俺の高校生活に平和な日常を

ノベルバユーザー177222

第5章番外編 #2「彼と彼女」

 ---「ふうー」

 湯船に浸かると思わず声が出てしまいました。それだけ疲れていたようです。

 「……」

 湯船に浸かっていると嫌なことなど忘れてふと彼のことを考えていた。

 私がこの事件について調べていた理由は、彼にまで彼女達の手にかかるかもしれないと思っていたからでした。

 彼女達が狙うのはいつも若くて性的行為などしたことないような無垢な童貞さん達ばかり。ただ精気を奪うだけでなく初々しい彼等の反応を見るのが大好きらしいです。

 彼を中学の時から見てきましたが、彼女がいるという話も聞きませんでしたし、なにより彼が特定の女の子と話しをしているところを見たことがありません。というか、女の子と話していること自体、あまり見たことがありません。

 彼はいつも2、3人の男の子達と行動していることが多く、女の子との接点はほぼ皆無に等しかったです。

 そんな彼は彼女達サキュバスにとって格好の餌。次に襲われてもおかしくありません。出来れば彼が襲われる前に探し出したいのですが。

 「いや、彼には夏目さんがいるから大丈夫ですか」

 しかし彼には彼女がいたことを思い出しました。

 夏目有紗さん。中学の時までアメリカに住んでいた、いわゆる帰国子女。

 そんな彼女はいつのまにか彼と仲良くなっていました。女の子と接点がなかった彼とだ。

 彼女自身も彼以外の男の子と話しているところを見たことがありません。いや、そもそも彼女が学校で誰かと話しているところ自体みたことありませんが。

 「……」

 しかしそんな彼女を私は羨ましく思ってしまう。経緯いきさつがどうであれ彼とあんなに早く仲良くなってしまったのだ。

 私は彼と仲良くなる為に色々とやってきたはずですが、今思い返してみると、彼と真逆の生き方をしていたのかもしれません。その点を考えれば彼と彼女は同じなのかもしれません。

 「…ひょっとして、あの2人…」

 そんなことを考えているとふと天井を見上げながら変な想像をしてしまいました。異性とあまり接点のない2人が仲良くしているということは、つまりそういうことなのでしょうか? だとすると私のこの気持ちは…

 「ッ!!」

 色々考えているといつのまにか湯船に顔の半分まで浸かっていました。私は慌てて湯船から顔を出しました。もう少しで窒息するところでした。

 「す、少し長風呂が過ぎましたかね? そ、そろそろ出ましょう」

 湯船でボッーと考え込んでいたからのぼせていたんですよね? 私は自分にそう言い聞かせるように言い放つと風呂から出て行きました。

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