俺の高校生活に平和な日常を

ノベルバユーザー177222

第7章番外編 #1「8月31日(イーリス編)」

 2016/8/31

 ---「イーリスちゃん、いらっしゃい! さっ、中入って入って!!」

 「ん」

 中学最後の夏休みも今日で終わりを迎える。そんな日に私は梓の家に招待されていた。梓は私が来たのを確認すると明るく迎えてくれた。私は促されるように家に入って行った。

 家に入るとすでにいつものメンツがリビングに揃っていた。

 「あっ、イーリスさん。おはようございます」

 私が来たのを知ると須川みのりが私に向かって挨拶してきた。この女は普段から明るい感じで接してくるが、梓とは違いその笑顔になにか裏を感じさせる。まあ敵意は感じないからあんまり気をつける必要はなさそうだけど。

 「ああ。イーリスちゃん、おはよう」

 須川みのりが挨拶した後、今度は夏目有紗が挨拶をしてきた。この女は基本無口で誰に対しても冷静な態度をとったり、どこか私に似ているような気がする。なぜかこの家に同居しているようだが、そこまで私は彼女に興味がないからあんまり気にしないようにしている。いや、しないようにではなくしてないわね。

 「おう。イーリスちゃん、おはよー」

 夏目有紗の挨拶が終わると今度はこの家の主で梓の兄である佐藤和彦が挨拶をしてきた。こいつに関しては言いたいことが色々ありすぎて逆に気にしたくもない。

 「ん」

 皆んなが挨拶してくるから私は短く挨拶を返してあげた。挨拶を返したという意図が伝わればなんでもいいのよ。

 「イーリスちゃん、朝ごはん食べた? 食べてないならトーストでも作るよ?」

 「ん」

 私が挨拶を返し終えると、梓が私に朝食を食べてきたか問いかけてきた。あまりお腹が空いているわけではなかったけど、せっかくの好意だからもらっておくことにした。

 「オッケー! ちょっと待っててね!」

 私が短く返事を返すと梓は慌ててキッチンに戻って行った。なんだか嬉しそうな表情を浮かべていたけど、なにがそんなに嬉しいのだろうか?

 ---「あー、かったりー」

 朝食を食べ終えた後、各々が残っている宿題に集中していた。いや、1人だけしてなかったわね。

 テーブルには各々の宿題が置いてあるが、大半は佐藤和彦このおとこのものだ。どうやらなにひとつ手をつけていなかったみたい。計画性のないバカだという証拠ね。

 「そうだ。終わったらこれやりましょうよ!」

 そんな彼に奮闘させようと須川みのりは持参していたコンビニ袋から花火セットを取り出した。初めからこれを狙ってたのね。用意周到な女。

 ---そしてその日の夜、皆んなで花火をすることになった。あの男も彼女の思惑通りに宿題を終わらせ参加していた。ほんと単純な男ね。

 ---「おやすみなさいイーリスちゃん。また明日ね!」

 「ええ」

 花火を終えた後は各自解散となり、私は梓と別れの挨拶をして帰ることにした。帰った後はお風呂に入り、そのあとはそのままベットに入った。

 今年の夏休みは色々あったけど、かなり充実した夏休みだったと思う。これだけ充実した夏休みを送ったのは初めてかもしれない。

 「……」

 そんなことを思いながら気がつくと私は深い眠りについていた。明日から2学期が始まる…とその時の私はそう思っていた。

コメント

コメントを書く

「コメディー」の人気作品

書籍化作品