勇者の神剣《ブレイブソウル》
1.決断
不可解図形から発せられた光が止むと、そこは既に見知らぬ場所だった。体育館程の空間が石でできているようだ。
「みんな!大丈夫か!」
みんなの無事を確認するため、周りを見回しながら叫ぶと、ちょうど教室にいたときと同じ位置にみんながいて、安堵のため息をつく。
すると、どこからか何者かの声が聞こえた。
「勇者とその一行。この度は突然このような場所にお呼びしてしまい申し訳ございません」
その声は聞き取りやすく、声音から男の物だとわかる。だけど、そんなことよりも僕はこの男の声の感情のこもっていない無機質な謝罪に、無性に腹が立った。
声の聞こえた方に歩いていくと、そこには白いローブを身にまとった異質な集団がいた。その異様な光景に一瞬怯んでしまったが、そんな雑念は払えばいい。
「僕たちをこんなところに連れてきて、どうするつもりだ!」
感情のままに言い放ったそれは、理不尽な言葉で返された。
「私は説明するのは苦手なので、単刀直入に申し上げましょう。あなた方には、魔王を討伐して頂きたいのです。それも、現状での実質的な魔族の頂点、冥界王を、です」
それを聞いた瞬間意味が理解できなかった。魔王を討伐?冥界王?勝手に呼び出しておいて、ふざけやがって、そもそも僕たちにそんなことできる訳ないじゃないか。
「ふざけんな!勝手に呼び出しておいて、誰がそんなことをするか!早く元の場所に帰せ!」
「申し訳ございません。我らが神の意向で、冥界王を討伐するまで元の世界に戻ることは許されません」
神?なにが神だよ。そんなのがいるんだったら、早く僕たちを帰せよ。なにが意向だよ、なんで……
「なんでだ!その神ってなんだよ!冥界王ってなんだよ!僕たちはただの中学生なんだぞ!」
もう怒りで思考が滅茶苦茶になっていた僕に帰ってきた言葉は、驚愕すべきものだった。
「私たちには、後が無いのです。人魔平和協定を魔族が破ってから、人類は危機に晒されているのです。魔族の王たる冥界王を倒さなければ、人族は救われないのです。どうか、私たちを助けて頂けませんか、勇者一行よ」
その言葉を聞いて、頭に上っていた血がサーッと引いていくのがわかった。そして、僕の脳裏には2つの言葉が張り付いていた。後が無い、助けて。それが本当なら、僕は助けなければならない。天王司家の人間として。しかし、ここには大切な友達もいる。クラスメイトもいる。だから、これだけは聞きたい。
「……それは、僕たちでなければいけないのか?」
「はい。冥界王を倒せるだけの力は、あなた達でなければ持つことは出来ません。そして、あなた達はそれぞれが選ばれし力を持っています」
それは、僕以外もこのままいけば巻き込まれるということだ。僕はそれでも構わない。選ぶのはみんな自身だ。
「わかった、僕は引き受けよう。人が困っているなら助けなければならないからな。ただし、他のクラスメイトにはその冥界王と戦うかどうかの選択をさせろ」
そう言った直後、右から声が聞こえた。
「アルフがやるなら俺もやるぜ」
「青木……」
そこにいたのは唯一無二の親友、青木吉宗だった。さらにそれに続くようにして左からも声が続いた。
「ま、天王司君がやるなら手伝わなくちゃね」
「安藤も……」
いつもその笑顔で僕を励ましてくれる、安藤千夏だった。さらに、クラスメイトが次々についていくという意思表示をする。
「みんな……、本当に良いのか?」
「ああ!」「もちろん!」
僕が戸惑いながら言ったその言葉に頼もしい答えが返ってくる。そこまで信用してくれているのなら、やることは1つだ。
白ローブの男に視線で意思表示をする。やることは1つ、みんなの思いを無駄にはしない。
「それでは、私についてきて下さい。国王があなた方との面会を待ち望んでおりますので」
白ローブの男は、小さく微笑みながらそう言った。
