俺の高校生活に平和な日常を

ノベルバユーザー177222

第5章 #25「終結後」

 「っていうか、これからどうするんだ? 今までの事件って全部由佳さんの仕業なんだろう?」

 そして俺はふと倒れている由佳さんを見ながらみのりに一番気になっていたことを聞いてみた。

 今回の連続腹上死事件、犯人は人ではなくサキュバスによるものだった。これを世間に公表すれば大変なことになるのではないだろうか?

 由佳さんはあれからずっとリビングの床で伸びたままになっている。結構みのりの一撃が大きかったのかまだ暫くは動かないだろう。

 「そうですね。ですけど、これ以上私達は関わらない方がいいかもしれませんね」

 「? なんで?」

 するとみのりから意外な言葉が返ってきた。サキュバスの存在を知っていて今回のような腹上死事件を追っていたみのりならその後の処理も考えていると思った。

 だがみのりは関わらない方がいいと言ったのだ。俺は首を傾げて思わず聞き返してみた。

 「たしかに今回の事件は彼女が引き起こしたものでしょう。けれど、サキュバス達からすれば今回の事件の真相を知られるのはかなりやっかいな事になるでしょうね」

 「そうか! 他のサキュバス達が隠蔽しようとしにくるのか!」

 みのりの発言を聞いて俺はみのりのさっきの発言の意味をようやく理解出来た。由佳さんの行動はサキュバスという存在を世間に知られてしまう可能性がある。それは今までひっそりと活動していたサキュバス達にとっては大事件に発達するだろう。

 それを防ぐために由佳さんを回収しにくるはずだ。その時に俺達が居たらややこしくなるだろうしな。

 「そうですね。とりあえずこの件は彼女達に任せましょう。きっと私達が隠すよりかは彼女達の方が上手く隠せるはずですから」

 「うん、そうだな。これ以上、俺達が居ても出来ることもなさそうだしな」

 みのりはそう言ってこの部屋から出ることを促すかのようにこの場を後にした。俺もそれを追うように気を失った有紗をおぶりながら部屋を後にした。

 ちなみにみのりが言うには有紗に吹きかけた夢魔の吐息には催眠効果だけではなく記憶を改ざんされるそうだ。正直、それはありがたかった。

 あんなにあられもない姿を有紗はさらしたのだ。目を覚ました時、それがなければ間違いなく俺の記憶の方が改ざんさせられる。想像するだけで恐ろしい。

 けど、今思い返せば多少惜しいと思うやましい気持ちもあった。あのままみのりが助けに来なければ俺と有紗はどうなっていたのだろうか?

 そんなことを考えながら長かった満月の夜が更けていった。

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