二つの異世界で努力無双 ~いつの間にかハーレム闇魔法使いに成り上がってました~
通じない謝罪
「や、やめないかおまえたち! わ、私に銃を向けるとは、いったいどういうつもりだ!」
「くくく……やめなよ署長さん。こいつらはもうあなたの命令なんて聞かない。俺の忠実な下僕なんだよ」
「な、なんだと……」
署長室。
制服姿の佐久間祐司が、五名の警官を従えて、いままさに署長に襲いかかろうとしていた。
部屋のあちこちでは、ソファや賞状などが乱雑に転がっている。
さきほどまで乱闘していたのだろう。
本棚と思わしき家具が、大量の本を散らかしたまま倒壊している。
俺はちらと視線をずらした。
署長らしき年輩の男性が、部屋の隅に追いつめられていた。顔面蒼白で部下たちに正気に戻るよう訴えているが、警官たちはまるで聞く耳を持たない。
「署長さん。あなたにも俺たちの下僕になってもらうよ。色々と使い道がありそうだからね」
「ふ、ふざけるな! 小僧、こんなことしたらタダじゃ済まされんぞ!」
佐久間がくっくと肩を揺らす。
「ほう、どうタダじゃ済まないと言うんだよ? 警察ですら俺ひとりになにもできないじゃないか」
「ぐっ……なぜ、こんな子どもに警察署が……」
署長の言葉など聞く耳を持たず、佐久間は片手を掲げた。
一瞬にして巨大な青い光が部屋に充満する。
かと思うと、佐久間の右手に勢いよく収束されていく。
使役の魔法だ。
そう判断した俺は、よく通る声で集団に呼びかけた。
「そこまでだ」
全員が数秒固まった。間を置いてこちらに振り向く。
一番大きなリアクションを示したのは、やはり佐久間だった。大きく目を見開き、彼の右手に満ちていた蒼の光も瞬時に消え失せた。
「吉岡……。それに、高城絵美だと……」
そんな佐久間の反応を見て、俺たちを敵だと認識したのだろう。五名の警官が、さっと俺たちに銃の先を向ける。
佐久間は引きつった笑みを浮かべながら、俺たちに数歩歩み寄ってきた。
「いやいや色々とおかしいな。なぜ吉岡がここにいる? しかも殺したはずの高城まで一緒に」
「この人は私を助けてくれたの。化け物に殺されかけた私を」
高城の決然とした言葉に、佐久間の表情から初めて憎悪のいろが浮かんだ。クラスメイトの長髮が刺々しく浮き上がる。
「そうか……吉岡、貴様スパイだったんだな……?」
その強烈な視線を堂々と受け止め、俺は冷然と言い放った。
「本当はもっと長いこと潜入しようと思ってたさ。けどそうもいかなくなった。おまえたちが高城を殺すだけでなく、こうして無関係な警察まで巻き込んでいるからな」
「くくく……はははっ!」
苦々しい表情はそのままで、口を大きく歪めて笑い出す。
「失望したよ吉岡。クラスで一番落ちぶれていた貴様なら、きっと俺たちの良い仲間になると思っていた。それがなんだこのザマは! まさか高城に色気で惑わされたんじゃあるまいな!」
「違う!」
高城が大きく声を張った。
「この人はまだ、私を許してくれてない! それくらい私のやってきたことはひどかった!」
そこで一呼吸入れると、高城はしっかりと佐久間を見据え、声のトーンを落として頭を下げた。
「あんたにもかなり嫌な思いをさせたよね。だから……ごめん」
「やめろ!」
今度は佐久間が声を張り上げた。
「今更ごめんだと……。ふざけるな! 軽い、軽いんだよ! いままで俺たちが受けてきた苦しみを、たったその一言で済まそうとするな! そう簡単に償えると思ってんじゃねえ!」
「くくく……やめなよ署長さん。こいつらはもうあなたの命令なんて聞かない。俺の忠実な下僕なんだよ」
「な、なんだと……」
署長室。
制服姿の佐久間祐司が、五名の警官を従えて、いままさに署長に襲いかかろうとしていた。
部屋のあちこちでは、ソファや賞状などが乱雑に転がっている。
さきほどまで乱闘していたのだろう。
本棚と思わしき家具が、大量の本を散らかしたまま倒壊している。
俺はちらと視線をずらした。
署長らしき年輩の男性が、部屋の隅に追いつめられていた。顔面蒼白で部下たちに正気に戻るよう訴えているが、警官たちはまるで聞く耳を持たない。
「署長さん。あなたにも俺たちの下僕になってもらうよ。色々と使い道がありそうだからね」
「ふ、ふざけるな! 小僧、こんなことしたらタダじゃ済まされんぞ!」
佐久間がくっくと肩を揺らす。
「ほう、どうタダじゃ済まないと言うんだよ? 警察ですら俺ひとりになにもできないじゃないか」
「ぐっ……なぜ、こんな子どもに警察署が……」
署長の言葉など聞く耳を持たず、佐久間は片手を掲げた。
一瞬にして巨大な青い光が部屋に充満する。
かと思うと、佐久間の右手に勢いよく収束されていく。
使役の魔法だ。
そう判断した俺は、よく通る声で集団に呼びかけた。
「そこまでだ」
全員が数秒固まった。間を置いてこちらに振り向く。
一番大きなリアクションを示したのは、やはり佐久間だった。大きく目を見開き、彼の右手に満ちていた蒼の光も瞬時に消え失せた。
「吉岡……。それに、高城絵美だと……」
そんな佐久間の反応を見て、俺たちを敵だと認識したのだろう。五名の警官が、さっと俺たちに銃の先を向ける。
佐久間は引きつった笑みを浮かべながら、俺たちに数歩歩み寄ってきた。
「いやいや色々とおかしいな。なぜ吉岡がここにいる? しかも殺したはずの高城まで一緒に」
「この人は私を助けてくれたの。化け物に殺されかけた私を」
高城の決然とした言葉に、佐久間の表情から初めて憎悪のいろが浮かんだ。クラスメイトの長髮が刺々しく浮き上がる。
「そうか……吉岡、貴様スパイだったんだな……?」
その強烈な視線を堂々と受け止め、俺は冷然と言い放った。
「本当はもっと長いこと潜入しようと思ってたさ。けどそうもいかなくなった。おまえたちが高城を殺すだけでなく、こうして無関係な警察まで巻き込んでいるからな」
「くくく……はははっ!」
苦々しい表情はそのままで、口を大きく歪めて笑い出す。
「失望したよ吉岡。クラスで一番落ちぶれていた貴様なら、きっと俺たちの良い仲間になると思っていた。それがなんだこのザマは! まさか高城に色気で惑わされたんじゃあるまいな!」
「違う!」
高城が大きく声を張った。
「この人はまだ、私を許してくれてない! それくらい私のやってきたことはひどかった!」
そこで一呼吸入れると、高城はしっかりと佐久間を見据え、声のトーンを落として頭を下げた。
「あんたにもかなり嫌な思いをさせたよね。だから……ごめん」
「やめろ!」
今度は佐久間が声を張り上げた。
「今更ごめんだと……。ふざけるな! 軽い、軽いんだよ! いままで俺たちが受けてきた苦しみを、たったその一言で済まそうとするな! そう簡単に償えると思ってんじゃねえ!」
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