俺の高校生活に平和な日常を
第7章 #6「花火イベント(前編)」
---「もうそろそろ花火が始まる時間ですね」
存分に楽しんだ俺達は待ち合わせの場所に再び戻り一息ついていた。
時間は夜の9時を回ろうとしていた。花火もその時間帯に始まるらしい。
「どうする? ここからだとあんまり見えないしどっか移動するか?」
俺は途中で買ったベビーカステラを片手にみんなに問いかけるように声をかけた。
「あっ、それなら私、いい場所見つけたよ!」
すると梓が手を挙げた。どうやら花火を見る場所を探してくれていたようだ。
「ホントか? どこにあるんだ?」
「あそこの境内だよ! あそこけっこう暗いから花火見るならちょうど良さそうだよ!」
「なるほど。暗い場所の方が見えやすいか。よしっ! なら急いで行こうぜ! 時間もあんまりないしな」
梓の提案にみんな賛同し、急いで境内の方に向かった。境内まで普通に行ければ10分ぐらいか。ちょうど花火が始まる時間までには着くだろう。
---「…ゔっ! しまった」
しかしそう簡単にはいかないと気づくには少し遅かった。
境内に向かう道には大勢の人だかりが出来ていた。まさに愛咲祭の再来といった感じだ。いや、それ以上か。
「…ひょっとして、また人だかりを抜けなくちゃいけないの?」
それを見て有紗は俺に問いかけるようにそう呟いた。そんな有紗はまるでトラウマを思い出したかのように顔が青ざめていた。
「いや、今回はもっと厄介かもな」
俺は人だかりを見ながら有紗にそう言った。なぜなら人だかりは境内の逆の方に向かっているのだ。
花火が打ち上げられる場所は境内とは反対の方向にある。近くで見たがっている人達がそこに向かおうとしているのだ。
「どうします? 他の場所で見ます?」
するとみのりが他の場所で見ようと提案してきた。たしかにこの人だかりを抜けるにはけっこう時間がかかりそうだ。その上、流れに逆らうのは危険だしな。
「いや」
しかし、せっかくみんなで見る花火だ。それなら1番綺麗に見える場所で見たいという欲求が俺の中にふと湧き上がった。この前は散々な思い出になってしまったしな。いい思い出を作りたいのだ。
「行こうぜ! みんなで綺麗な花火見に!」
「…和彦…」
「和彦君…」
「お兄ちゃん…」
「……」
俺がそう言うとみんなの視線が俺に向いていた。流石に今のセリフはくさかったか?
「そうね。これぐらいなんとかなるわよね!」
「そうですよ! 綺麗な花火を見るならこれぐらいのこと大したことないですよね!」
「みんな一列に並んで手を繋いで歩けば大丈夫ですよ!」
「…別にいいんじゃないかしら」
「…みんな…」
するとみんなが俺の意見に賛同してくれた。みんなの言葉を聞いて俺はちょっと泣きそうになった。そんな姿を見られるのは恥ずかしかったから、視線を逸らしてしまったが。
---こうしてみんなの意見が一致し、俺達は一列に並び手を繋ぎながら少しずつ人だかりを掻き分け境内へと向かって行くのだった。
存分に楽しんだ俺達は待ち合わせの場所に再び戻り一息ついていた。
時間は夜の9時を回ろうとしていた。花火もその時間帯に始まるらしい。
「どうする? ここからだとあんまり見えないしどっか移動するか?」
俺は途中で買ったベビーカステラを片手にみんなに問いかけるように声をかけた。
「あっ、それなら私、いい場所見つけたよ!」
すると梓が手を挙げた。どうやら花火を見る場所を探してくれていたようだ。
「ホントか? どこにあるんだ?」
「あそこの境内だよ! あそこけっこう暗いから花火見るならちょうど良さそうだよ!」
「なるほど。暗い場所の方が見えやすいか。よしっ! なら急いで行こうぜ! 時間もあんまりないしな」
梓の提案にみんな賛同し、急いで境内の方に向かった。境内まで普通に行ければ10分ぐらいか。ちょうど花火が始まる時間までには着くだろう。
---「…ゔっ! しまった」
しかしそう簡単にはいかないと気づくには少し遅かった。
境内に向かう道には大勢の人だかりが出来ていた。まさに愛咲祭の再来といった感じだ。いや、それ以上か。
「…ひょっとして、また人だかりを抜けなくちゃいけないの?」
それを見て有紗は俺に問いかけるようにそう呟いた。そんな有紗はまるでトラウマを思い出したかのように顔が青ざめていた。
「いや、今回はもっと厄介かもな」
俺は人だかりを見ながら有紗にそう言った。なぜなら人だかりは境内の逆の方に向かっているのだ。
花火が打ち上げられる場所は境内とは反対の方向にある。近くで見たがっている人達がそこに向かおうとしているのだ。
「どうします? 他の場所で見ます?」
するとみのりが他の場所で見ようと提案してきた。たしかにこの人だかりを抜けるにはけっこう時間がかかりそうだ。その上、流れに逆らうのは危険だしな。
「いや」
しかし、せっかくみんなで見る花火だ。それなら1番綺麗に見える場所で見たいという欲求が俺の中にふと湧き上がった。この前は散々な思い出になってしまったしな。いい思い出を作りたいのだ。
「行こうぜ! みんなで綺麗な花火見に!」
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「お兄ちゃん…」
「……」
俺がそう言うとみんなの視線が俺に向いていた。流石に今のセリフはくさかったか?
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するとみんなが俺の意見に賛同してくれた。みんなの言葉を聞いて俺はちょっと泣きそうになった。そんな姿を見られるのは恥ずかしかったから、視線を逸らしてしまったが。
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