闇夜の世界と消滅者

三浦涼桜

十九話 説明

 戀さんのために、一から説明しますね。
 今から二週間前のことです。
 学園内でとある実験が発生しました。
 皆さんご存知の通りの行方不明者事件です。
 あまり大きな事件ではなかったので、すぐに収まりましたが、同時に少々厄介な事件が舞い込んできました。

 厄介と言っても、それほど危険視されているわけでもなかったので、生徒会を中心に捜索をしていたのですが、生徒たちから話を聞く限り、神獣がらみのことらしくて。そうですよね、イルディーナさん?
「私はそのときその場に居合わせていなかったので何とも言えませんが、おそらく本当のことかと。鈴音さんはどう思いますか?」
「そうですね。私も後方支援をしていたので本当かどうかは判断できませんが、あの時感じた気配はかなり凶悪なものでした。それこそ超大型魔物アフリードクラスくらいのものでした」

 本来神獣とは、その土地の守護神であるものです。一定のテリトリーに侵入しなければ滅多に姿を見せません。
 ですが、今回は外にまで出てきました。
 今回現れたのは、アヴァロンの外縁部に存在する迷宮、通称「草薙」と呼ばれるダンジョンに生息する神獣、リーゴレッド。

 全長3メートル、体重およそ400キロもある巨体な体に加え、雷属性と炎属性を保持しています。
 かなりの速度で移動ができるうえ、炎のシールドを張っているので、基本的な攻撃は全くもって通用しません。
 基本的には温厚な魔物なので、こちらから何もしなければ、事件なんてものは発生しません。

「だが実際にリーゴレッドは出てきたと」
 その通りです。
 目撃された際、本来なら薄く淡いオレンジ色の毛並みが、赤黒く染まっていたそうです。
 さらには体を纏っていた炎も赤色ではなく、黒く変色していたと、報告が上がっています。

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