俺の高校生活に平和な日常を

ノベルバユーザー177222

第3章 #4「打ち明けられた事実、そして…」

 家に着いて玄関に入ると炒め物のイイ匂いがしていた。今日の晩御飯は野菜炒めか。

 「ただいま〜!」

 「おかえり〜!あっ、有紗ちゃんも一緒だったんだ!?」

 「え、ええ。ただいま!」

 若干動揺しながらも返事を返す有紗。梓にくらい言ってもいいんじゃないかと思うんだけど…

 家に入りアイスを冷凍庫に入れてから食卓につき3人一緒に晩御飯を食べた。それから食事をしていた時だった。

 「そう言えば明日からGWだね!みんな何か予定入ってる?」

 ふと梓がそんな事を聞いてきた。一応俺は明日みのりと遊ぶ予定はしているがそれ以外は特に無いかな。でもあんまり人には言えないよな。特に有紗はみのりが吸血鬼だということを知っているので何を言われるか分からん。

 「俺は明日丸岡と遊ぶ予定入れてるぐらいかな。でも何でそんなこと聞くんだ?」

 俺はとりあえず嘘をついて話をスグに逸らした。一応何で聞いてきたのか気になるしな。

 「うん、折角だし3人でどっか遊びに行きたいなーと思って」

 「なるほどね!俺は別にいいと思うけど」

 「有紗ちゃんはどう?」

 梓が有紗に聞き返すと有紗は箸を置き少しの間黙り込むと重い口を開いた。

 「…私、明日からアメリカに帰ろうと思うの」

 「えっ?」

 俺と梓はハモるように驚いた。イキナリ過ぎる話なのだが…

 「別にGWの間だけよ!おじいちゃんの葬儀に行けなかったからこの機会に顔を見せに行こうかなと思って」

 そう言えば有紗は事件当日以降アメリカには行けていない筈。勿論、葬儀にも出れていないだろう。奥田もあの後結局、FBIに引き渡されたようだ。アメリカでは大事件として取り扱われたらしく報道規制がかかる程の事件だとのちに有紗が秘書の冴木さんから聞いたそうだ。

 まあその話はさておき危険は無くなったから有紗はどうしても一度アメリカに戻りたいそうだ。出来ればもうちょっと早く話してもらいたかったが有紗の事だから言い出しにくかったのだろう。

 「まあでも、GWの最終日までには戻ってくるからその日に遊びに行きましょ!それまでにはどこに行くか決めといてね」

 「うん、分かった!ゆっくりしてきてね」

 梓は気をつかうように返事した。少しむなしい空気が流れたが、梓が学校の話等でその空気を払拭して食事を終えたのだった。

 「よし、俺が皿洗いしとくから2人共先に風呂入って来なよ!」

 「えっ、いいの?」

 俺が率先して片付けをしようとすると梓は少し驚いた顔をした。梓よ、別に驚かなくてもいいじゃないか。

 「いいよ!有紗も明日早いんだろう?」

 アメリカにたつのなら多分朝イチで行くだろうし暫く会えなくなるから2人で話したい事がいっぱいあるだろうからと思った俺の心ばかりの優しさだよ。

 「なら先に入らせてもらうけど、絶対覗くんじゃないわよ!?」

 「??」

 バカヤロウ、梓の目の前でその話するなよ!俺は何も言わず皿洗いに取りかかった。そして皿洗いを終えソファーに座りひと息つきながらテレビを見ている俺。

 (…トイレ行きてーな)

 急に尿意を催しトイレに向かおうとした。しかしウチのトイレは浴室と洗面所の隣にあるのだがその前にどうしても洗面所を通らなければ行けない。洗面所は着替えをする場所としても使われる為、かなり危険な賭けである。2人が風呂を終えるまで粘れればいいのだが、結構尿意がそこまで来ているしスグに終わらせれば風呂上がりまでには何とかなるだろう。

 洗面所の扉まで来ると俺は慎重に扉越しに耳を当て音を確認する。シャワーの音と2人の話し声が聞こえてくる。どうやらまだ入っているようだ。俺はバレないようにゆっくりと扉を開けトイレに向かう。

 (何とかトイレまで来たな。とりあえず早く終わらせよう)

 シャワーの音と話し声で全く俺の放尿音は聞こえてはいないようだ。小便を終えとっとと出ようとトイレの扉を開けた。

 ガチャッ!

 「あっ!!」

 扉を開けたと同時に浴室の扉も開いてしまった。そこには無論、有紗と梓のありのままの姿が視界に入った。2人共胸の膨らみが無いもののそれが逆にスラっとしたスタイルをしている。それにシャワーを浴び濡れた髪が更にエロさを引き立てている。そしてツルツルとした白い肌。しかも2人共下の毛はまだ生えて…

 「…こんの、ド変態!!」

 「ぐばしっ!!」

 そんな事を頭の中で解説してるうちに有紗のアッパーカットが俺の顎を綺麗に打ち抜いた。それが有紗との4月最後の絡みになったのだった。

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