ロシアンルーレットで異世界へ行ったら頭脳派の魔法使いになっていた件【三部作】

日比野庵

16-142.俺のバリアは専守防衛でね

 
黒衣の不可触ブラック・アンタッチャブルでいた時に使った、あのバリアだけど、フォーの迷宮の中でも、発揮できるのかい? 昨日の話だと魔法の威力はかなり落ちるようなことをいっていたね。その前に迷宮に掛かっているというマナを吸い取る魔法エナジードレインの影響で魔法そのものが使えないということはないのか?」

 ヒロはフォーの迷宮内で魔法が使えるのかどうか気にしていた。なぜならリムもこのクエストに同行させたいと思っていたからだ。

 石板の言う通り、フォーの迷宮がレーベ王の時代のものだとすると、石板の古語を読めるリムを連れて行くことは大いに助けになる。だがフォーの迷宮がモンスターの住処になっているのなら、それなりのリスクは避けられない。何せソラリスが念を押したくらいだ。相当危険であることは容易に想像できた。

 ヒロは次善の策として、迷宮の探索中は、エルテにリムを護って貰えないかと考えていた。魔法さえ発動できるのなら、少々魔法の力が落ちたとしても、黒衣の不可触ブラック・アンタッチャブルの魔法防御なら、それでも十分耐えられるのではないか。少なくとも自分のバリアよりも当てになる筈だとヒロは期待した。

「どうでしょうか。風が流れる場所であれば問題ありませんけれど、空気が淀んでいるようなところではあまり……」
「張れないのか?」
「いいえ、張れるとは思いますわ。迷宮ダンジョンとて空気がない訳ではないですから。それでも、強度迄は保証できませんわ。ごめんなさい。でも、ヒロさんなら、御自身の体内マナオドで、十分なバリアを張れると思いますけれど、それではいけませんの?」

 エルテは尤もな答えを返した。彼女エルテは、元々、マナを集めにくい地下迷宮でも魔法を使える冒険者を探していたのだ。ようやく探し当てたのがヒロなのだ。エルテがヒロの魔法力に期待するのは当然といえた。

「俺のバリアは専守防衛でね。バリアを貫通して攻撃は出来ないんだ。バリアの何処か一部を開けて置けばそこから攻撃は可能だけど、何時何処から攻撃されるか分からない状況で、バリアに隙間があるのは怖い。仮に俺がバリアを張ると攻撃はエルテとソラリスの二人だけになる。モンスターが大したことなければ、それで十分なのかもしれないが、大量のモンスターに囲まれた時でもそれで間に合うのかどうか分からない。そういえばエルテは何故バリアを張ったまま攻撃出来るんだ?」

 ヒロは、エルテが黒衣の不可触ブラック・アンタッチャブルとして、自分を攻撃してきた時の事を指摘した。黒衣の不可触ブラック・アンタッチャブルは自分の炎粒フレイ・ウムを弾くバリアを張った状態で、そのまま風魔法で攻撃してきたように見えた。ヒロにしてみればチートとしか表現できない魔法だ。
 

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