異世界行ったら魔王になってたんだけど(以下略)

N

1 . 死んでしまうとは情けない

「残念ながらお主と妾は死んでしまった」



そうつまらなさそうに告げたのは目の前の玉座に足を組み頬杖をついて座る私とそっくりな女だった。


「......は?」


 とっさに出た私の間抜けな声に目の前の女はむすっとする。
「お主馬鹿であろう? 妾たちは死んだのだ。しかも同日、同時刻、同じ死因で」
 さすがに初対面のやつに馬鹿呼ばわりされればこちらだってむすっとしてしまう。
「だからなに、てかここどこなの?」
 辺りを見回すが広がるのは闇だ。スポットライトが当たっているかのようにこの玉座の周りだけ明るくなっている。女ははぁ......と分かりやすくため息をつくと足を組み直した。
「ここは神殿。そしてお主と妾はそっくり、そうであろう?」
「そうですねはいそうでございますだからなに」
 雰囲気ぶち壊しだと言うような睨みを飛ばしてきているが無視に限る。基本めんどくさいことには絡まれたくない。
「お主は聞いたことはないか?同じ時に同じ死因で死んだ顔の似ている者同士は中身が入れ替わって生き返ると」
「無いです本当にありがとうございました」
 さらに睨みがキツくなった気がするがまあいいだろう。
「でもお主もこのまま天国とか地獄に行くのも嫌であろう?私は地獄しか選択肢が出ないしここはwin-winな関___」

「結構です」


「えっ」


 広い空間に女の声がこだまする。私としては別に天国だろうが地獄だろうが別にいいのだが。どちらかと言うと地獄に美少女の悪魔とかいればなお良しなのだが。
「で、でもっ、天国ってなんだか何もなくてとーっても暇な所って聞くし!」
 目の前に三つのボタンが現れた。『天国』『入れ替わり』『地獄』と書かれている。なるほど、生前悪いことしたやつは選択肢が絞られるのか。
「地獄も何もないっていうか......!てか私と入れ替わればいろいろチート能力的なの使えるかもよ!?だからどうか_」

 私は迷わず地獄に手を伸ばして


「じゃ! さよなら!」


満面の笑みでボタンを押し_______



「うわあああああああああああああ!」
「あっ」

た、筈なのだが。


「ファンタジー」の人気作品

コメント

コメントを書く