俺の高校生活に平和な日常を

ノベルバユーザー177222

第9章 #10「まさかの有紗が…」

 「ミ、ミスコン!?」

 みのりから出た言葉に思わず俺の方が驚いてしまった。有紗も言葉にはしないが、眉間にシワを寄せていた。あきらかに驚いているようだ。

 それにしてもミスコンなんてウチの学校にあったんだな。

 「後夜祭のプログラムの1つに入ってるんですけど、参加人数がちょっと少なくって。それで今、運営委員が女子生徒に声をかけて人を集めてるんですよ」

 「へー、そうなんだ」

 しかしみのりの話を聞いて俺は納得させられた。たしかクラス委員長は全員強制的に学園祭運営委員に入れられるようになっている。

 学園祭運営委員とはその名の通り、学園祭を運営するためだけの委員会だ。学園祭は基本生徒達だけで動かさなければいけないからな。

 運営委員は学園祭を滞りなく進めなければならない義務がある。もちろん後夜祭も含まれている。

 みのりはその後夜祭のイベントの1つであるミスコンの人集めのために有紗に声をかけてみたようだ。どうやらミスコンの参加人数が少なくって運営側としては困っているようだ。

 「このままだとスケジュールに穴が空いちゃいそうなんですよ」

 「だからって、なんで私なのよ? 人数集めなら他の人に頼めばいいでしょ?」

 しかし有紗は嫌そうな表情を浮かべた。そりゃあいきなりそんなこと言われても困るよな。いや、有紗の場合は純粋にミスコンに出るということ自体が嫌なんだろうが。それともみのりになにか頼まれることが嫌なのか? 流石にそれはみのりがかわいそすぎるだろ。

 「いちおう他の人にも声をかけてみたんですけど、断られちゃって」

 「じゃあ私が断るのも分かりきってたんじゃないの?」

 みのりが事情を説明しても皮肉混じりに言い返す有紗。最初はなから有紗がミスコンなんかに出るわけがないとは思ってだけどな。

 「実は、こんな話があるんですけど」

 「アンタ、人の話聞いてんの?!」

 しかしみのりは有紗の皮肉など意にも介さず、有紗の耳元でなにかを囁き出した。一体なんの話をしているのだろうか?

 「…ッ!?」

 すると再び有紗の眉間にシワが寄った。けど、さっきと様子が違うように見えるのは、俺の気のせいだろうか?

 「…それ、本当なんでしょうね?」

 「聞いた話ですけど、信憑性はあると思いますよ」

 「……」

 すると有紗はなにかの確認を取り出した。それにみのりは頷き返した。

 そして有紗は黙って考えこみ出した。アレ? ひょっとしてこの展開…

 「…し、仕方ないわね。今回だけ、アンタの頼み、聞いてあげるわ」

 ---こうしてまさかの有紗がミスコンに参加することになったのだった。

コメント

コメントを書く

「コメディー」の人気作品

書籍化作品