東方魔人黙示録〜番外編〜
酒呑童子と天邪鬼兄
ここは妖怪の山。その麓では青年と少女がある場所を目指して歩いていた。
その場所とは...
「ねえ?まだ着かないの?」
「待てって、仙人共は山深くにこもるのが好きなんだよ」
そう。妖怪の山深くに住む仙人二人に会いに来たのだ。
「おっ!見えて来たぞ」
「へぇ...以外に普通の家なのね」
小さな池がある木造建築の古風の家が建っていた。その横で斧を振り下ろす少年が木を切っていた。
アルマは少年に近づき、声をかけると少年は嬉しそうに表情を輝かせた。
「アルマさん!遊びにきてくれたんですね!」
その少年は酒呑童子の生まれ変わりの人間。修羅仙我。訳あって前世の酒呑童子の記憶がある。
「おう。会わせたい人がいてな」
「会わせたい人?」
「人と言っても人間じゃないぜ」
そう言ってアルマは後ろに隠れて出てこないパルスィを前に出す。
「ほら挨拶」
「水橋パルスィ...」
「自分は修羅仙我です!よろしくお願いしますパルスィさん!」
元気に挨拶する仙我にパルスィは頬を染めてまたアルマの後ろに隠れた。その行動に仙我は不思議そうに首を捻った。
分が悪そうに頭をかいた。
「悪いな。こいつ人見知りなんだ」
「そうなんですか?じゃあ...」
「やめろ適合するな。めんどくさいことになる」
「え?はい....わかりました」
「適合?」
アルマが止めた《適合》とは仙我の能力《あらゆる事に適合する程度の能力》の事である。
説明は省くが彼に適合できない事はない。
「そういえば華扇は?」
「華扇なら自分が作ったおやつを食べてますよ」
「お前って...本当に女子力高いな...」
「ねえ...」
「どうしたんですか?」
「どうして自分を自分というの?」
困ったようにアルマの方に顔を向ける仙我に彼は正直に言えと言った。
「自分は自分を客観的に見ちゃってるんです。それで自分と言うんです」
「あなた自身なのに?」
「あ、あははは...でも今は自分を見ているつもりです。自分の存在を知ったから」
その意味をちゃんと理解できないパルスィにアルマは優しく頭を撫でた。
擽ったそうにしているが嬉しそうだった。二人の姿を仙我は羨ましそうに見ていた。
「いいなぁ〜...二人は幸せそうで...」
「お前は華扇といて幸せじゃないのか?」
「いえ...二人みたいにイチャイチャしたいんです...」
『イチャイチャしてないけど?』
息ぴったりの二人の発言に尚更羨ましがる仙我であった。
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