俺の高校生活に平和な日常を

ノベルバユーザー177222

第7章 #19「魔術と魔法」

 「世界中の魔力を、吸収?」

 「はい。それがエンドレス・リアルのもう1つの能力です」

 俺はルイスさんの言っていることがまだよく理解できず、小首を傾げた。

 「全ての生き物には微力ながら魔力を宿しています。それを認識し魔術を学べばあなたにだって魔術が使えるようになります。元々魔術師も普通の人間でした。しかし魔力という存在を認識し魔術を学び研究することによって魔術を扱えるようになりました」

 「? 待てよ。さっきからあんたは魔術って言ってるけど、魔法とは違うのか?」

 ルイスさんの説明の中、俺は気になっていることを聞いてみた。ルイスさんはさっきから『魔法』という表現ではなく『魔術』と言っている。

 よくファンタジーものの作品には魔法と魔術の違いを語ったりしているが、作品によっては異なったりする。まあファンタジーなんだから作者それぞれの見解があるのだろうが。

 「そうですね。まずはそこから説明しましょう。魔術とは科学的なものに魔力を加えたもの。例えばライターの火に魔力を加えればガスコンロぐらいの火力を出すことができます。しかし魔法はライターも何も使わずに魔力だけでそれ以上の火力を出すことができます。魔法に関しては魔力が高くなければ扱えません。何もないところから火を出すわけですからね。魔力の消費量は魔術の倍以上、普通の人間なら1発撃つと魔力がからっけつになります。ここだけの話、人間は魔力がなくなると死んでしまうんですよ」

 「ッ!? し、死ぬ?!」

 俺は突然のルイスさんの一言に驚愕してしまった。魔力がなくなると死ぬ? そんなバカなことがあるのか?

 「まあ魔術や魔法を学んでいれば、それぐらいのことはわかるでしょうからそんなバカなことをする人はいないでしょうけど」

 ルイスさんは付け加えるようにそう言った。たしかに普通の人なら自分の中に魔力があることも知らないだろうし、知っていたとしてもそれぐらいの知識はすでに持っているだろう。アレ? まてよ。俺、そんなこと今まで知らなかったんですけど。

 「話を戻しますけど、魔術と魔法との違いはものを仲介して発動させるかどうかですかね。まあものの中に魔力を込めた魔法道具を使えばだれでも魔法は使えますけどね。魔法道具の魔力なんてたかが知れてますけどね」

 「なるほど」

 ルイスさんの説明が終わると俺は1人納得するように頷いていた。魔法と魔術って似ているようだけど、そういう違いがあったんだな。

 「それで? 魔力を吸収してどうするつもりなのかしら?」

 そんな中、イーリスちゃんはルイスさんが話し終わるタイミングを見計らって話しかけてきた。そういえばそういう話をしていたのをすっかり忘れていた。あやうく本来聞きたいことを聞き忘れるところだった。

 「ああ。忘れてましたね。私はある方に頼まれているんです」

 「ある方?」

 「ッ!? あんた、まさか!?」

 ルイスさんが自分の目的を話すとイーリスちゃんはなにかに気づいてしまったようだ。思い当たる節があるのか?

 「そう。あの方、ミージュラ・ヴァーミリオンからですよ! 『魔女っ子殺し』のイーリスさん!!」

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