俺の高校生活に平和な日常を

ノベルバユーザー177222

第7章番外編 #8「今度こそ!」

 ---「あー、かったりー」

 「和彦君、しっかりしてください。夏休みは今日までなんですから!」

 「あんた、本当に大丈夫なの?」

 「お兄ちゃん、麦茶飲む?」

 「……」

 もうこのやりとりを3度も見てきた。あいつの様子もなにも変わってない? そんなバカな。

 タイムループに関する魔法の解除は全て試したはず。一体どうして?

 ---「おやすみなさいイーリスちゃん。また明日ね!」

 結局、最後の最後までなんの変化もなかった。やっぱりおかしい。何一つ変わってないなんて。

 私は家に帰ると今回の件についてあらゆる可能性を考えた。

 一つめはママの書庫にはない別の魔法であること。たしかにママの書庫にある本が全てとは限らない。

 二つめに魔法以外の可能性。前の愛ヶ咲島での一件もあるし、否定できない。

 三つめは私が見落としをしていた可能性。試した解除魔法のどれかに大事なところを見落としてしまっている可能性も見過ごせない。

 「一つめと二つめだとかなりやっかいなことになるわね。とりあえず三つめの可能性を考えてみた方が良さそうね」

 三つの可能性を考えた私はとりあえず、三つめの可能性を試すことにした。一つめと二つめの可能性となるとかなり厳しいところね。

 「けど、見落としてるところなんてあったかしら?」

 私はそう呟きながら、また書庫で同じ本を読み漁っていた。今度は一字一句正確に読んでいた。ひょっとすると、どこか私の解釈が間違っているところがあるかもしれないしね。

 ---「…ウソでしょ?」

 私は大事なことを見落としていた。しかもよりにもよって最後に試したあの解除方法にあった。

 「ってか、なんでわざわざこんなところに書いてるのよ!?」

 その上大事な部分なところが本の最後のページの片隅に『p.s その状態を10秒以上続けること(●´ω`●)♡』などとふざけた感じで書かれていた。思わず本気でキレそうになってしまった。この本の著者、生きていたら殺そうかしら?

 「…また、あんなことをやらなきゃいけないのかしら?」

 そしてあの時の記憶が蘇ってしまった。記憶の片隅の片隅に入れようとしていたというのに。

 ---私は再び、こいつの部屋に戻ってきていた。相変わらずこいつの不愉快な寝顔を見てもなんとも思わなくなってきている。今の私、かなり重症のようね。

 「10秒以上よね」

 私は自分に確認するように呟きながら顔を近づけた。不思議なことに2回目ともなるとためらいがなかった。不愉快なのには変わりないけど。ちなみに魔法のリップはここに来る前にすでに塗っておいた。

 「んっ」

 ためらいもなく私はこいつと2度目の接吻を交わした。しかも今回は前よりも長い。

 ---「ふー、これでまたなにも起こらなかったら、こいつを殺して私の記憶を消してやるわ」

 解除を終えると私は密かにそう決心し、私は家に帰って行った。今度こそ!

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