東方魔人黙示録外伝〜東方異人録〜

怠惰のあるま

東方魔人黙示録外伝〜東方異人録〜


とあるもう一つの世界で、ある少女はつまらなそうに屋敷の縁側に座っていた。

「はぁ......暇ね」

鬱陶しそうに目にかかる髪を払いながら少女は愚痴をこぼす。

「なにか面白いこと起きないかしら?」

そう呟くと、何か閃いたのか突然立ち上がった。
どことなくその顔からは悪いことを考えているように感じられた。

「そうね。たまには遊んだってバチは当たらないわよね!」

少女は一人笑みを零す。
しかし、この少女の考えがある一つの世界の魔王を苦しめることになろうとは彼女はまだ知らない...




△▼△




地底の奥深く、怨霊すら近づくことはない。ここ地霊殿で珍しいお客が来ていた。
黒髪だがところどころに茶髪が混じった髪。
服装はジーパンに青い半袖の服。
身長はやや高めでガタイが良い。
腰にはやや長めの白く輝く剣が携えられている。
この者の名は幻真もう一つの幻想郷の住人である。

「......いやまあまた会えて嬉しいが...なぜこっちにいるんだ?」
「俺が聞きたいよ。博麗神社で寝てて気付けばお前の世界の地霊殿の前だろう?」
「まぁたあいつがなんかやったか?いや...だったら俺の世界に送る理由がねえか...」

幻真と俺は前にある人間...と言えるかわからないレベルの化け物に呼ばれた異世界で出会った。
その世界で他にもいろんなやつと出会ったが...まさかこんな風に再開するとは。

「それよりだアルマ!前に戦った時より強くなってるな!手合わせしようぜ!」
「えー...俺パルスィと一緒にいたいからヤダ」
「そんなのどうでもいいだろう!ほら行くぞ!」
「ヤダァぁぁ!!」

半ば引きづられる形で地霊殿の外に連れ出された。もうヤダこの人...
まあ...流石に地霊殿に近いとパルスィたちに被害が出るからな。離れた場所に行こう。嫌だけど...
前に勇儀さんにボロ雑巾にされたここにするか。
相手さんも張り切っちゃってさ。準備運動とかしてるし。
はぁぁ...めんどくさい。

「さぁ!やるか!」
「はいはい...お先にどうぞ」
「後悔するなよ!」

幻真は腰に携えていた【真神剣】を抜いた。綺麗な刃だな。斬られたら大怪我どころの騒ぎじゃないな。
呑気なことを考えていると幻真は地面を思いっきり蹴り、俺との距離を縮めた。
一回でここまで距離を縮めるとか、どんな脚力してるんだよ。

「行くぞ!斬符 炎魔斬!」

真神剣に黒く禍々しい炎を纏わせ斬りかかった。
受け止める気はない。今、武器持ってないもん。
全力でかわしたつもりだったが流石半人半龍。人間の動くスピードの比じゃないな。
避けたはずなのに掠っちまった。
というか視界が悪いな。まるで闇の中に放り込まれたようだ。

「おいおい...何しやがった?」
「炎魔斬は炎で相手を斬り、闇の力で視界を奪う剣術だ。何にも見えないだろう?」
「ああ、困った。武装 殺陣聖殲さつじんせいせん

スペルカードを使用し、カードが消えると幻真の真上から弾幕の雨が降り注いだ。
しかし、普通の弾幕とは違い武器型のためとても鋭利な形をしている。
だが、雨のように降り注ぐ弾幕を幻真は全て弾き落とした。

「殺す気か!というか見えるのかよ!」
「まあね。お前の闘争心という感情のおかげで見えなくてもバリバリ感じる」
「なら少し本気だ!!」

地面に真神剣を突き刺し、力を溜め始める。幻真の瞳が青く染まっていく。
目の色が変わったか。めんどくせぇ...
さっきよりも全体的に強くなってるし、マジにならないでよ。

「斬符 サンダースラッシュ!」

先ほどよりもスピードが上がっているようだ。
音速並みの動きで接近し、バチバチと雷が迸る刃で斬りかかるが今回は華麗に避ける。
それでも際どいところで雷がギリギリを掠めた。
いいなぁ...武器に属性付与ってセコくないですか?

「避けてばかりいないでいい加減攻撃しろよ!」
「めんどくさい」
「こ...んのぉ怠け者がぁぁ!なら次を避けれるなら避けてみろ!」

どこからか取り出した短剣にまた属性付与してる。
今回は何かな?虹色みたいに輝いているが...まさか全属性じゃないよね?

「ソードブレイブ!!」

5、6本の短剣がすごい勢いで投擲された。
ああ...これは避けれんわ。
仕方ない攻撃しようか。めんどくさい。
迫る短剣に一切の焦りを見せず、右手を幻真に狙いを定めた。

「感情 アルマーニイレイザー!!」

右手から放たれた弾幕のレーザーは光速を超え、一瞬にして短剣を飲み込み、幻真に直撃した。
その威力は地底の壁を数百メートル抉るものだった。

「いっつぅ......本当に容赦ないな」
「あれ生きてたの?消し飛ばすつもりで撃ったのに」
「本当に容赦ないな!?」
「俺のパルスィと一緒にいる時間を奪った罪は重いぞ......」
「そんな理由!?」

