のらりくらりと異世界遊覧

霧ヶ峰

第24話:学園へ行く前日

クロウが転生者だと判り、家族という物の暖かさを再確認した日から、約2年と半年が過ぎ、今は春。冬の寒さが終わりを告げ、新たに若葉が芽生え始める頃。



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アイザックの納める地【ローベル】の村からほど近くの河原に、3人の人影と1匹の動物がいた。

「いや〜、カルとククルを鍛えるって言った日から、もう2年半も経つんだね〜」
河原で大人の腰ほどまである大きさのオオカミを撫でながらそう呟くのは、この2年半で少し身長が伸び、120センチの大台に到達したクロウ。実際は124センチちょいだ。腰ほどまである髪を少し切って背中までの長さにしている。顔つきはあまり変わらず、初対面の人の半数ほどが美少女だと思ってしまうほどのもの。

「そっかぁ、もうそんなに立つんだな・・・」
クロウの横に立って、感無量といった感じで遠い眼をし始めたのは、身長140センチ後半という9歳の子供の平均身長から10センチほど大きくなりすぎた、濃い緑色の髪で碧眼の少年…いや、もう青年といった方がいいのか。髪を短く切り、いかにもなイケメンオーラを放ちやがっている。そう、カルことカレア・クルスだ。この2年半でクロウとは正反対に成長して、凛々しい顔立ちになってしまった。

「この2年半は、大変でしたよね・・・」
こちらもカルと同じように遠い眼をしている美少女。カルと同じ緑髪だが、こちらの髪はカルのような深緑色ではなく、薄い翠色の髪で、それを頭の後ろで纏め、小さめのポニーテールにしている。瞳の色は金色だ。クロウの横に腰掛けて、手元にある“緑色の魔石”が鍔に埋め込まれているレイピアの鞘を指でなぞっている。実に幸せそうな表情をしていて、それを作ったクロウとしては有難いのだが、ちょっと怖い。この美少女こそ、我らがククルことクレア・クルスである。


「そうだな、カルとククルが父様と母様に弟子入りするって言い出したこととか。弟子入りした後の地獄のような猛特訓にボクも付き合わされたり・・・」

「ぐっ!ヤメロォ!あの頃の地獄を思い出させるな!」
頭を抱えながらゴロゴロとのたうち回っているカルを尻目に、ククルが話を引き継ぐ。

「クロウちゃんがいきなり、森で狩りをしよう!なんて言い出した時は、もうビックリして固まっちゃりましたよね。しかも、その後森に入ったら、いきなりジンちゃん達が飛び出してくるんだもんね」

「あれは、やばかった。ビックリし過ぎて死ぬかと思った。・・・・・あの時のジンは、まだちっちゃくて可愛かったんだけどな・・・今はもうこんなに立派になって・・・」
記憶の封印が完了したのか復活してきたカルも会話に混ざり、その先どんどんと話が進んでいった。





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「あとは、あれだな。最後の試練ってことで、あの森の奥に1週間放置だもんな。あの試練は、クロウが俺たちを森に誘って遊んだりしてなかったらクリアできてなかったぜ」

「そうね・・・そう考えたら、クロウちゃんの森遊びに付き合わされてよかったのかもね。食べれる果実の種類とか、傷薬に出来る薬草の見分け方とか・・・あと、動物の剥ぎ取りとかね・・・・・ハァ・・・なんでこんなこと教えられるんだろうって思ってたら、あの試練だもんね」
カルとククルはアイザックとシャーロット、そして知らないだろうがクロウからの最終試練として、森の奥地で1週間のサバイバルが課せられたのだ。もちろん、クロウがバレないように[インビジブル](光系魔法、第5階の中級魔法。効果は名前の通り)や[シャドウムーブ]などを使って、こっそりと監視・支援していたが・・・まぁ、2人は知らないほうが幸せだろう。



「おーい!クロウ!カル!ククル!もうすぐ日が暮れるぞ!」
そうやって、3人プラス1匹で黄昏ていると、土手の上の方から、エヴァンの声がした。

「ん?あぁ、もうそんな時間かぁ・・・ヴァンさんありがと」

「良いってことよ。お前達、明日出発だろ?早朝に出るんだから、今日は早めに寝ろよ」
エヴァンはそう言うと、早めに帰れよと言い残し村の方へと歩いて行った。どうやら、夕暮れどきになっても帰ってこないカルとククルを心配して、探しに来てくれたらしい。

「うーん、じゃあ、今日はここらで解散としますか」

「おう!」「うん」

「じゃあ、明日の早朝に村の前集合ね。寝坊と忘れ物するなよ?」
冗談交じりにそう言ったが、カルはアイザックとの訓練の時に忘れ物をしてその日の訓練量3倍になったことがあるためか・・・

