俺の高校生活に平和な日常を
第5章 #8「隣人のお姉さんにはご注意を」
---気がつくともう夕陽でほとんど沈んで辺りが暗くなり始めていた。色々考え込んでいたらあっという間に時間が過ぎていたのだ。
だが結局、大した言いわけが思いつかず重い足取りで家に帰っていく。はあ、マジで気が重い。
---そんなこんなで自分の家までもう目前だった。もう言いわけを考える気力もなくなっていた。
梓が証人としていてくれればいいのだが、本人が覚えてないかぎりどうしてあんなことになったのかを説明できない。
俺の見たままのことを説明しても信用してくれるかどうか分からない。だから梓の証言が必要になってくるのだ。梓の言葉ならきっと信用してくれるだろう。まあその希望が断たれたわけだが。
---「…アレ?」
マンションの最上階の階段を上がりきると何者かが俺の部屋の隣の部屋の前で立ち尽くしていた。
「……」
その人物は由佳さんだった。タバコを吸いながら黄昏れるように外を眺めていた。その姿は最初に会った時より雰囲気が違って見えた。Tシャツ姿に濡れた髪を下ろし感じがちょっと色気を感じるというか大人っぽく見えるというか、そんな彼女に俺は目を惹かれていた。
「…あっ」
暫く彼女を見ていると彼女は俺に気がついたのかこっちに視線を移してきた。
「ご、ごめんなさい! 別にずっと見てたわけじゃなくて、ついさっきから見てて、いや、そう意味じゃなくて…」
彼女の美しさとその姿を見続けていたという背徳感から焦って訳の分からない弁明をし出した。
「…ふふっ」
「?」
そんな俺を見て彼女は何かが吹っ切れたように笑いだした。そんなに無様だっただろうか?
「あっ、ごめんごめん。ちょっと考え事してたんだけど、君を見てたらなんかバカらしくなってきちゃって」
「は、はあ…」
バカらしくなってきたってことは本当に無様だったのか? まあ美人を笑顔にしてあげたと思えば悪い気はしないけど。
「実は今日、彼氏にフラれちゃって」
「あっ、そうなんですか…」
しかし彼女の笑顔とは裏腹に話の内容は暗いものだった。なんか気まずくなってきた。
話を聞いて思い出したが、たしか遠距離恋愛中だったと記憶しているが。
「やっぱり遠距離恋愛はキツかったみたい。連絡も前より少なくなってたし」
彼女は再び外を眺め一服しながら話を続けた。ただでさえ気まずい雰囲気なのに俺なんかに話してもいいのだろうか? それにしてもなんか彼女から甘ったるい匂いがする。風呂上がりだからか?
「なんかごめんね。君には関係ない話なのに」
「あっ、いえ。その…なんていうか…」
そんな彼女は再び俺に謝ってきた。それに対して初めてのシチュエーションでなんと返していいか分からず必死に頭をフル回転させこの状況に合う言葉を探り出した。
「俺でよかったら、その…話、聞きますよ」
そしてフル回転させた結果、出た言葉がそれだった。自分で言っておいてなんだがなんでその言葉が出てきたのかよくわからない。ちょっとカッコつけたかったからかな?
「ふふ、ありがとう。じゃあお言葉に甘えて…」
「ッ!?」
しかし彼女が笑顔で返してくれたその時だった。急激に眠気が俺を襲ってきたのだ。さっきまで全然眠気などしなかったはずだが、一瞬で立っていられないほどに眠くなってきた。
「たっぷりお話ししましょうね♡」
「? ゆ、由佳…さん?」
意識を失いかけている最中、彼女は不敵な笑みを浮かべながら何か言っていた。何を言っていたのかは聞き取れなかったが。
そして俺の視界は真っ暗になった。その時一瞬、頭に強く打ち付けたような痛みを感じたがそのあとは何もなく意識を失った。
だが結局、大した言いわけが思いつかず重い足取りで家に帰っていく。はあ、マジで気が重い。
---そんなこんなで自分の家までもう目前だった。もう言いわけを考える気力もなくなっていた。
梓が証人としていてくれればいいのだが、本人が覚えてないかぎりどうしてあんなことになったのかを説明できない。
俺の見たままのことを説明しても信用してくれるかどうか分からない。だから梓の証言が必要になってくるのだ。梓の言葉ならきっと信用してくれるだろう。まあその希望が断たれたわけだが。
---「…アレ?」
マンションの最上階の階段を上がりきると何者かが俺の部屋の隣の部屋の前で立ち尽くしていた。
「……」
その人物は由佳さんだった。タバコを吸いながら黄昏れるように外を眺めていた。その姿は最初に会った時より雰囲気が違って見えた。Tシャツ姿に濡れた髪を下ろし感じがちょっと色気を感じるというか大人っぽく見えるというか、そんな彼女に俺は目を惹かれていた。
「…あっ」
暫く彼女を見ていると彼女は俺に気がついたのかこっちに視線を移してきた。
「ご、ごめんなさい! 別にずっと見てたわけじゃなくて、ついさっきから見てて、いや、そう意味じゃなくて…」
彼女の美しさとその姿を見続けていたという背徳感から焦って訳の分からない弁明をし出した。
「…ふふっ」
「?」
そんな俺を見て彼女は何かが吹っ切れたように笑いだした。そんなに無様だっただろうか?
「あっ、ごめんごめん。ちょっと考え事してたんだけど、君を見てたらなんかバカらしくなってきちゃって」
「は、はあ…」
バカらしくなってきたってことは本当に無様だったのか? まあ美人を笑顔にしてあげたと思えば悪い気はしないけど。
「実は今日、彼氏にフラれちゃって」
「あっ、そうなんですか…」
しかし彼女の笑顔とは裏腹に話の内容は暗いものだった。なんか気まずくなってきた。
話を聞いて思い出したが、たしか遠距離恋愛中だったと記憶しているが。
「やっぱり遠距離恋愛はキツかったみたい。連絡も前より少なくなってたし」
彼女は再び外を眺め一服しながら話を続けた。ただでさえ気まずい雰囲気なのに俺なんかに話してもいいのだろうか? それにしてもなんか彼女から甘ったるい匂いがする。風呂上がりだからか?
「なんかごめんね。君には関係ない話なのに」
「あっ、いえ。その…なんていうか…」
そんな彼女は再び俺に謝ってきた。それに対して初めてのシチュエーションでなんと返していいか分からず必死に頭をフル回転させこの状況に合う言葉を探り出した。
「俺でよかったら、その…話、聞きますよ」
そしてフル回転させた結果、出た言葉がそれだった。自分で言っておいてなんだがなんでその言葉が出てきたのかよくわからない。ちょっとカッコつけたかったからかな?
「ふふ、ありがとう。じゃあお言葉に甘えて…」
「ッ!?」
しかし彼女が笑顔で返してくれたその時だった。急激に眠気が俺を襲ってきたのだ。さっきまで全然眠気などしなかったはずだが、一瞬で立っていられないほどに眠くなってきた。
「たっぷりお話ししましょうね♡」
「? ゆ、由佳…さん?」
意識を失いかけている最中、彼女は不敵な笑みを浮かべながら何か言っていた。何を言っていたのかは聞き取れなかったが。
そして俺の視界は真っ暗になった。その時一瞬、頭に強く打ち付けたような痛みを感じたがそのあとは何もなく意識を失った。
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