俺の高校生活に平和な日常を
第5章番外編 #7「私の進路」
「私は、今まで何やってたんでしょうか?」
私はひとり愕然としてしまいました。
私の努力は、彼のためにしたこと。努力したこと自体は報われたといっても過言ではありませんが、そもそもの目的を忘れてしまっていました。
人気者になって彼に近づくことが目的でした。皆んなと同じように接し、そこから徐々に距離を縮めようと思っていました。
しかし現実は全く違う方に向いていました。彼とは余計に距離が離れているような気がするのです。
彼と話そうと試みると必ずといっていいほど他の人に邪魔をされ、たまに見る彼の視線は、憧れというより自分とは異なる次元にいる人を見ているかのようでした。
「そういえば、佐藤君は人見知りで少数のお友達としか接しない人でしだっけ?」
私はすっかり彼のことを忘れていたようでした。彼は人見知りなのだから私のように色んな人と接している人とはあまり関わらないようにしている、いや関わるのが苦手なはずでした。色んな趣味を持った100人のお友達を作るより、同じ趣味を遠慮せずに話し合える1人のお友達の方がいいという考えを持つ人でした。
「ひょっとして私、そんなことも忘れてこの3年間、努力してきたんですか?」
そう思った私は初めて自分の間抜けさに気がついてしまい泣きそうになってしまいました。
なぜそんなことに気がつかなかったのでしょうか? 何を考えて今までやってきていたのでしょうか?
「どうしましょう? 卒業まであと半年足らず。今さら彼にお近づきだなんて…」
私にとってそれは進路よりも深刻な問題になっていました。あと半年のうちに彼との接触を試みなければいけません。それにこの時期だと私に試験勉強を教えてもらいたがる子が何人かいたため、そんな余裕など全くありませんでした。
「和彦ー」
「ん?」
「!?」
そんなことを考えていると、彼と彼のお友達の丸岡君が私と廊下ですれ違いになりました。その時、丸岡君は彼に話しかけるところだったようでした。
「高校、どこ行くか決めた?」
「んん? そりゃあ…」
「……」
私はなぜかその会話を固唾を飲んで盗み聞きしていました。半分吸血鬼である私の聴力は本気を出せば500m先にいる人の小声も聞こえます。父のような純血な吸血鬼であればもっと遠い距離まで聞こえるようですが。
彼らが遠ざかっていっても廊下の距離であれば多少離れていてもよく聞こえていました。
私は彼の言葉をしっかり聞いておこうと思いました。なぜか次に出てくる言葉が無性に気になっていたからです。
「地元の高校だろう。偏差値はそんな高くないし、それに他の高校行ってやりたいこととかねーしなー」
「ははっ、だよなー!」
「……」
彼がそう言うと丸岡君は笑いながら彼の意見に同調していました。そして彼らは自分達の教室へと戻って行きました。
私はその会話を聞き終えた後、しばらく廊下で立ち尽くしながら、あることを考えていました。
「ふふっ♡ まだチャンスはあるみたいですね」
すると思わず笑みがこぼれていました。そして私はとある決心をしました。
「私、彼と同じ高校に行きます!」
私はひとり愕然としてしまいました。
私の努力は、彼のためにしたこと。努力したこと自体は報われたといっても過言ではありませんが、そもそもの目的を忘れてしまっていました。
人気者になって彼に近づくことが目的でした。皆んなと同じように接し、そこから徐々に距離を縮めようと思っていました。
しかし現実は全く違う方に向いていました。彼とは余計に距離が離れているような気がするのです。
彼と話そうと試みると必ずといっていいほど他の人に邪魔をされ、たまに見る彼の視線は、憧れというより自分とは異なる次元にいる人を見ているかのようでした。
「そういえば、佐藤君は人見知りで少数のお友達としか接しない人でしだっけ?」
私はすっかり彼のことを忘れていたようでした。彼は人見知りなのだから私のように色んな人と接している人とはあまり関わらないようにしている、いや関わるのが苦手なはずでした。色んな趣味を持った100人のお友達を作るより、同じ趣味を遠慮せずに話し合える1人のお友達の方がいいという考えを持つ人でした。
「ひょっとして私、そんなことも忘れてこの3年間、努力してきたんですか?」
そう思った私は初めて自分の間抜けさに気がついてしまい泣きそうになってしまいました。
なぜそんなことに気がつかなかったのでしょうか? 何を考えて今までやってきていたのでしょうか?
「どうしましょう? 卒業まであと半年足らず。今さら彼にお近づきだなんて…」
私にとってそれは進路よりも深刻な問題になっていました。あと半年のうちに彼との接触を試みなければいけません。それにこの時期だと私に試験勉強を教えてもらいたがる子が何人かいたため、そんな余裕など全くありませんでした。
「和彦ー」
「ん?」
「!?」
そんなことを考えていると、彼と彼のお友達の丸岡君が私と廊下ですれ違いになりました。その時、丸岡君は彼に話しかけるところだったようでした。
「高校、どこ行くか決めた?」
「んん? そりゃあ…」
「……」
私はなぜかその会話を固唾を飲んで盗み聞きしていました。半分吸血鬼である私の聴力は本気を出せば500m先にいる人の小声も聞こえます。父のような純血な吸血鬼であればもっと遠い距離まで聞こえるようですが。
彼らが遠ざかっていっても廊下の距離であれば多少離れていてもよく聞こえていました。
私は彼の言葉をしっかり聞いておこうと思いました。なぜか次に出てくる言葉が無性に気になっていたからです。
「地元の高校だろう。偏差値はそんな高くないし、それに他の高校行ってやりたいこととかねーしなー」
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「……」
彼がそう言うと丸岡君は笑いながら彼の意見に同調していました。そして彼らは自分達の教室へと戻って行きました。
私はその会話を聞き終えた後、しばらく廊下で立ち尽くしながら、あることを考えていました。
「ふふっ♡ まだチャンスはあるみたいですね」
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「私、彼と同じ高校に行きます!」
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