俺の高校生活に平和な日常を

ノベルバユーザー177222

第7章番外編 #5「解除」

 ---「これもダメね」

 外に出た私はあれこれ試してみた。解除のための術式を作ってみたり、解除魔法を唱えてみたりした。

 しかしどれも効果があるような手ごたえは感じられなかった。まあ効果が効くのに時間がかかったりするだろうし、なによりまだ今日は始まったばかりだ。結局、日付が変わるかどうかは後になってみないとわからない。

 「けど、うまく発動した感じが全くしなかったのよね」

 私はそう呟きながら本の一部をコピーした紙を見ながら再度確認してみた。術式の書き方、詠唱の唱え方、手順などの間違いがないか細かく確認してみることにした。

 「…間違いはなさそうだけど」

 何度確認してみても間違いはなかった。普通なら解除されるとなにかしらの手ごたえを感じるのだけど、その手ごたえを全然感じられない。

 「ということは、どれもハズレってことかしら。となると、あと試していないのは…」

 私はもう一度紙を見てまだ試していないものを確認してみた。とりあえずここに書いてあるものを片っ端から試してみるしかなさそうね。

 「…あとこれだけしかないわね。試してないやつ」

 確認していた私は思わず硬直してしまった。

 よりにもよってあと試していないやつが『異性との接吻』だけだった。1番避けていたやつだから残るのは当然かもしれないが、まさかこれまで試さなければならないとは。

 「……」

 私はしばらく考えていた。なぜこんなふざけたことまでやらなければいけないのかしら?

 ---「…ったく、これでなにもなければあの本、絶対に燃やしてやるわ」

 悩んだ結果、試されざるを得なかった私はアイツの部屋まで来ていた。空間魔法でこっそり入ったものの、バレたらシャレにならないわね。ここまでやらせてなにも成果がなければあの本は燃やしてしまおう。ママには申し訳ないけど。

 「…人の気も知らずによくぐっすりと寝ていられるわねこいつ」

 そんなことを考えながらも私はアイツの方に視線を向けた。ベッドでよだれを垂らしながらぐっすり寝ているアイツの姿を見て妙に腹ただしく感じていた。なんで私がこんな目に会わなければいけないのかしら?

 「これ以上不快な気分になる前にとっとと済ませるわよ」

 そう言って私は紙を取り出し手順を確認してみた。早く済ませないと解除する前にこの男を殺してしまうかもしれない。そうなると他に試すアテがなくなってしまう。それは私としても困る。これをしなければいけないのも充分困りものだけどね。

 そんなことを考えながらも私は最後に残った解除方法を試すことにした。

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