デイズ

鬼怒川 ますず

不穏

大損失だ。
銃を撃って人を殺せるだけが取り柄の部下どもが、揃いも揃ってやられた。

原因はあのガキ。

あの気持ちの悪い目のガキは何やらとんでもない能力を持っていたみたいで、最初に近づいた部下は全員が完全に水晶みたいな物になってしまい。それが人の形を保ったまま仲間に襲いかかった。
撃っても撃っても、体は硬い何かで出来ており倒せない。
そして極め付けは増殖。

襲われて触れた者達も全員同じような姿になってしまい、同じように無事な者をめがけて襲いかかってくる。

まるで映画にある、ゾンビのようになってしまった。


ふざけている。

俺はあいつの意のままに操られる部下どもからとにかく逃げることにする。

一人一人が戦地で残虐の限りを尽くしたサイコパスの退役兵で構成された部隊が見事に壊滅した。

こうなったらこちらの敗北はもう決まっている。

クソッタレ。

俺は走りながら操られてる部下どもの間を抜いていく。
幸い何名かが俺と同じように潜り抜けたが、それでも仲間意識というものがあったのかそのまま逃げ出す。

クソ!!


こうなったらラチがあかねぇ…。

ふと俺が逃げた先、約数メートル左前方にあの車椅子が見えた。

ここは山奥の廃れた病院をリフォームした場所。

人里などここから30kmには無い山奥だ。


俺は躊躇なく部下がやったのと同じように銃口を合わせて引き金を引く。

ターン

野鳥が何処かに行くが、その音と共に車椅子の向こうに液体が散ったのが暗闇に慣れた目で確認できた。

やった!

俺はいつも通り、歩いていって標的がどうなったかを確認しようとする。

だが、今日は後ずさった。


何か、分からないが、なんだかヤバい。

俺は来た道を戻ろうとする。

ちょうどその時だった。

俺の右手が水晶のような物に変化したのは。

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