俺の高校生活に平和な日常を

ノベルバユーザー177222

第8章番外編 #11「これからも」

 ---「いやー、楽しかったねー」

 そして日曜日、予定通り私と司と彩香の3人でショッピングに出かけていた。

 ショッピングにした理由は、司に似合う服を買ってあげたかったからだ。

 召喚獣には基本的に服なんて必要ないものなのだが、司の存在がバレてしまった以上、普通の人間と同じように接していかなければいけない。とくに彩香の前では。

 しかしこんな日に限っていつ降ってもおかしくないほどの曇り空になるとは。振り始める前に家に着くかしら?

 「2人とも、今日はありがとうっス!」

 「「えっ?」」

 そんなことを考えていると突然、司からお礼を言われた。思わず私と彩香はハモるように声を出し、司の方に視線を向けた。

 「オイラのためなんかにわざわざ休みの日使って、オイラの服買ってくれて。オイラ、今日のこと、絶対に忘れないっス!」

 「司…」

 どうやら司は今日のショッピングがとても楽しかったようだ。普通だったら召喚獣に服を買い与えるなんて、ありえない発想だ。

 けど、彩香の一言で気づかされた。側から見れば司はただの人間だ。だから司には普通の人がするようなことをいっぱいさせてあげなければいけない。

 美味しいランチを食べたり、ゲームコーナーでいっぱい遊んだり、洋服コーナーで好きな服を着せてあげたり。

 普通の人が教わるようなことをいっぱい教えてあげなければいけない。

 漢字の読み書きだったり、算数の計算だったり、日本の歴史だったり。

 普通の人が行くようなところをいっぱい連れてってあげなければいけない。

 コンビニだったり、公園だったり、学校だったり。

 これからは司を普通の人間として扱ってあげたいと私は思うようになっていた。

 だって、司は私の大事な弟なのだから。

 「なに言ってんのさ、司君!?」

 「ッ!? 彩香?」

 しかし、司の一言に彩香は物申すように話に割って入ってきた。思わず私と司は彩香の方に視線を移した。

 「ショッピングならこれからもいっぱいしてあげるよ! 今日のことを忘れちゃうぐらいに!」

 「彩香…」

 すると彩香は笑顔でそう言ってきた。その言葉に私と司は心を打たれた気がした。

 『これからも』、彩香が言ったその言葉の意味は私達にとって、これほどまでに嬉しく思った言葉はなかった。

 「…そうね。これからもショッピングだけじゃなくって、遊園地とか、動物園とかもいいかもしれないわね」

 「そうそう! これからも3人で色んなところ、行こうよ!?」

 「いいっスね! オイラも色んなところ行きたいっス!」

 そう思いながら、私達は和気藹々とした会話をしながら、家路について行くのだった。

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