冷たい世界に太陽を
茶会もどきは開かれる
――――気象状態:晴  PM 2:50――――
「今日は紅茶にしてみました」
「え?どうしたの、なんかあった?」
真白には普段コーヒーを淹れているが、今日はいつもとは違って紅茶を用意した。
「いえ、先ほど買い出しの時一緒にお菓子を買って来まして」
「ほう!」
「紅茶にあうと小耳にはさみまして」
「ほほう!」
「茶会もどきでも開こうかと」
「開封――――――‼」
手を伸ばす彼女から逃れるように背後に隠す。
「気が早すぎです!手を洗ってください!ちゃんと机で食べてください!ていうかどんなテンションですかそれ‼」
奇声を発する彼女を半目で見つめる。
「だって早く食べたいじゃん!だって最近甘いもの食べてないじゃん⁉」
ああー・・・たしかにそういえば最近はお菓子とか買ってなかったなぁ。ご飯や機材の買い出しはするけどお菓子はなかったなぁ。でも。
「つうことで開けろ―――――ぃ?・・・えと隼人くん?無言でアイアンクローしてくるのは私の頭蓋骨的に段々きしむような痛みがきてるからやめて―――――!?」
しっかりと頭をホールドしたまま部屋の出口へ向かう。
「じゃあ手、洗いに行きますか」
「うんうんそうだよね、手洗いは大事だよね分かるよ分かったからそろそろ頭がひしゃげるように痛いぃぃああああ―――――ッ!?」
結局洗面台までずっていった。
――――――――
―――――――――――――
「これ!もしかしてあのおいしすぎて人を殺すことで有名な『クロートー』のクッキー!?」
「ふふ・・・偶然にも並ばずに買えたんですよ」
「なんと・・・」と彼女は驚愕に目を見開いている。
クロートーのお菓子は毎日平日だろうと構わず長蛇の列ができることで有名だ。
なんでも生きた伝説とか言われる凄腕の料理人が始めた店らしいのだが、誰もその姿を見たものはいないらしい。
人を殺すという噂も、実際に長く待ちすぎてぶっ倒れる人が続出しており、何件か死亡事故もあったそうだ。
しかしそんな店先に今日に限って人がいなかったのである。
「ではでは改めて、ごかいちょー!」
そして中から出てきたのは―――――――
「クッキー、かな?」
パッケージも大きさもほとんどクロートーのそれである。
・・・だが中身だけが若干、いや大分違った。
それは若干湿ったクッキー(?)だった。・・・蛍光緑の。
「ねぇ隼人くん」
「はい」
「毒味して☆」
「やっぱり僕なんですか・・・」
「ほら、あーんしてあげるから。あーん」
ええ!それはものすごく嬉しいんだけど、これ食った瞬間死んだりしないだろうか・・・
数秒間葛藤するも決断する。
ええい男米沢!今行かずしていつ逝くんだ!
「っ!」
パクッと彼女の手から蛍光緑を受け取る。
「ど、どう・・・?」
彼女が恐る恐るといった感じで聞いてくる。
もぐもぐと咀嚼する。
ふむ、外はハリがあり中はみずみずしい。味を最低まで抑え、ひたすら苦味を強調。シャキシャキとした食感がよりクッキーであることを忘れさせてくれる。これはまごうことなき―――――――
「キュウリ」
「え?」
「苦いキュウリの味がします」
正直言ってすっごいまずかった。
「・・・・・」
「・・・・・」
沈黙がつらい。完全にお通夜である。
「隼人くん」
「はい」
「今からクッキー、焼いてくれる?」
「はい・・・」
彼女の言葉にはなんだか哀愁が漂っていた。
―――――――
―――――――――――
真白がクッキーをかじりながら一言。
「まさかぱちもん買ってくるとはねぇ・・・」
「ほんとに、すみません・・・」
「パーティー用菓子専門店、『シロートー』ねぇ・・・普通間違えなくない?恥ずかしくない?」
「返す言葉も無い・・・」
どうやら私はクロートーとシロートーを間違えたらしい。シロートーは主に冗談系商品を扱う店で、なんとクロートー公認とのこと。
ゲテモノ好きやコアなファンには人気だがそのまずさゆえにあまり売れていないようで。道理で人がいないわけだ。
「まあこっちのクッキーはおいしかったから許してあげるわ」
次はちゃんとしたの買ってきてねと付け加える。
・・・はあ、せっかく良い感じだったのになんでこんな紛らわしいもの買って来ちゃったかなぁ・・・
落胆しているとふとあることに気づく。
ん・・・?パッケージの裏に何か書いてある?
