二つの異世界で努力無双 ~いつの間にかハーレム闇魔法使いに成り上がってました~
え、不老不死?
可憐すぎるその笑顔に、思わず見取れてしまう。彼女の可愛らしい微笑みは、誇張でもなくモデルのそれだった。
なんだろう。そんなはずはないのだが、俺は彼女を知っているような気がする。いや、知っているどころか、かつて俺たちは……
俺が深い思考に捕らわれているうちに、少女はかなりの至近距離にまで近づいてきていた。
「わっ」
と俺が変な声をあげるのも束の間。
なんと俺の両手をつかみあげるや、やや元気をなくした声音で告げた。
「ごめんね。よくわからないよね。全部私のせいなんだ」
ちょ、ちょっと待ていきなり手ェ握るとか童貞の俺になにしてくれちゃってんのよ!
などとは言えず、俺は持ち前のコミュ障をいかんなく発揮し、
「え……えーっと、えと」
と声にならない声をあげた。
しかしながら少女は不審がる素振りをいっさい見せず、またも天使顔負けの笑顔を浮かべた。
「大丈夫。これから全部わかる。もう前みたいな失敗はしないから」
なんだ、どういうことだ? まったくもって訳がわからない。
突如。
彼女がさっと顔を振り向かせた。さっきまでの可憐な表情はどこへやら、鋭い眼力である一点を見つめている。
なんなんだ?
固唾を飲んで、俺は彼女に視線を合わせーー
思わず息を詰まらせた。
三人の男がいつの間にか俺たちを囲んでいたからだ。全身を黒服で包み込み、うつろな顔で俺たちをぼんやり見つめている。ゾンビさながらに、弛緩した表情で涎を垂らしている者もいた。
膝をがくがく震わせながら、俺は数歩後退した。
俺の脳が本能的に危険信号を発している。このままでは危ないと。
同時に、俺は不良生徒の失踪事件についても思い出していた。
この事件が解決しない理由として、目撃情報が極端に少ないことが挙げられる。奇妙なことに、事件発生の寸前、被害者と一緒にいた友人たちは、みな口を揃えて「覚えていない」と証言しているのだ。なにも記憶に残っていない。嘘でもなんでもなく、本当に覚えていないらしいいのだ。
事件の奇妙さと、この状況の異常っぷりが、どこか繋がっている気がした。
だが、いまそんなことに気づいてもどうしようもない。これはただ事ではない。
ひとりの男が、覚束ない動作でこちらに手の平を向けた。薬でもヤっているかのような頼りない動きだが、その特異さがさらに恐怖心を煽ってくる。
なにかくるーー!
身も凍る戦慄を覚えながら、俺はさっと構えた。
瞬間。
男の腕から放たれた光の光線ーーとでもいうべき可視放射が、目にも止まらぬスピードで俺の脇を走り抜けた。
「うっ……」
少女が呻き声をあげるのと、俺が振り向いたのは同時だった。
彼女の胸には見るに堪えない大穴が抉られていた。そこから垣間見える人間の内蔵と、溢れ出る血液は、少女が即死してもおかしくないことを直感させた。
「お、おい、大丈夫か!」
俺は膝を屈め、倒れようとする少女を支えた。わけのわからないことの連続だった。少女だけが頼りなのに、その彼女があっけなく死ぬなんて……
しかして、少女は死の淵にいながらも薄い笑みを浮かべていた。彼女の背を支えている俺の手に、白く美しい手を添えてくる。
「私のことは大丈夫。でも、あなたはこのままじゃ死んじゃうわ。奴らから目を離さないで」
なんだろう。そんなはずはないのだが、俺は彼女を知っているような気がする。いや、知っているどころか、かつて俺たちは……
俺が深い思考に捕らわれているうちに、少女はかなりの至近距離にまで近づいてきていた。
「わっ」
と俺が変な声をあげるのも束の間。
なんと俺の両手をつかみあげるや、やや元気をなくした声音で告げた。
「ごめんね。よくわからないよね。全部私のせいなんだ」
ちょ、ちょっと待ていきなり手ェ握るとか童貞の俺になにしてくれちゃってんのよ!
などとは言えず、俺は持ち前のコミュ障をいかんなく発揮し、
「え……えーっと、えと」
と声にならない声をあげた。
しかしながら少女は不審がる素振りをいっさい見せず、またも天使顔負けの笑顔を浮かべた。
「大丈夫。これから全部わかる。もう前みたいな失敗はしないから」
なんだ、どういうことだ? まったくもって訳がわからない。
突如。
彼女がさっと顔を振り向かせた。さっきまでの可憐な表情はどこへやら、鋭い眼力である一点を見つめている。
なんなんだ?
固唾を飲んで、俺は彼女に視線を合わせーー
思わず息を詰まらせた。
三人の男がいつの間にか俺たちを囲んでいたからだ。全身を黒服で包み込み、うつろな顔で俺たちをぼんやり見つめている。ゾンビさながらに、弛緩した表情で涎を垂らしている者もいた。
膝をがくがく震わせながら、俺は数歩後退した。
俺の脳が本能的に危険信号を発している。このままでは危ないと。
同時に、俺は不良生徒の失踪事件についても思い出していた。
この事件が解決しない理由として、目撃情報が極端に少ないことが挙げられる。奇妙なことに、事件発生の寸前、被害者と一緒にいた友人たちは、みな口を揃えて「覚えていない」と証言しているのだ。なにも記憶に残っていない。嘘でもなんでもなく、本当に覚えていないらしいいのだ。
事件の奇妙さと、この状況の異常っぷりが、どこか繋がっている気がした。
だが、いまそんなことに気づいてもどうしようもない。これはただ事ではない。
ひとりの男が、覚束ない動作でこちらに手の平を向けた。薬でもヤっているかのような頼りない動きだが、その特異さがさらに恐怖心を煽ってくる。
なにかくるーー!
身も凍る戦慄を覚えながら、俺はさっと構えた。
瞬間。
男の腕から放たれた光の光線ーーとでもいうべき可視放射が、目にも止まらぬスピードで俺の脇を走り抜けた。
「うっ……」
少女が呻き声をあげるのと、俺が振り向いたのは同時だった。
彼女の胸には見るに堪えない大穴が抉られていた。そこから垣間見える人間の内蔵と、溢れ出る血液は、少女が即死してもおかしくないことを直感させた。
「お、おい、大丈夫か!」
俺は膝を屈め、倒れようとする少女を支えた。わけのわからないことの連続だった。少女だけが頼りなのに、その彼女があっけなく死ぬなんて……
しかして、少女は死の淵にいながらも薄い笑みを浮かべていた。彼女の背を支えている俺の手に、白く美しい手を添えてくる。
「私のことは大丈夫。でも、あなたはこのままじゃ死んじゃうわ。奴らから目を離さないで」
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