俺の高校生活に平和な日常を

ノベルバユーザー177222

第8章番外編 #18「私の決心」

 ---「ッ!? ハア…ハア…ハア…」

 息が苦しくなったのを感じた私は慌てて湯船から顔を出した。

 どうやら昔のことを思い出していたせいで気づかないうちに湯船の中に潜ってしまっていたようだ。危うく湯船で溺れ死ぬところだった。

 ---「…ハア…」

 呼吸を整えなんとか落ち着いた私は天井を見上げながらため息をついていた。

 「…なんでよりにもよってあのときのことを思い出しちゃったのかな、私」

 そう呟きながらも本当はわかっていた。きっと、今日の出来事があのときのことを思い出させてしまったのだ。

 また司のことがバレてしまった。またあのときのように狂気の表情を浮かべられ、罵詈雑言を浴びせられると思った。

 だから私はスタンガンで彼を気絶させようとした。記憶喪失は頭に、正確には脳に強いショックを当てると起こってしまうという話をどこかで聞いたことがある。本当かどうかは知らないが。

 なら人を気絶させられるほどの電力を持ったスタンガンなら記憶をなくさせることが可能なのではないかと私は考えた。

 だがしかし、私は失敗してしまった。夏目さんが止めに入ったというのもあるが、きっと、止めに入られなくても失敗していたと思う。

 なぜかというと、私はためらってしまったのだ。

 頭ではやらなければとわかっていても実際にやるとなるとこわくてできなかった。

 手が震え、全身が震え、頭が真っ白になった。

 無意識のうちに手が出ていたが、寸前のところでまたためらってしまった。そこを夏目さんに止められた。

 そのとき、私は全てが終わったと思った。きっとあのときのバチが当たったんだと思った。

 「ほんと2人には申し訳ないことしちゃったわね」

 けれど2人はそんな私を受け入れてくれた。あんなことまでしたのにも関わらずに。2人には本当に何度感謝しても足りないほどだ。

 「…今度、2人にはちゃんと話さないといけないわね」

 そこで私は2人に全てを話そうと決心し、2人を家に招くことにした。家なら他の人に聞かれることはないだろうし、あのときは2人に話しきれなかったところがあるから、今度は全てを話して、私のことをちゃんと知ってもらいたかった。

 話すのに勇気がいるし、あの2人が私の話を聞いてどういう反応見せるのだろうかと考えると少し怖いけれど、2人ならきっとそれも受け入れてくれる、ような気がしていた。

 ---そんなことを考えながらも私は湯船から出て行った。明日の準備もあるし、今日は早めに寝よう。

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