二つの異世界で努力無双 ~いつの間にかハーレム闇魔法使いに成り上がってました~

魔法少女どま子

理想の境地にもうたどり着いた

《レベルが上がりました。

 吉岡勇樹 レベル30

 HP 415/415 MP 400/500
 MA 6300 MD 4445》


 視界上部に見慣れたメッセージが浮かび上がった。

「レベル……30……」
 思わず呟いてしまう。

 レベル30といえば、かの佐久間祐司と同レベルだ。

 当時初めて彼のレベルを知ったときは、その数の大きさに驚愕したものだ。実際にも佐久間はレベリオンのナンバー2であり、レベルの高さだけを見れば、彼と比肩する構成員はいないのだとも聞いた。

 そんな佐久間にーーもう追いついたってのか。

 もちろんレベルが上がるデメリットなんてないし、強くなることは単純に嬉しい。だが、俺とほぼ同時期に異能に目覚めた高城のレベルはまだ2だ。

 そりゃまあ、レベル30の相手を倒したのは俺だし、多少リードするのは当然としても、この差は大きすぎる。

「な、なんだ、いまのは……」

 リーダー格の生徒が、膝を抱えながら俺を見上げた。ちなみにもう《闇の衣》は解除してある。

 俺は同じく《闇の双剣》も解除し、手ぶらになると、リーダー格にひょいと腕を振ってみせた。

「まあ、同じいじめられっ子だし、同じ学生だし、殺しまではしない。あんまりしつこいようなら、次はわからんが」

「ふん、同じいじめられっ子などと……よく言えたものだな……」

 きりきりと歯を食いしばりながら、俺と高城を交互に睨んでくる。

「高城絵美、おまえもだ! おまえたち《犯罪者》が俺らに与えた苦しみ……必ず、味わわせてやる!」

 瞬間。

 さきほどまで俺たちを包んでいた深い霧が、綺麗さっぱりと消えてなくなった。代わりに民家などの風景が蘇り、俺たちは見慣れた通学路に立っていた。どうやら創造魔法の時間が切れたらしい。

 構成員たちはそれぞれ俺たちに捨て台詞を吐きながら、辿々しい足取りでいずこへと去っていった。

「いいの……? 逃げちゃったよ……?」

 俺の隣に並びながら、高城が訊ねてくる。

「いいのさ。あの傷なら当分戦うことはできないだろうし、それにーー」

 あいつらだって、元々はいじめの被害者なのだ。
 同じ底辺として、いじめっ子が憎くて堪らないという気持ちはよくわかる。

 それを無慈悲に殺すなんて……
 さすがに可哀想だ。

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