「みんな!大丈夫か!」
みんなの無事を確認するため、周りを見回しながら叫ぶと、ちょうど教室にいたときと同じ位置にみんながいて、安堵のため息をつく。
すると、どこからか何者かの声が聞こえた。
「勇者とその一行。この度は突然このような場所にお呼びしてしまい申し訳ございません」
その声は聞き取りやすく、声音から男の物だとわかる。だけど、そんなことよりも僕はこの男の声の感情のこもっていない無機質な謝罪に、無性に腹が立った。
声の聞こえた方に歩いていくと、そこには白いローブを身にまとった異質な集団がいた。その異様な光景に一瞬怯んでしまったが、そんな雑念は払えばいい。
「僕たちをこんなところに連れてきて、どうするつもりだ!」
感情のままに言い放ったそれは、理不尽な言葉で返された。
「私は説明するのは苦手なので、単刀直入に申し上げましょう。あなた方には、魔王を討伐して頂きたいのです。それも、現状での実質的な魔族の頂点、冥界王を、です」
それを聞いた瞬間意味が理解できなかった。魔王を討伐?冥界王?勝手に呼び出しておいて、ふざけやがって、そもそも僕たちにそんなことできる訳ないじゃないか。
「ふざけんな!勝手に呼び出しておいて、誰がそんなことをするか!早く元の場所に帰せ!」
「申し訳ございません。我らが神の意向で、冥界王を討伐するまで元の世界に戻ることは許されません」
神?なにが神だよ。そんなのがいるんだったら、早く僕たちを帰せよ。なにが意向だよ、なんで……
「なんでだ!その神ってなんだよ!冥界王ってなんだよ!僕たちはただの中学生なんだぞ!」
もう怒りで思考が滅茶苦茶になっていた僕に帰ってきた言葉は、驚愕すべきものだった。
「私たちには、後が無いのです。人魔平和協定を魔族が破ってから、人類は危機に晒されているのです。魔族の王たる冥界王を倒さなければ、人族は救われないのです。どうか、私たちを助けて頂けませんか、勇者一行よ」
その言葉を聞いて、頭に上っていた血がサーッと引いていくのがわかった。そして、僕の脳裏には2つの言葉が張り付いていた。後が無い、助けて。それが本当なら、僕は助けなければならない。天王司家の人間として。しかし、ここには大切な友達もいる。クラスメイトもいる。だから、これだけは聞きたい。
「……それは、僕たちでなければいけないのか?」
「はい。冥界王を倒せるだけの力は、あなた達でなければ持つことは出来ません。そして、あなた達はそれぞれが選ばれし力を持っています」
それは、僕以外もこのままいけば巻き込まれるということだ。僕はそれでも構わない。選ぶのはみんな自身だ。
「わかった、僕は引き受けよう。人が困っているなら助けなければならないからな。ただし、他のクラスメイトにはその冥界王と戦うかどうかの選択をさせろ」
そう言った直後、右から声が聞こえた。
「アルフがやるなら俺もやるぜ」
「青木……」
そこにいたのは唯一無二の親友、青木吉宗だった。さらにそれに続くようにして左からも声が続いた。
「ま、天王司君がやるなら手伝わなくちゃね」
「安藤も……」
いつもその笑顔で僕を励ましてくれる、安藤千夏だった。さらに、クラスメイトが次々についていくという意思表示をする。
「みんな……、本当に良いのか?」
「ああ!」「もちろん!」
僕が戸惑いながら言ったその言葉に頼もしい答えが返ってくる。そこまで信用してくれているのなら、やることは1つだ。
白ローブの男に視線で意思表示をする。やることは1つ、みんなの思いを無駄にはしない。
「それでは、私についてきて下さい。国王があなた方との面会を待ち望んでおりますので」
白ローブの男は、小さく微笑みながらそう言った。
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