「分かってる。忘れ物ほど恐ろしいものは無いからな・・・」
と、少し引き攣った笑みを浮かべてそう言っていた。


「お、おう。じゃあ、解散!」


バイバーイと、手を振りながら河原を上流の方に歩いて行くクロウと、土手まで駆け上がろうとして足を滑らせ河原に逆戻りしているカル。それを、もうすでに土手に登っているククルが、お腹を抑えながら爆笑していた。













「さてと・・・ジン。スピード上げるぞ」
クロウの胸ほどの大きさまで成長したジンに向かってそういう。

『ご主人。ボクに乗らないの?』
普段は、自分に乗って森の中を駆け回っているため、クロウが乗ってくれないの少しだけ寂しく感じてしまうジンであったが

「明日から馬車で移動なんだ。その時にいっぱい乗ってやるからさ」
というクロウの言葉で、元気が戻り。尻尾を千切れんばかりに振り始めた。

『ほんと?ほんと?絶対だよ?』
クロウの周りをグルグルと回りながらそう聞いてくるジンの姿は、とても愛くるしく、クロウの脳内フォルダーに永久保存される事となった。


「もちろん。じゃあ、家まで競走するか?」
鼻血が出そうなのを堪えつつ、河原に落ちている手頃な石を手に取って言う。

『うん!今日は負けないもんね!』

「お?言ったな?じゃあ、この石が川に落ちたらスタートだっ!」
そう言って、思いっきり上にぶん投げる。投げられた石は、風切り音を立てながら飛翔し、そして、急降下して行く。

そして・・・

ドボォォォンンン!!!

と言う、水面に石が落ちただけだとは思わせない音と、大きな水柱を立てる。

そして、その音が河原に響いた瞬間・・・

「GO!!」『ッ!』
パシュン!
という音と共にクロウとジンの姿も掻き消える。
その後、クロウとジンのいた所には、一瞬だけ煌めいて空中に溶けるように消えていった魔法陣のようなものと、焼け焦げたような跡が残っていた。










「・・・・・ふぅ〜。危ない危ない。負けそうになったよ」
垂れてもいない汗を拭う動作をしながら、自分の横で、ぐったりと疲労しているジンに向かっていう。

『ハァ・・・ハァ・・・ハァ。う、嘘だぁ。全く・・・つ、疲れていないじゃん・・・グハァ』

「あ、力尽きた。仕方ない…[ゲート]」
家の前で力尽きたジンを軽々と担いで、木陰を開いた[ゲート]に[インビジブル]を上掛けし、不可視の状態にした後、その中に入っていく。






「みんな〜、ただいま〜」
[ゲート]を潜って、第一声でそう言う。

『『『『お帰りなさい!!!』』』』
[ゲート]の中から帰ってきたのは、ジンと同様に成長した召喚獣たちの出迎えの声だった。


子猫だった[イザナミ]は、クロウの膝上ほどの大きさになり、闇・水属性の扱いが上手くなり、影の硬質化や影の中に潜んだり、水をウォーターカッターのように射出することなど、様々なことが出来るようになった。
同じように、[サクヤ]と[フレイヤ]も成長し、体が[サクヤ]はひと回り、[フレイヤ]はふた回りほど大きくなった。そして、体毛が生え代わり、[サクヤ]はよりきめ細かくなったようで、魔力を通し易くなったようだ。一方、[フレイヤ]は、生え代わりに寄って、首回りと翼の先端、尾羽の色が碧色に変化していた。
人見知り気味だった[ツクモ]は、嬉しいことだが、クロウに超絶べったりとなり、まるで性格【主人愛】
みたいになっている。しかも、尻尾の数も6本となり、使える属性も1つ増えて、6属性となった。


ジンを含めて、5匹の召喚獣はそれぞれ違った成長を遂げ、もうすでにクロウの大切な戦力となっている。
多分、ジン1匹でもカル&ククルとは、互角以上に渡り合うことができるだろう。

そんな凶悪?でかわゆい集団に囲まれながら、クロウは、既に力尽き眠っているジンを敷いてある毛皮の上に寝かせ、残りの4匹に言う。
「皆んな、明日から馬車で学園に向かうから、今日は早めに寝てね。明日の朝は、早いからね〜。村から出たら自由行動だから、楽しみにしててね」
[ゲート]から出る前にそう言い残していく。

『『『『おー!!!』』』』
その言葉に、寝ているジンを除いた4匹は声を抑えてだが、嬉しそうに声を上げていた。















「さてと・・・」
[ゲート]から出て、自宅の門を潜る。

「あら!お帰りなさいませ。クロウ様」
潜ったところで、庭の掃除していたエリーことエリスが出迎えてくれた。

「うん、ただいま。今日のご飯ってなに?」

「えっーと、確か・・・クロウ様の狩っていらした、ホーンラビットのクリームシチューだった気がします」

「やった!」
ホーンラビットの肉は、淡泊な味だが、数種類のスパイスて炒めたり、シチューなどに入れて煮込むととても美味しくなるので、ホーンラビットのクリームシチューはクロウの好物の1つだ。

