[休止]The#迷走のディフォンヌ

芒菫

第九走 「序章」

――――「おいおい、誰が勝手に死ねって言ったんだよ。一行」

 突然、声が聞こえてきた。これが神の語り声というものなのだろうか。
 少しづつ眼を開き始める。瞼が完全に開くと、目の前に見かけたことのある男が風を起こしていた。

 「どうやら、俺は風を起こせるらしいんだ。」

 「完全に魔法ね。でも意外ね。風の魔法なんて殆ど見たことないのよ。とっても珍しいわ」

と、今まであったことが全て消えたように会話が成立している。
しかし、エレミーはセシュレに抱きついたままだ。気を失っているのだろうか。
 脈と呼吸していることを確認し、安全だというのを理解する。
しかし、ここに善蔵がいるということは···

「おい、礼司。おせぇよ、なんでこんなところにいるんだ??しかも危うく死ぬところだったじゃんか」

 「その件には色々内情がありまして···」

と、俺は説明すれば長くなるということを表情と言葉任せで伝えた。
 善蔵が理解したかどうかは不明だが、話をロハンに移したというのは事実だ。

 「おい、そこの兄さんや。交渉だ。」

 「いきなり殺戮をはしょってお前が登場し、いきなり交渉というのは如何したものかなぁ??」

と、相手は乗り気のようだ。

 「この状況、そこの盗賊の子を抜いて3対1だ。どう考えても不利だと言うことは大人にも理解できるだろう??」

と、交渉的な雰囲気になる。こんな交渉の仕方は始めてみた。
そんなことはお構い無く、善蔵は話を続ける。

 「無料ただとは言わない。この場を退いてくれないだろうか。こちらも無駄な争いで体力を消耗するのはゴメンだ。そうだ、俺の持ってるこの見たことのない鉄で出来た、魔法の水筒、すなわち無限水分補給機なんてどうだろうか??」

 俺からみたら、キャップ付きでそれを外すと水分を補給することができるという人類が開発したただの水筒にしか見えないのだが、本当に無限水筒の役割をしているのだろうか。
しかし、ロハンは疑う顔すら見せず、その交渉に乗ってきた。

 「ほほぉ。いいだろぉ。しかし、もしもこの交渉に偽りがあったとしたら···お前を殺しに行くぞ」

 「いくらでも来るがいい。こっちは化け物10000匹連れて来られても逃げないで戦ってやる。しかも、このような交渉場に嘘偽りなどと、そのような発言をするはずがない」

ロハンは「のった」と声をだし、水筒を受け取った。
 俺はポケットから携帯を取りだし、今の時刻を確認する。1:06。
ロハンはそのまま一言も発さないまま、業火とともに消えていった。
 筒井善蔵。恐るべし交渉能力と戦闘技術を持っている。流石、剣豪と呼ばれた男だ。さっきの水筒の件について聞いてみる。

 「なぁ、善蔵。お前、無限水筒なんて持ってたのね」

 「あぁ、これのことね」

そういうと、腰にかけていたバックの中から水筒をとりだす。思わず、へ?という言葉が出てしまった。
 彼の説明によると、あれは完全に偽物らしい。確かに、交渉に嘘は必要だ。しかし、仮にそれがバレたら終わり。そういう意味での嘘偽りだ。しかし、バレれば殺しにやってくるだろう。

 「まぁ、この場で生きていること事態不思議なんだし、それはそれで呑み込めるわ。あと、レイジよね。時間稼ぎまでしてもらっちゃって···ありがとう。感謝してるわ」

 初めて美少女に感謝された――――

「私はエレミーって言うんだ。よろしくな!!あ、そっちで倒れてるのがコブ爺ちゃんだ。私の家族なんだ!!」

 「そうか。俺は筒井善蔵っていうんだ。呼び方は自由で構わない。よろしくな」

 「よろしく。善蔵···って、コブ爺ちゃんッ!!早く、治療しねぇと!!」

あ、そうだった。まだ終わってないんだった。まだこれから。前向きに進んで行かないとな。

 「レイジ!!こっちに来てここ押さえておいて!!」

 「はぁい。わかったよセシュレん♪」

 「え?んって何」

 完全に萌え用語だ。しかし、この次元で萌えなんて説明しても分からないだろう。だったら―――

「一種のおまじないだよ♪」

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