奴隷少女の勇者道

巫夏希

3-4. クイーンの決意

「……ほんとうに、開けていいのよね?」

 その言葉を聞いて、エルフ・クイーンはこくりと頷いた。
 エルールはエルフ・クイーンの反応を見てもなお、宝箱を開けることはなかった。
 躊躇しているのだ。
 警戒しているのだ。

「別に警戒しなくても問題ありませんよ。それはあなたたちが持つべきものです。それはあなたたちが使うべきものですから」
「しかし……」
「お使いください。今は世界の危機なのですから。世界がどうなってしまうのか、解りません。ですから、その前に敵を倒さねば――」
「どういうことです?」

 エルフ・クイーンの言葉にいち早く反応したのはエルールだった。

「神国教会と我々は、ずっと友好協定を結んできました。あちらとしてはエルフを保護することで世界の利益になる……なんてことを言っていましたがね。実際、そうだと思います。別に我々のことを高く評価してくれることはありがたいことですから。……しかし、それが大きく変わったのが、ついこの間のことです。『粛正』と銘打って、我々の世界を破壊しようとしたのです。荒らした、というよりも破壊しようとした、と言った方が正しいかもしれません。結果として、我々の同志が多く失われました。中には戦いたくないと言って、そのまま抵抗できずに殺された同志もいました……」
「……そんな」

 レミリアは、エルフ・クイーンの言葉を聞いて、思わず何も言えなかった。当然だろう、今まで彼女が振興してきた団体が、そのような団体など知る由もなかったからだ。
 彼女はこう思っていた。きっとイヴァンと会わなかったならば、このようなことになることはなかっただろう――と。だが、それを悪いことだと認識してはいなかった。もともと、彼女は神国教会がイヴァンを救わなかった段階で、彼女は神を信じることを止めた。正確に言えば彼女が彼女の所属している神国教会という団体の神を信仰することを止めた、ということになるのだが。

「あなたは見た限りですと、シスター……ですね。きっとあなたが信じていた宗教が、こんなことになるなんて、思いもしなかったでしょうが、これが真実なのです。ですから、受け入れてください。真実を受け入れてほしい。そして、私たちと一緒に、私たちの願いを受け入れて、神国教会を倒してほしい」
「……なんだか、話を聞いていると同胞を殺された以外の理由がありそうだが」

 そう言ったのはエルールだった。
 エルフ・クイーンはそれを聞いて、目を丸くする。まさか悟られるとは思っていなかったのだろう。少しして――エルフ・クイーンは笑みを浮かべた。

「……解った。君たちには何も隠し通すことはできない。話そう、私がどうしてあなたたちが来ることを解っていたのか、そして、我々と神ガラムドの長きにわたる関係について」

「奴隷少女の勇者道」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「ファンタジー」の人気作品

コメント

コメントを書く