第14話:命の危機？

「あいつは、生きてる。…必ずな」
アイザックは、そう言ってもう森へ目を向けた。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「え！？ちょっ！ギャァアアア！！！」

頭上5メートルほどに生成された5つの燃える穂先を見て驚きながらも回避行動をとる。
瞬時に［フィジカルブースト］を使用し、足裏に魔力の足場を作って横へと飛ぶ、この時に魔力足場を展開しないと［フィジカルブースト］での蹴りの威力で地面がかなりえぐれてしまう。
クロウが横へ飛んだ後、コンマ2秒ほどで、ついさっきまでクロウよいたところへ［フレイムランス］が突き刺さり爆発した。

『くっ！爆風がつよい！』
とっさに飛んでしまったため、空中に浮いてしまっているクロウに［フレイムランス］の爆風が直撃する。
クロウは、瞬時に腕を顔の前で交差させ足を曲げて身体へのダメージを減らすが、そのせいで100メートルほど吹き飛ばされてしまった。




クロウが吹き飛ばされた先は、家の近くにある森の中だった。
吹き飛ばされて、地面に身体が打ち付けられる瞬間
地面を手で叩き、体勢を整える。
それによって、頭が地面に打ち付けられることはなかったものの、吹き飛ばされた勢いが残っていたためそのまま数メートルほどスライドした後、やっと完全に止まることができた。
「まじかよ…僕の身体ってこんなに軽かったんだ…。
それにしても、飛びすぎじゃね！？」
運良く、木にぶつかることなく吹き飛ばされてしまったため、森の中心部まで来てしまった…

「どっちから飛んで来たんだ？空中で何回か回転したからわかんねぇや…」
鬱蒼と生い茂った木々によって月明かりすらまともに差し込まない森の中で辺りを見回しながらため息をつく。
木の上にでも登るか？と考えていると………


「グルルルルル………」
と、クロウの後ろから唸り声が聞こえた。
甘え声でなく、仲間を呼ぶ声でもない、明らかに敵意や殺意をもった声

「………えっと〜、どちら様でしょうか………」
そーっとゆっくり顔を後ろに向ける。
そこにいたのは………
体長2メートルほどの赤黒い毛皮をまとい、10センチほどの巨大な爪を生やし、「餌を見つけた」と言わんばかりに目を光らせ、牙を剥き出しにする巨きな熊がいた。

「………うわぁ………」
自らの2倍以上の大きさを誇る巨大な熊を目の前に、身体を震わせるクロウ。

巨大な熊はそれを恐怖していると思い、ゆっくりと唸り声を上げながら立ち上がった…
そして、一旦空気を吸い込み
「グァオオオオオオオ！！！」
とその巨体に見合った大声で咆哮した。
その咆哮は、周りの空気を震わせ、木々を軋ませた。


一般人では、卒倒してしまうほどの威圧を受けているクロウは


震える身体の前で拳を固く握り

ボソッと

「こ、これがリアルモ◯ハン…半端ねぇ」

と、呟いた。










紅い目を死神の様に爛々と輝かせながら………