「フフ…クロウ様が明日から学園へ向かわれるため、シャーロット様がご自身で料理なさっていますよ。もうそろそろ完成なさ「出来たー!!!」ったそうですね」
玄関の前で話していると、家の中からシャーロットの声が響いて来た。
どうやら、満足いくものが完成したようだ。

「出来たってさ、エリー入ろ?」

「そうですね。私は、箒を片付けて参りますのでお先に入っていて下さい」
そう言ってエリーは、1つでお辞儀すると、箒を持って家の裏へと駆け足で行ってしまった。

「ありゃ、行っちゃった。しょうがない・・・」
クロウはそう呟くと、目の前にある両開きの扉の片方だけを開いて中に入り、「ただいまー」と言う。

すると、厨房の方からドタバタと誰かが走ってくる音が聞こえ、間も無くシャーロットが飛び出して来た。

「おーかーえーりー!!!」
シャーロットは、エプロン姿のまま厨房から飛び出してクロウに抱き付いてくる。

突然の事だが、クロウからしてみれば日常茶飯事のため、飛びついてくる前に身体強化を発動させて受け止める体制に入る。
その後、強い衝撃を受けたが、シャーロットをしっかりと受け止めて
「ただいま戻りました。母様」
と、満面の笑みで返す。

「はい、お帰りなさい。クロウちゃん、今日はクロウちゃんの好きなクリームシチューよ!手を洗ったら、座ってちょうだい。私は、アイちゃんを呼んでくるから」
そう言って、2階へと歩いて行った。


クロウはシャーロットの言いつけどうり、手をしっかりと洗ってから、食卓に着いた。クロウが座ってからすぐにシャーロットに連れられてアイザックが食堂に入って来た。

アイザックとシチューが運ばれてくるまで何気ない会話をしていると、シャーロットとリリー、ケリーが1人2皿ずつシチューを持って来た。その後、箒を片付けて身嗜みを整えたエリーが、食堂に入って来て、食事の準備に加わった。

間も無く、夕食の準備が終わり、ロペス家全員(ペット?達を除く)が席に着く。今日のメニューは、クロウの好物のホーンラビットのクリームシチューと薄く切られたフランスパンのようなもの、そして、ケリーが趣味で行っている家庭菜園で採れた野菜のサラダだった。


「みんな、行き渡ったわね?それでは、いただきます」

「「「「「いただきます」」」」」

ホーンラビットの肉は少し大きめに切られ、程よく煮込まれていて、口の中で溶けるように無くなっていった。フランスパンのようなものは、バターを塗って少し炙られているようで、そのまま食べても美味しいが、シチューに浸してから食べるとより一層美味しくなった。ケリーの野菜も、とても新鮮でシャキシャキとした歯応えが良く、トマトやオリーブから作ったドレッシングととてもマッチしている。

「・・・・・・・・・」
笑顔のままずっと無言で夕食を食べているクロウを、アイザック達は暖かい笑みで見ていたが、自分の食が全く進んでいないことに気づき、自分達も食べることに集中し始める。

この日の夕食は、ロペス家には珍しく、口数が少なかったが、夕食が終わると

「そうだ・・・クロウ、この後、お風呂に入ってからでいいから俺の書斎まで来てくれ」
と、アイザックが話しかけて来た。

「?・・・わかりました」
一体なんだろうと思いつつも了承し、一旦自分の部屋に戻り、着替えを持ってから風呂へ行く。



風呂に浸かりながら、まるで少女のような自らの体を見て溜息を吐くが、今までの…クロウとしての人生を思い出し、心の中でそっと、自分を生まれ変わらせてくれた、あの少女のような神様に感謝する。

「・・・よし!これからも頑張ろう!」
お湯をピシャリと顔にかけ、気合を入れる。
そして、浴槽から出て体を吹き、なかなか乾かない髪の毛は、魔法でちょちょいと手を加えて乾かす。

そして、寝巻きに着替えると、アイザックが待っているであろう書斎へと向かった。















「・・・父様。クロウです」
アイザックの書斎のドアをノックし、来たことを知らせる。

「ん?あぁ、入ってくれ」
中から許可の返事が来たことを確認してから扉を開け、書斎へと入る。

「父様。何でしょうか・・・って、何してるんですかこれは」
クロウは、アイザックの書斎に入るが、そこに並べられていたものを見て驚きの声を上げる。

「これはな、父さんが集めていたコレクションだ。学園て得たコネを使って世界中から集めたありとあらゆる武器、防具、そして、マジックアイテムだ」
目の前に所狭しと並べられた、様々な形をした武具とお守りのようなものから、藁人形みたいな呪いのアイテム的なものまで、色々なものが並べられている。


