デイズ

鬼怒川 ますず

クリスマス

朝から僕と君は出かけることにした。

家にいても何もならないと思って、それに君を安心させたくて。
君は怖がったので、僕が伊達メガネと帽子を渡して変装すればいいと提案した。
君は口を尖らせて不満を言ったがすぐに着替えてくる。
服は母の私服を借りたが、君には少し大きかったのかちょっとぶかぶかだ。

「で、どこ行くの?」

「クリスマスらしく色んなところに行こう」

僕がそう言って君の手を引いて玄関をくぐり抜ける。

僕が最後に家にいたのはここまでだった。




街にでると景観は全て色彩に富んでおり、クリスマスツリーが飾ってある店まであった。
僕と君はそんな店を回って、喋って、楽しく過ごした。
ランチの際に奮発して高いものを一緒に食べて笑いあった。
君の困ったような笑顔が、僕の気分を高ぶらせてくれた。



雑貨店で君のためのプレゼントも買った。
それは指輪だ。

君と一緒に買った指輪、あのガラスの指輪が無くなっていたのを見て少し悲しく思ったが、今度はちゃんとした指輪をつけてあげたい。
僕は6万円の指輪を君には内緒でこっそりと買い、別行動をしていた君と再会してからまた一緒に街を周っていく。
その際に電化製品店で色が違うサンリュームを数点買っておいた。

日が落ち、気温も下がって寒くなった頃。
僕らは公園にいた。

「楽しかったね」

「あぁ」

僕らはそう言いながらただ静かにベンチに座って寄り添い合う。

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