デイズ

鬼怒川 ますず

もういいよ

「ショウくん!無事だったの…」

君は僕を見ると駆け寄ろうとするが、僕の両足を見て固まった。

僕の両足がない事に気付いて。

「嘘……どうしてショウくんまで…」

君はそのまま震えながら歩いて僕の元に近づく、僕の元に着くと血が滲んだ包帯を見て激昂する。

「どうして……どうしてここまで酷い事が出来るのよ!!」

『ハハハハハ!命があるだけ運がいいとは思わないんっスかねぇ!!』

「フザケンナ!!」


君は窓ガラスに向かって睨む。
すると窓ガラスに、微妙だが亀裂が走ったのを僕は見た。
男はそれを見てビックリしたのか後ずさるが、それ以上はできないと見てまた僕らを見下す。

『力はあるがそれほどでもねぇな、まだまだ成長する見込みのある超能力者と見たほうがいいなこりゃ」

男がマイク越しに言うと君はさらに力を込めようとしているのが分かる。
僕は「もういいよ」と言って君を止めようとする。
でも君は

「ショウくんがこんな目にあって黙ってられるわけないじゃない!! あいつは殺す!!殺してやる!!」

見たこともない恐ろしい形相であの男を睨む君に、僕は上体を起こしてそのまま君を抱きしめた。

「もういい」

僕が耳元で言うと、フッと感じていた能力の波動のようなものが消えた。
君は落ち着きを取り戻した。
それでもまだ恨み言は消えない。

「…いつかショウくんの仇はとるから…ここも抜け出てやるし絶対にあいつは殺すから」

僕は聞きたくもない君のその発言に、ただ頷くことしかできなかった。


『もうメロドラマはおしまいでいいかな? んじゃ、デスロワイヤル開始しまーす!』


あの男への殺意はあった。
それが始まった瞬間に。

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