俺の高校生活に平和な日常を

ノベルバユーザー177222

第5章 #24「終結」

 ---「ありがとうみのり」

 ようやく声が出せるようになりまずは第一声にみのりに礼を言った。

 「いえ。なんとか間に合って良かったです」

 それに対しみのりはいつもの笑顔で返してくれた。あの時の怒りをあらわにした表情が幻だったかのようだ。

 「…ごめんなさい」

 「えっ?」

 しかし突然、みのりが俺に向かって謝ってきた。俺は思わず首を傾げてしまった。謝れる理由が思い当たらないのだが。

 「私、実は彼女の存在には気づいてたんです!」

 「!?」

 そんなみのりから思いがけない言葉が出てきた。由佳さんの存在に気づいていた? どういう意味なのだろうか?

 「今朝、腹上死事件の話はしましたよね? 私、その犯人がサキュバスなんじゃないかと思ってたんです」

 気づいていたというのはそういうことか。今思い返してみるとみのりは由佳さんを見てすぐにサキュバスだと言い当てた。

 「でもどこに潜伏しているのかがわからなかったんですけど、和彦君の家の近くから奇妙な呪力を感じたんです」

 「呪力?」

 俺がふと思い返しているとみのりから聞きなれない単語が出てきた。その単語を聞いてなぜか梓とイーリスちゃんが脳裏をよぎった。梓やイーリスちゃんは魔力に精通しているが、魔力とは違うものなのだろうか?

 「呪力は悪魔の類が使う力、魔力に似たようなものですね」

 そんなことを知ってか知らずかみのりが説明をし始めた。

 「彼女が張った結界はその呪力を練って作った呪術の一種だったんです。まああまり強い結界ではなかったんで簡単に破れたんですけどね」

 結界が破れたのはあまり時間がなかったからと由佳さんが言っていたことを思い出した。だからみのりの力で破れたのだろう。一応半分吸血鬼だしな。

 「つまり、その呪力ってのを辿ってあの部屋に行き着いたってことか」

 「そういうことです」

 説明を聞いていて俺はようやく理解した。梓やイーリスちゃんも魔力を探知したりして相手の位置を掴んでいた。呪力もそれとおんなじで探知することが出来る。それをみのりのような吸血鬼には出来るのだ。

 「けど、俺がいるなんて思わなかったんじゃないか? 俺の部屋の隣だけど」

 一つ疑問が晴れた俺は他にも気になっていたことを聞いてみた。

 「それは、女の勘です!」

 しかしその質問に関してみのりは自信満々にそう答えた。女の勘はよく当たるとはいうが、意外とそうなのかもしれんなと不覚にもそう思ってしまった。

 「…けど、よかった」

 「えっ?」

 「い、いえ、なんでもありません!」

 だが、みのりはボソッと何か言った気がするが、みのりは顔を赤らめあたふたとしながらごまかした。どうしたんだ?

コメント

コメントを書く

「コメディー」の人気作品

書籍化作品