驚き半分、呆れ半分といった感じで、アイザックのコレクションを眺めていたクロウだが、とある1つの武器に目が吸い寄せられる。
「・・・!これは」

「ん?それは、確か東の国に婿入りした友人から買ったものでな、【カタナ】と言うものらしい。剣の一種のようだが余り使われないみたいでな。中でも、名前も、誰が作ったかすらわからないそいつは、向こうでは煙たがられてたみたいでな、結構安く手に入ったんだ。この中からいくつかお前に譲ろうと思ってたんだが・・・どれがいい?好きなのを、そうだな、3つくらいなら上げるぞ」

「【刀】・・・」
ソレは、紅い樹木で造られた後に、漆の様なものを塗られたことで赤黒い色合となり、柄は同じ様なものに黒染めされた紐が巻かれ、黒染めされた鍔は美しくも禍々しく輝きを放つ。

クロウは、吸い寄せられるようにその刀を手に取り、少しだけ鞘を抜く。そこから現れるのは、刀特有の美しき刃紋と、研ぎ澄まされた鋭い刃だった。

「クロウ・・・お前は、それを知っているのか?」
刃の美しさに見とれていたが、アイザックの言葉を受けて正気に戻る。

「僕が前世に住んでいた国に伝わる伝統的な武器にとっても似てるんです。しかも、持ってるとなんだか身体が暖かくなってくるんです」

「そうかそうか!なら、お前はその【カタナ】に選ばれたと言うことか」
アイザックは、嬉しそうに目を細め、クロウには聞こえないくらいの声でそう呟いた。

「よし!クロウ、その武器はお前にやる!あと2つ好きなのを選でいいぞ」

「はい!父様!」
【刀】をギュッと握り締めながらクロウは、元気に返事をした。














「・・・これと、これかな。・・・父様!決めました!」
クロウが、選び始めてからかなりの時間が経った。

「・・・ん!あぁ、終わったか。ふぁ〜あ、それにしても長かったな。結局どれにしたんだ?」
半分眠っていたアイザックは、クロウに起こされて目をこすりながら聞く。

「これとこれです」
そう言ってクロウが差し出したのは、刀身から柄まで全て真っ黒で、刀身と柄の中間ぐらいに模様の入ったこれまた黒い宝石が付いている少し長めの短剣と、装飾の余り付いていない、黒い金属質の腕輪だった。

「・・・何と言うか、真っ黒だな」

「いいじゃないですか、カッコいいんですし」

「いいんだが、何でこいつらを選んだか聴いてもいいか?」
クロウのセンスには、なにかと驚かされることが多いため、何故この2つを選んだか興味が湧いて来た。

「ええ。こっちの短剣は、魔力の流れ易くて丈夫な金属で出来ているみたいで、しかも中の宝石には、多分ですけど闇属性魔法の補助魔法陣が彫刻されています。そして、こっちの腕輪は、“アイテムボックス”です」

「なっ!“アイテムボックス”だと・・・」

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アイテムボックス

この世界に点在する迷宮の中から極稀に産出されるもの。
それは、大抵が道具袋の様な形をしており、保持者の魔力量によって中に補助できる量が変わる不可思議なマジックアイテム。
稀に袋型ではないアイテムボックスか産出されることがある様だが、それがアイテムボックスだと気付かずに、それらのほとんどはただのガラクタとして扱われてしまう。

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「まさか、御守りだと言われて買ったものがアイテムボックスだったとはな・・・ん?そう言えば、さっきの【カタナ】は何処にいったんだ?」
アイザックは、ちゃっかりと、もう既に腕にアイテムボックスをはめているクロウが、刀を持っていないことに気づいた。

「【刀】ならここにありますよ」
そういって、アイテムボックスから刀を取り出すクロウ。アイザックからしてみれば、刀がクロウの手元に急に現れた様にしか見えない。

「へぇ〜、腕輪型のアイテムボックスっていうのは、そうやって取り出すのか」

「ええ、何となくやったら出来ました」
傍目から見ると手品のようなことだが、クロウ自身からして見ると、ただ収納したいものを手に持って『収納』と思えば勝手にアイテムボックスに中に収納されるし、取り出したいときは、取り出したいものを思い浮かべれば手元に出てくるのだ。

『まぁ、[ストレージ]のカモフラージュ何だけどね』
カモフラージュのために下手したら国宝級のマジックアイテムを使うクロウであった。



「へぇ・・・ってもうこんな時間か。クロウ、明日は早いんだからもう寝なさい。遅れたら、絶対にカルやククルに怒こられるぞ」

「はーい。父様、餞別ありがとうございます!お休みなさい!」
書斎から出るときにぺこりと頭を下げて自室まで走っていくクロウをアイザックは、穏やかな笑みで見つめていた。


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