デイズ

鬼怒川 ますず


車椅子を動かしながら僕らは出口を目指す。

白緑びゃくろくを僕の上に抱えるように乗せて念動力で車椅子を走らせる僕。

廊下で出会う敵を次々に倒して、僕らは何度も何度も階段を上ったりしてとにかく上を目指す。

僕の推測だがここは地下だ。

でなければこんな非人道的な研究ができるわけが無い。

「あははー、楽しいかもしれない?」

「僕は楽しくないよ」


はしゃぎながら、返り血のついた患者服の白緑びゃくろくに僕は怖さもあったが、その逆で緊張感も解れた。



正直なんの能力を持っているのか分からないが。
この子がどういった経緯で捕まっているのかも分からない。

それでもこの子は子供だ。

それ以外に助けない道はない。



君が、年下の子供をたくさん殺して僕を守った。

僕が不甲斐なかったばかりに、こんな事になった。

なら最後だけでも……この子だけは逃がそう。


考えている間に僕らは暗がりの病院のような場所に出た。


ここはおそらく地上だ。

そしてカモフラージュとしての病院だろう。


人を治す場所で人間同士を殺し合わせる。
なんとも言い難い屈辱に僕は歯軋りする。


病院の正面玄関をガラスごと割って僕と白緑は外に出る。


そこには……


「うーっす! また地下に戻りまちょうねー!!」

銃を構えた兵士たちと、あの黒スーツの傷のある男がいた。

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