俺の高校生活に平和な日常を

ノベルバユーザー177222

第6章 #33「救出作戦、決行!」

 ---「…お兄ちゃんに、だだ抱きしめ…ッ!?」

 「?」

 無事たどり着いたものの、さっきから梓の様子がおかしい。ずっとブツブツ独り言を呟いている。声をかけても届いていないみたいだから、放っておくしかないか。

 「どれどれ」

 俺は梓を放置して窓から中の様子を伺うことにした。

 中も学校の体育館と同じで、だだっ広いフロアがあり、そこに気を失った女性達が魚市場のマグロのように並べられていた。そしてその女性達の手足を縛っている島の住人達。慌ただしくしているところを見る限り、まだ調教とかまではされてないようだ。

 「有紗とみのりは…ダメだ。ここからじゃあ誰だかわからんな」

 俺は目を凝らし有紗とみのりを探して見るが、俺の場所からだと遠過ぎて誰が誰なのか、判別が出来ない。その上人が多過ぎて1人1人確認するのに時間がかかる。

 「まああの2人だから、目が覚めればなんとかなるか」

 しかし俺は2人ならきっとなんとかするだろうという安堵感を感じていた。あの2人なら縄で縛られた程度では抑えることなど出来まい。

 「さて、どうしたものか」

 俺は様子を伺いながら次の行動を考えていた。どうにかして中に入りたいが、ここはイーリスちゃんがことを起こすまで待つべきだろうか?

 ドコオォーーーン!!!

 「ッ!?」

 そう考えていた矢先だった。後ろからものすごい爆発音のような音が聞こえてきた。後ろを振り返って見ると、岬の方から煙が上がっているのが見えた。どうやらいいタイミングでイーリスちゃんがことを起こしてくれたようだ。

 「なんだ! どこからだ?! 一体何があった!?」

 すると爆発音に気がついた住人達が慌てた様子で外に飛び出してきた。想定外の事態に皆、パニックに陥っているようだ。

 「あれ見てくださいよ! 岬の方から煙が!?」

 「なんだって?! くそっ、マジで何があったんだよ!? おい、誰か俺と一緒に付いて来い!!」

 すると1人の中年男性がその場にいる人達に付いてくるように促した。そして2、3人ほどその人に付いて行き、トラックに乗って岬の方へと向かって行った。

 「よし! 少しだけだけど、警備が薄くなったな。あっち方はイーリスちゃんに任せて、梓、早く行こうぜ!」

 「ふぇっ?! あっ、はい!」

 俺は今のうちに中に潜入しようと梓に声をかけてたが、梓はまだ少しうわの空だったようで、間の抜けた返事が返ってきた。梓のやつ、大丈夫だろうか?

 ---そして俺達は見つからないように下に降りた後、梓の透明化の魔法でなんとか中に潜入することに成功したのだった。

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