異世界から「こんにちは」
パーティーのメンバー
「リアンはどこ行ったんだ?」
私たちのパーティーはけっして強くはないが実績は街でトップだ。なぜなら個々の能力を生かすリーダーの太刀による的確な指示があるからだ。
しかし現在リアンと共に行方不明でみんなどうするか思案しているのだ。
そして、今日も深夜の宿の一室にて話し合いが行われている。
「男女が二人で行方をくらます、何かありそうだよね」
ブルファが腕を組み考え始める。
ブルファは金髪のイケメン剣士で、ムキムキすぎない肉体美と剣術のレベルは街の歴代トップスリーに入るほどなのだが、鉄アレルギーで剣に触れられないのだ。
本人いわく肌が被れてしまうそうだ。
そのため鎧も装備できないので、防御もできずにいつも倒れている。
「リアンさんって確か太刀さんのこと好きだったよね?」
「そうなのか?」
「知らなかったのね」
初耳なことを言ったのはパーティーの中でゆういつ後輩にあたる、女魔法使いのシャマ。
ピンク色の髪は少数民族のマライ族特有の髪色でマライ族は今、魔法と幻法で対立していてマライ族の住んでいる地域は状勢が平穏とは言えない。
「シャマそれは本当か。もしそうだとすれば太刀をリアンが追いかけていったという可能性はある。しかし、その前にまずどこに行ったのか、これが分かれば理由も把握できる」
賢明なことを言っているのはこの街、ナバスで有名かつ恐れられている商人のワコーだ。
いつも泰然としていて、頭脳明晰でパーティーの重要な金銭収集を担う大事な存在。
ワコーに金を持たせると二日後には十倍になって戻ってくるのだから犯罪でも犯しているのではないかと不安でもある。
ワコーのサラサラな青髪から商売世界では青の金阿修羅と恐れられ、商売することを禁止されている。
「マークスも思うだろ」
ワコーが僕に話を共感を求めてくる。
「まぁ、そうだね」
この僕は、何の取り柄もない凡庸医者のマークス。
優柔不断、戦えない、守れないの三つでいつも足を引っ張ってしまうんだ。
こんな僕でもパーティーに入れてくれる太刀君の優しさにいつか恩返ししたいと思っている。
「確かリアンを入れた俺達四人で、太刀が消えた山林の中をそれぞれで捜して、見つからずふもとでリアンを待ったが一向に出てこなかった、やっぱりあの山林に何かあるとしか思えないぜ」
「あんな依頼受けた私が悪いんです」
ため息をつきながら肩を落とすシャマ。
あんな依頼とは、山林落うっかりとし物をしたので見つけてほしいというものだ。
落とし物とは赤い宝石、それも希少で高額なもので、魔法石の原石でもあるのだ。
報酬は一万イヤー、平均賃金の十ヶ月分に相当する量の大金だったのでつい受けてしまった。
それがこんな不運を招くなんて。
街はいつも賑やかで大勢が出入りして笑顔に満たされている。
しかし、そんなのは表だけ裏では殺しあいに差別、いじめ、さまざまな感情と欲望を持ち他人を傷つけ、嘲笑する。
青の金阿修羅などと呼ばれて嬉しいはずがないのだから俺の名はワコーだ!
商売ができないなんて理不尽すぎる。
俺は一人の商人なんだ!
イライラからそぞろ歩いているといつの間にか市場に来ていたようだ。
 「どうだいそこのねぇちゃん、うちの野菜買っていかねぇか」
野太い声。
「どうしようかなぁ?」
甲高い女の声。
「新鮮だぜ、収穫から一時間も経ってないからな」
馬鹿馬鹿しい。商売は利点を述べるのではなく事実を伝えるのだ。
さらに言えばこちらから気を引くのではなく相手が興味を持つようにする。そちらの方が客も買いやすい。
人間は促されるより自分の考えで物事を行う方が信じられるからだ。
買わせるのではない買ってもらう、これが俺の商売信念だ。
肩が何かと接触する。
「すいません」
「こちらこそすいません」
どうやら運び屋の男性みたいだ。
背中に大きな木箱を背負い、汗をかいて毎日ように物を運ぶ。
大変な仕事だがこの街には欠かせない重要な役割を担っているのだ。
「へっほ、へっほ」
運び屋の男性は走り去っていく。
俺も立ち止まっていたことに気付き歩き始める。
しかし、前方は物や人でかなり混雑していた。
ふと、住宅の隙間の薄暗い路地を見つける。   
なんとなく気を引かれたので、路地に入った。
いざ、入ってみると誰かが壁にもたれて腕を組み目を瞑っている。
その者は全身黒の服を着ていて通りすぎようとしたとき不意に声をかけられた。
「そこの青髪、知恵を貸してくれ」
「はっ?
「青髪よ、お前は人を捜しているみたいだな」
見透かされているのか? それとも当てずっぽうに尋ねているのか?
