ッ!?」

 俺とみのりがそんな疑問を感じていると、痺れを切らしたかのように有紗が立ち上がった。

 「要するにアンタがあの変な空間作って私達をこんなところに飛ばしたってことでしょ?」

 「え、ええ。そうですね。あなた達をここに転移させたゲートは私達が作ったものですけど」

 有紗はマルクスさんに問い詰めてきた。マルクスさんは若干物怖じしながらも有紗の質問に答えた。私『達』ということは、他にも協力者がいるということか?

 「なら、元の場所に帰せることも出来るでしょ? とっとと帰してくれない? こんなところにいつまでも居たくないし」

 有紗は答えを聞くと途端に強気な態度でマルクスさんに元の場所に帰せと命令し出した。まあ言いたいことはわからんでもないが。

 「あー、それがですねー…」

 すると、マルクスさんは言葉を詰まらせた。なにかしらの目的で俺達を呼び出したのに、いきなり帰すわけにもいかないのだろう。

 マルクスさんの気持ちもわかるが、俺も正直そろそろ帰りたいと思い始めている。気になることは山ほどあるが、めんどうなことに巻き込まれそうだし、帰れることなら早く帰りたい気もしてきた。

 「あなた達を呼び出すために使った転移装置がこの度天寿を全うされまして…」

 「天寿を全うされたって、それって…」

 マルクスさんは若干口を濁すような言い方で説明するが、それってつまり…

 「ぶっ壊れちゃいました☆(・ω<)」

 マルクスさんからまさかのてへぺろが出た。

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