俺の高校生活に平和な日常を
第5章 #21「由佳さんの正体」
黒のチュールワンピースを着ているみのりがいつもより大人びて見える。
そして背中に生えている黒い翼が服装と相まって初めて見る姿にもかかわらずあまり違和感を感じさせない。むしろそれがより一層魅力的に見えてくる。
「…その翼、まさか…」
そんなことを思っていると由佳さんはみのりのその姿を見て独り何かを呟いていた。
「あなた、吸血鬼ね!」
そして由佳さんはみのりに向かってそう言い放った。最初はみのりの姿に少し驚いていたようだが、思いのほか飲み込みが早い。
「ええ。そういうあなたは淫魔のサキュバスさんですね!」
「!?」
そしてみのりも由佳さんの存在を知っているようだった。
サキュバス。淫魔、または夢魔と言われるいわゆる悪魔の類だ。男を性行為で誘惑し精気を吸い取ったり中には人を食べたりするのもいるという話を聞いたことがある気がする。まああくまでマンガやラノベの中での話だが。
「ええそうよ。まさか吸血鬼さんがこんなところにいるなんてね」
由佳さんは楽しみを邪魔されたことが不服だったのかみのりの問いかけに皮肉混じりに返す。みのりはあまり気にしていないようだが。
それにしても一体なぜみのりがこんなところに? みのりはあきらかにこの部屋に向かってきていた。まるでこうなることを知っていたかのように。
「まさかあなたも彼を助けにきたってところかしら?」
俺がそんなことを考えていると由佳さんはいつものように不敵な笑みを浮かべながらみのりに問いかける。なんか今の由佳さんの笑みは平静を装う為に無理につくっているように見える。
「ええ、そうですね。2人共、私のお友達ですから。これ以上2人を汚させませんよ!」
「……」
そんな由佳さんの問いかけにそう返すみのりだったが、どこか怒りに満ちたような口調だった。顔も真剣な面持ちだ。こんなみのりを見るのは初めてかもしれない。
「ふふふっ、彼等が友達? 獲物の間違いじゃなくて?」
一方、由佳さんはそんなみのりに対して煽るような発言をしてきた。そんなにみのりの発言がおかしかったのだろうか?
「……」
しかしみのりは眉ひとつ表情を変えない。どうやらみのりは本気のようだ。
「あなた達吸血鬼は人間の血を吸わないと生きていけない種族。私達サキュバスは人間の精気を吸わないと生きていけない。人間を糧にして生きている私とあなたはいわば同種。それなのにあなたは人間を友達だなんて言い出すんだもの。そりゃあ冗談だと思うわよ」
しかし由佳さんはそれを気にも留めず喋り続ける。けど、由佳さんの言っていることは一理あると思ってしまった。
そもそもみのりは俺の血が欲しくて接触してきたのだ。まああの時は有紗が居てくれたからなんとか免れたけどな。
由佳さんの言う通りみのりにとって俺はただの獲物なのかもしれない。みのりは俺の血が欲しいのだ。だから他の人に取られるのが嫌なんだ。だから俺を助けに来てくれたんだ。
俺とみのりは友達であると同時に獲物と捕食者なのだ。
「冗談なんかじゃありません!」
しかしみのりは俺の考えを一蹴するかのように声を荒げた。声を荒げるみのりも初めて見た。
「私にとって和彦君は大事な人です! だから…」
そしてみのりは由佳さんに殺気を向ける。それが俺にも伝わってくる。
「彼を返してもらいます!」
そして背中に生えている黒い翼が服装と相まって初めて見る姿にもかかわらずあまり違和感を感じさせない。むしろそれがより一層魅力的に見えてくる。
「…その翼、まさか…」
そんなことを思っていると由佳さんはみのりのその姿を見て独り何かを呟いていた。
「あなた、吸血鬼ね!」
そして由佳さんはみのりに向かってそう言い放った。最初はみのりの姿に少し驚いていたようだが、思いのほか飲み込みが早い。
「ええ。そういうあなたは淫魔のサキュバスさんですね!」
「!?」
そしてみのりも由佳さんの存在を知っているようだった。
サキュバス。淫魔、または夢魔と言われるいわゆる悪魔の類だ。男を性行為で誘惑し精気を吸い取ったり中には人を食べたりするのもいるという話を聞いたことがある気がする。まああくまでマンガやラノベの中での話だが。
「ええそうよ。まさか吸血鬼さんがこんなところにいるなんてね」
由佳さんは楽しみを邪魔されたことが不服だったのかみのりの問いかけに皮肉混じりに返す。みのりはあまり気にしていないようだが。
それにしても一体なぜみのりがこんなところに? みのりはあきらかにこの部屋に向かってきていた。まるでこうなることを知っていたかのように。
「まさかあなたも彼を助けにきたってところかしら?」
俺がそんなことを考えていると由佳さんはいつものように不敵な笑みを浮かべながらみのりに問いかける。なんか今の由佳さんの笑みは平静を装う為に無理につくっているように見える。
「ええ、そうですね。2人共、私のお友達ですから。これ以上2人を汚させませんよ!」
「……」
そんな由佳さんの問いかけにそう返すみのりだったが、どこか怒りに満ちたような口調だった。顔も真剣な面持ちだ。こんなみのりを見るのは初めてかもしれない。
「ふふふっ、彼等が友達? 獲物の間違いじゃなくて?」
一方、由佳さんはそんなみのりに対して煽るような発言をしてきた。そんなにみのりの発言がおかしかったのだろうか?
「……」
しかしみのりは眉ひとつ表情を変えない。どうやらみのりは本気のようだ。
「あなた達吸血鬼は人間の血を吸わないと生きていけない種族。私達サキュバスは人間の精気を吸わないと生きていけない。人間を糧にして生きている私とあなたはいわば同種。それなのにあなたは人間を友達だなんて言い出すんだもの。そりゃあ冗談だと思うわよ」
しかし由佳さんはそれを気にも留めず喋り続ける。けど、由佳さんの言っていることは一理あると思ってしまった。
そもそもみのりは俺の血が欲しくて接触してきたのだ。まああの時は有紗が居てくれたからなんとか免れたけどな。
由佳さんの言う通りみのりにとって俺はただの獲物なのかもしれない。みのりは俺の血が欲しいのだ。だから他の人に取られるのが嫌なんだ。だから俺を助けに来てくれたんだ。
俺とみのりは友達であると同時に獲物と捕食者なのだ。
「冗談なんかじゃありません!」
しかしみのりは俺の考えを一蹴するかのように声を荒げた。声を荒げるみのりも初めて見た。
「私にとって和彦君は大事な人です! だから…」
そしてみのりは由佳さんに殺気を向ける。それが俺にも伝わってくる。
「彼を返してもらいます!」
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