遅熟のコニカ

紙尾鮪

71おまけ話「モシノハナシ」

 これは、なんやかんやあってコニカがむっつりショタコンで、ヒルコがより、コニカにぞっこんラブだったらのお話。

 「コニカコニカ! 今日は何をする?」
 目の前にいるのは、白衣の天使……いや天使以上の存在なんだが、簡単に言えば……神?
 まぁ艶やかな白髪に、柔らかく、餅のような頬、可愛さだけではなく、どこか闇を感じるような目。
 これ以上に素晴らしい存在はいるのだろうか。
 あぁ可愛いよヒルコくん。

 「こぉにぃかぁー?」
 やばい、鼻血が出そうだ。
 私の顔を覗くようにして、その心配しているような顔で、甘えた声で、もう誘惑しているとしか思えないじゃないか。

 「なんだ」

 「好き!」
 あ、もう無理だこれ。
 今襲っちゃっていいよね、了承得たよね、ていうかあっちから来たよね?
 文脈の関係なしにこんな事言ってくるとか、もう……無理だこれ。

 「主よ、今よろしいだろうか」
 空気読めよ。

 「なんだ、我輩は忙しい、手短に済ませろ」
 COOLなヒルコくん可愛い……
 我輩っていうの可愛い……

 「帝国側の兵がコニカとやらを返せとの事で、監獄前にて居座っております」
 あぁ……アイツらか……なんかもうどうでもいっかなって、ヒルコくんといちゃいちゃできたらいっかなって。

「知らん追い返せ」
COOL.

 「はっ」
 出てけ出てけ、このハ虫類。

 「ふぅ……こぉにぃかー」
 この緩急の差、甘えるように抱きついてくる愛くるしさ、堪らない、というより、ぶっ壊れそう。

 なんだろう、この天使は。

 表は冷酷な犯罪者、しかし私に見せるこの愛くるしい子供の姿……ギャップが……ギャップの魔の手が私を天国に……

 「コニカ……コニカはずっとここにいたい?」
 はいそりゃあ勿論。
 グラブが来ようと王が来ようと私はここに居続ける所存ですが。

 「……私にそんな事を決める権利などないだろう、全ては貴様の手の内なのだろう?」
 つまりは、ヒルコくんに任せるという事。
 私はもうヒルコくん無しでは生きていけないという事です!

 「うぅ……コニカ嫌なの?」
 ぁあー……そう取っちゃいます?
 いやいや、嫌なんて事はありません!
 ていうか、若干目ウルウルしてる? うつむいて、白衣を握ってそんな顔されたらもう詰むよ詰みだよ。

 「ま、まぁ良いところだとは思うぞ」

 「本当? ずっといてくれる?」
 さっきとは正反対にぱーっと太陽のような笑顔を浮かべ、そしてこぼれそうになった涙を押さえるように目を擦っている姿も愛くるしい。
 擦りすぎて若干目の下が腫れてるのも可愛い。

 「……あぁ」

 「やったあ! コニカだーいす」

……………………………………


 「とかいう夢を、昨日見たんだよねぇ」
 ハミセトは、笑いながら『斬り裂き権兵衛』に昨日見た夢を伝えた。

 「……貴殿は疲れているのだろう。今日はすぐに床に入るのがいい」
 半ば呆れぎみに『斬り裂き権兵衛』はハミセトの身を案じた。

 「そだね、良い夢を見ようと思う」

 「……貴殿がよい夢を見られるよう手を合わせよう」

 「おはよう、囚人さん」
 ヒルコの顔を見て、ついハミセトは吹き出すように笑った。


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