「そいつは今、何してると思う?」
答えなんて返せない。
そのまま返答に窮していると、瞑っていた目を開けた。
「知りたいだろうから一人だけ行かせてやるよ」
「どこに?」
フッと不気味に笑うと壁に持たれていた体をよいしょと起こしてこちらを見つめる。
「異世界にだ」
その者、瞳の明るさを無くして・・・・・・なんか引き込まれる感覚が。
目の前が真っ暗になった。
私たちのパーティーはけっして強くはないが実績は街でトップだ。なぜなら個々の能力を生かすリーダーの太刀による的確な指示があるからだ。
しかし現在リアンと共に行方不明でみんなどうするか思案しているのだ。
そして、今日も深夜の宿の一室にて話し合いが行われている。
「男女が二人で行方をくらます、何かありそうだよね」
ブルファが腕を組み考え始める。
ブルファは金髪のイケメン剣士で、ムキムキすぎない肉体美と剣術のレベルは街の歴代トップスリーに入るほどなのだが、鉄アレルギーで剣に触れられないのだ。
本人いわく肌が被れてしまうそうだ。
そのため鎧も装備できないので、防御もできずにいつも倒れている。
「リアンさんって確か太刀さんのこと好きだったよね?」
「そうなのか?」
「知らなかったのね」
初耳なことを言ったのはパーティーの中でゆういつ後輩にあたる、女魔法使いのシャマ。
ピンク色の髪は少数民族のマライ族特有の髪色でマライ族は今、魔法と幻法で対立していてマライ族の住んでいる地域は状勢が平穏とは言えない。
「シャマそれは本当か。もしそうだとすれば太刀をリアンが追いかけていったという可能性はある。しかし、その前にまずどこに行ったのか、これが分かれば理由も把握できる」
賢明なことを言っているのはこの街、ナバスで有名かつ恐れられている商人のワコーだ。
いつも泰然としていて、頭脳明晰でパーティーの重要な金銭収集を担う大事な存在。
ワコーに金を持たせると二日後には十倍になって戻ってくるのだから犯罪でも犯しているのではないかと不安でもある。
ワコーのサラサラな青髪から商売世界では青の金阿修羅と恐れられ、商売することを禁止されている。
「マークスも思うだろ」
ワコーが僕に話を共感を求めてくる。
「まぁ、そうだね」
この僕は、何の取り柄もない凡庸医者のマークス。
優柔不断、戦えない、守れないの三つでいつも足を引っ張ってしまうんだ。
こんな僕でもパーティーに入れてくれる太刀君の優しさにいつか恩返ししたいと思っている。
「確かリアンを入れた俺達四人で、太刀が消えた山林の中をそれぞれで捜して、見つからずふもとでリアンを待ったが一向に出てこなかった、やっぱりあの山林に何かあるとしか思えないぜ」
「あんな依頼受けた私が悪いんです」
ため息をつきながら肩を落とすシャマ。
あんな依頼とは、山林落うっかりとし物をしたので見つけてほしいというものだ。
落とし物とは赤い宝石、それも希少で高額なもので、魔法石の原石でもあるのだ。
報酬は一万イヤー、平均賃金の十ヶ月分に相当する量の大金だったのでつい受けてしまった。
それがこんな不運を招くなんて。
街はいつも賑やかで大勢が出入りして笑顔に満たされている。
しかし、そんなのは表だけ裏では殺しあいに差別、いじめ、さまざまな感情と欲望を持ち他人を傷つけ、嘲笑する。
青の金阿修羅などと呼ばれて嬉しいはずがないのだから俺の名はワコーだ!
商売ができないなんて理不尽すぎる。
俺は一人の商人なんだ!
イライラからそぞろ歩いているといつの間にか市場に来ていたようだ。
 「どうだいそこのねぇちゃん、うちの野菜買っていかねぇか」
野太い声。
「どうしようかなぁ?」
甲高い女の声。
「新鮮だぜ、収穫から一時間も経ってないからな」
馬鹿馬鹿しい。商売は利点を述べるのではなく事実を伝えるのだ。
さらに言えばこちらから気を引くのではなく相手が興味を持つようにする。そちらの方が客も買いやすい。
人間は促されるより自分の考えで物事を行う方が信じられるからだ。
買わせるのではない買ってもらう、これが俺の商売信念だ。
肩が何かと接触する。
「すいません」
「こちらこそすいません」
どうやら運び屋の男性みたいだ。
背中に大きな木箱を背負い、汗をかいて毎日ように物を運ぶ。
大変な仕事だがこの街には欠かせない重要な役割を担っているのだ。
「へっほ、へっほ」
運び屋の男性は走り去っていく。
俺も立ち止まっていたことに気付き歩き始める。
しかし、前方は物や人でかなり混雑していた。
ふと、住宅の隙間の薄暗い路地を見つける。   
なんとなく気を引かれたので、路地に入った。
いざ、入ってみると誰かが壁にもたれて腕を組み目を瞑っている。
その者は全身黒の服を着ていて通りすぎようとしたとき不意に声をかけられた。
「そこの青髪、知恵を貸してくれ」
「はっ?
「青髪よ、お前は人を捜しているみたいだな」
見透かされているのか? それとも当てずっぽうに尋ねているのか?
「そいつは今、何してると思う?」
答えなんて返せない。
そのまま返答に窮していると、瞑っていた目を開けた。
「知りたいだろうから一人だけ行かせてやるよ」
「どこに?」
フッと不気味に笑うと壁に持たれていた体をよいしょと起こしてこちらを見つめる。
「異世界にだ」
その者、瞳の明るさを無くして・・・・・・なんか引き込まれる感覚が。
目の前が真っ暗になった。
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