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月曜日、俺は命を落とした

通行人C「左目が疼く…!」

体のほう

「まあ、今は早めに身体のほうへ戻った方がよいかと思われます。」



ふと、耳に飛び込んだ占い師の声が俺を現実に引き戻す。
体のほうへ、戻る?手ぶらで?…そういうわけにはいかない。


「へ?…でも俺は命を見つけないと、いけなくて…」


今説明したばっかりじゃないか。俺は体と魂とかいうやつと『命』がそろわなきゃいけないんだって。
あんただってわかってくれたんじゃないのか?



すると占い師は大仰に手を広げ俺の方へ体ごと向き直る。
そのずんぐりとした姿になにか迫力のようなものを感じて少し身を引く俺。
占い師はそんな俺の目をまっすぐ見つめてやっぱり神妙な面持ちでこう言った。


「どうぞお早めにお身体の方へ戻りなさい。事故はさほどでもありませんでしたが、怪我は随分とひどいようでしたから、このままでは貴方は死んでしまいます。」
「え。」



俺は言葉を失った。
ふっと脳裏を横切る現場のブルーシート。やっぱりあの下には…。


「中身を失くした入れ物は脆い、今もまさに瀕死に追いやられているというのに貴方が外をほっつき歩いていてどうしますか。体が停まってしまう前に早くお行きなさい。」
「えええええ!い、急がないとっ‼!」


硬直していた体を無理やりにはじき出して俺は大通りへと身を投げた。
命のことはあとで考えよう。もしかしたらもうすでに体のほうにいるのかもしれない。
のんびりしていたのは三つの中の俺だけなのかもしれない。
とにかく!今は急がないと!!!



大通りの途中、俺は思い出したように占い師を振り返った。
こちらを見つめる黒いその人と目が合う。



俺は大きく手を振った。



「あ、ありがとうございました!このお礼はいつか…‼!」
「これから貴方の行く道に幸多からんことをお祈りいたします。」




占い師のその言葉を背に、俺は人の多い道を走っていく。



死を間近にした自らの身に思いを馳せながら。          

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