異世界行ったら魔王になってたんだけど(以下略)

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66 . 海底城マリンキャッスル


先程ロダムの宿の三階から見えたデカイ岩が俗に言う城だったようで、近づいてみればもう豪華絢爛な城が広がっていた。
ゴツゴツとした岩肌の一枚岩をベースとし、くり抜いたりくっつけたりしてまるでアリの巣のような構造になっているらしく、至る所から白と青の塔がそびえ立っている。
「ここが海底城マリンキャッスルです。私も何回か訪れたことはありましたが魔王城より広いと思われます」
「わぁーおっきいですね!名前もかっこいいです!それに比べて魔王城は…」
アイの解説に聞く耳を持たないマイが城周りに構えた庭を走り回っている。
子供か。
「んじゃあ中入ったらメイドについてってな」
「はーい」
アレアは門番の人となにか一言話すとぎぎぎぎッと古い木々が擦れる音とともに、20メートルはあろう門が開いた。
「うわぁ、圧巻ですね〜」
「…そうだね」
中は広い吹き抜けのホールのようで、真ん中の天井には大きなシャンデリアが光に反射しチカチカしている。
せっせかせっせかと数十人のメイド人魚があっちへこっちへと働いていた。
「じゃあこっちや。レトピーア、魔王御一行様を応接間に」
「はい、ヴィルターニャ様」
泳いで現れた白髪のレトピーアと呼ばれたメイドが丁寧に深々とお辞儀をした状態でしっかりと答えた。
うちの奴らじゃありえない。
「では、ご案内させていただきます」
今日のことでひとつ気がついたことがある。
私が走っても走っても、尾びれのある人の通常スピードには追いつけないということ。

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