目の前に天使が現れたので日記を付けてみた

りょう

五日目⑤ ただいま

 ユリエルの服装や髪型についてあれこれ言っているうちに、我が家へと帰宅。一応二人が暮らせるくらいまで部屋を何とか直すことはできたけど、まだ若干ながら住みにくさは残っている。

「あの……裕太様」

 僕が先に家に入ってしばらく、ユリエルが玄関先で立ったまま入って来ていないことに僕は気づいた。

「どうした?」

「私、本当に帰ってきてよかったんですか? 私が部屋をこんな状態にした張本人なのに」

「何だよ帰りたくなかったのか?」

「そうではありません。ただ、裕太様はどうして怒らないのかと」

「昨日怒ったじゃん。だから何にも気にするなって」

「私は……」

 俯いたままその場を動かないユリエル。やはり彼女も昨日の事をかなり反省しているようだ。ここまで反省の色を示されると、かえってこちらが言葉をかけにくい。

「僕もさ昨日はちょっと言い過ぎたのかなって思ったんだ。確かにこの四日間何もいい事起きなかったし、逆に不幸な事ばかりおきていた。でもそれってたかだか四日だけの話だと思ってさ」

「じゃあ裕太様はまだ私を信じてくれるんですか……?」

「信じるというか、その……。ああ、もう!とにかくお前はこの先もこの家にいていいって事」

「裕太様……」

「ただし、家にいるからには今回のような事は絶対に起こさないでほしい。今度は家が壊れるから」

 もう自分でも何を言っているか分からなくなっている。ただひとつ、口には出せないけど思っている事は、

「それを守れるならここにいてほしい。そして天使のその力を見せてほしいんだ」

「……はい!」

 俯いていた顔を上げるユリエル。その顔からはすっかり暗さは消えていた。

「ユリエル」

「はい」

「おかえり」

「ただいまです、裕太様」

 こうして天使と過ごす日常が本格的に幕をあける事になった。

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