『コーヒーと合わせるとよりマズイ‼ 嫌いなあの子のお口へ Let's 投擲!』
・・・なんだこれ
完全にただの嫌がらせじゃんと思いつつも、まあ今飲んでいるのは紅茶だし大丈夫だろう。
ということで記憶の片隅に追いやっておく。
それよりもさっき調理室で気になった事がひとつある。
「今日は紅茶にしてみました」
「え?どうしたの、なんかあった?」
真白には普段コーヒーを淹れているが、今日はいつもとは違って紅茶を用意した。
「いえ、先ほど買い出しの時一緒にお菓子を買って来まして」
「ほう!」
「紅茶にあうと小耳にはさみまして」
「ほほう!」
「茶会もどきでも開こうかと」
「開封――――――‼」
手を伸ばす彼女から逃れるように背後に隠す。
「気が早すぎです!手を洗ってください!ちゃんと机で食べてください!ていうかどんなテンションですかそれ‼」
奇声を発する彼女を半目で見つめる。
「だって早く食べたいじゃん!だって最近甘いもの食べてないじゃん⁉」
ああー・・・たしかにそういえば最近はお菓子とか買ってなかったなぁ。ご飯や機材の買い出しはするけどお菓子はなかったなぁ。でも。
「つうことで開けろ―――――ぃ?・・・えと隼人くん?無言でアイアンクローしてくるのは私の頭蓋骨的に段々きしむような痛みがきてるからやめて―――――!?」
しっかりと頭をホールドしたまま部屋の出口へ向かう。
「じゃあ手、洗いに行きますか」
「うんうんそうだよね、手洗いは大事だよね分かるよ分かったからそろそろ頭がひしゃげるように痛いぃぃああああ―――――ッ!?」
結局洗面台までずっていった。
――――――――
―――――――――――――
「これ!もしかしてあのおいしすぎて人を殺すことで有名な『クロートー』のクッキー!?」
「ふふ・・・偶然にも並ばずに買えたんですよ」
「なんと・・・」と彼女は驚愕に目を見開いている。
クロートーのお菓子は毎日平日だろうと構わず長蛇の列ができることで有名だ。
なんでも生きた伝説とか言われる凄腕の料理人が始めた店らしいのだが、誰もその姿を見たものはいないらしい。
人を殺すという噂も、実際に長く待ちすぎてぶっ倒れる人が続出しており、何件か死亡事故もあったそうだ。
しかしそんな店先に今日に限って人がいなかったのである。
「ではでは改めて、ごかいちょー!」
そして中から出てきたのは―――――――
「クッキー、かな?」
パッケージも大きさもほとんどクロートーのそれである。
・・・だが中身だけが若干、いや大分違った。
それは若干湿ったクッキー(?)だった。・・・蛍光緑の。
「ねぇ隼人くん」
「はい」
「毒味して☆」
「やっぱり僕なんですか・・・」
「ほら、あーんしてあげるから。あーん」
ええ!それはものすごく嬉しいんだけど、これ食った瞬間死んだりしないだろうか・・・
数秒間葛藤するも決断する。
ええい男米沢!今行かずしていつ逝くんだ!
「っ!」
パクッと彼女の手から蛍光緑を受け取る。
「ど、どう・・・?」
彼女が恐る恐るといった感じで聞いてくる。
もぐもぐと咀嚼する。
ふむ、外はハリがあり中はみずみずしい。味を最低まで抑え、ひたすら苦味を強調。シャキシャキとした食感がよりクッキーであることを忘れさせてくれる。これはまごうことなき―――――――
「キュウリ」
「え?」
「苦いキュウリの味がします」
正直言ってすっごいまずかった。
「・・・・・」
「・・・・・」
沈黙がつらい。完全にお通夜である。
「隼人くん」
「はい」
「今からクッキー、焼いてくれる?」
「はい・・・」
彼女の言葉にはなんだか哀愁が漂っていた。
―――――――
―――――――――――
真白がクッキーをかじりながら一言。
「まさかぱちもん買ってくるとはねぇ・・・」
「ほんとに、すみません・・・」
「パーティー用菓子専門店、『シロートー』ねぇ・・・普通間違えなくない?恥ずかしくない?」
「返す言葉も無い・・・」
どうやら私はクロートーとシロートーを間違えたらしい。シロートーは主に冗談系商品を扱う店で、なんとクロートー公認とのこと。
ゲテモノ好きやコアなファンには人気だがそのまずさゆえにあまり売れていないようで。道理で人がいないわけだ。
「まあこっちのクッキーはおいしかったから許してあげるわ」
次はちゃんとしたの買ってきてねと付け加える。
・・・はあ、せっかく良い感じだったのになんでこんな紛らわしいもの買って来ちゃったかなぁ・・・
落胆しているとふとあることに気づく。
ん・・・?パッケージの裏に何か書いてある?
『コーヒーと合わせるとよりマズイ‼ 嫌いなあの子のお口へ Let's 投擲!』
・・・なんだこれ
完全にただの嫌がらせじゃんと思いつつも、まあ今飲んでいるのは紅茶だし大丈夫だろう。
ということで記憶の片隅に追いやっておく。
それよりもさっき調理室で気になった事がひとつある。
「SF」の人気作品
書籍化作品
-
-
6
-
-
4
-
-
381
-
-
141
-
-
93
-
-
29
-
-
63
-
-
516
-
-
93
コメント