お前が来なければ俺はパルスィといつも通り一緒にいれたというのに...まさにそれは極刑に値する。

「つまり...お前はこれから空間ごと消し飛ばす!」
「怖すぎるだろ!」
「感情解放:憤怒!!」

全身に抑えられないほどの怒りが込み上がる。目の色が血のように真っ赤に染まった。

「やっと本気かよ。なら俺も本気を出すか!」

幻真の瞳の色が青からアルマと同じく赤く染まった。
先ほど受けたダメージも全てを綺麗に無くなり回復していた。
真神剣を構え敵を見据えるが視界からアルマは消えていた。

「どこ行った?」
「後ろ」

反応が遅れ、アルマの至近距離からの拳が脇腹にめり込んだ。

「かはっ...!くそ!もうちょい本気出さないとダメか?」

また瞳の色が変わり、今度は黄色へと変わった。
同じくダメージも回復。
真正面から迫るアルマに斬りかかった。
しかし、今度は避けず剣を作り出して受け止めた。
剣がぶつかり合う音が地底に響き渡る。
だが、真神剣の方が強くアルマの作り出した剣を容易に折ってしまった。

「そんな安っぽい剣で抑えきれるわけがないだろ!」
「うるせぇ!!俺はお前みたいな武器を所持してねえんだよ!」

また剣を作り出し、攻撃を防ぐが防ぐたびに剣が折れてしまう。
埒があかない!けど、俺出して壊されたら嫌だしなぁ...この前怒られたばっかりだし。
幻真の剣...折れないかなぁ?無理か。
くだらないことを思いながら防いでいると、異様な殺気を感じた。
あたりを見渡すと見たことのある弾幕に囲まれていた。

「この技...」
「霊夢の夢想封印!?」

驚く二人に弾幕は降り注いだ。
小さな爆発が起こり、辺り一面に粉塵が舞い視界が悪くなった。
その少し離れた場所で二人を襲った人物がいた。
その者の名は白谷 磔しらや はく。幻真と同じく別の幻想郷の住人である。

「お〜すっごい爆発だな。霊夢のスペルは凄いな〜」
「てめぇか!!さっきの夢想封印は!!」

先ほど夢想封印の爆発に巻き込まれたはずのアルマと幻真が立っていた。
二人ともところどころ少し焦げている。

「磔じゃないか!なんでお前もいるんだ?」
「お〜!幻真とアルマだったのか」
「誰?」
「お前...前に会ってるだろう?」
「知らん。前に呼ばれた時のことを言ってるのなら最初に吹っ飛ばされて覚えてない」
「ああ...そういえばそうだったな」

そんな可哀想な人を見る目しないで?
俺は戦い向きの魔人ではないのですが?むしろ外野からチャチャいれるタイプですよ。
めんどくさいじゃん戦うの。
それでこの磔さんは何を理由に攻撃を仕掛けてきたの?

「面白そうだったから参加しようかと思ってさ〜!」
「なら俺休むから幻真と戦って」
「いやお前も戦えよ」
「めんどくさい」
「よし磔。この怠け者とっちめるぞ」
「いいよ」
「へ?」

待って。二人して武器を構えてるけどさ。2対1って酷くないですか?
俺は戦い向きじゃないって言ってるでしょ?
幻真の目なんて禍々しく色が変わって紫色になったし、磔さんなんて木刀を振り回してる。
いや、なぜ木刀?
仕方がない。本気を出そう。

「怠惰 赤色の目をした堕羅けた怪物」

赤い霧を吹き出しながら赤眼の怪物を召喚した。
相変わらずめんどくさそう。

「なんだよクソアルマ」
「手を貸せ本気を出すから」
「...どっちをやればいい?」
「あっちの黒だか茶色だかわからない髪の方」
「了解...」

目の前から消えると幻真に斬りかかっていた。
ギリギリ真神剣で防いだ幻真であったが想像以上に重い一撃に吹き飛ばされた。
壁に激突してようやく止まったが、相当ダメージを受けている。

「へ...なかなかやるな」
「あ〜...めんどくさい方を俺に押し付けたなクソアルマ」
「斬符 ライトニングスラッシュ!」

剣を発光させ、赤眼の怪物の動きを止めた。

「ぐあっ!まぶし!?」
「喰らえ!」

両手で目を押さえる赤眼に斬りかかるが、アルマの感情から生まれただけあり、視界が見えなくとも剣を防いだ。

「お前も見えるんかい!」
「あいつの感情だぜ?能力が使えて当然だ」
「小細工は無しってか!ソードブレイブ!」
「怠惰の極 根性砕き!」



△▼△




赤眼の怪物と幻真の戦いを離れたところで観察しているが、なかなかめんどくさそうな戦いだなぁ。
幻真の攻撃って視界封じが多くて苦手だ。
まあ、こっちも一筋縄にいかなそうだが...

「もういいか〜?」
「ああ、ちょっと待ってくれ」

ズブ...!
心臓に右腕を突き刺し、ぐちゃぐちゃとかき混ぜる。
その光景に流石に磔も気持ち悪そうにしていた。
俺だって気持ち悪いですよ?正直、なぜここを武器に変えちゃったのか後悔中。
武器の見た目は好きだけど...
武器の持ち手を見つけ一気に引き抜いた。

「な、なんだそれ?」
「《死をも奪う心の鎌ソウル・ザ・グリード》。いいのか?そんな木刀で?」
「は?」

大鎌に付いた鎖を鳴らしながら磔の持っていた木刀を斬り裂く。
木刀は真っ二つに折れた。
少し驚愕する磔だったがすぐにもう一つ持っていた刀を引き抜いた。

「まさかこっちを使うことになるとはな」
「本気を出させたのはそっちだろ?」
「はっはっは!言うねえ!まあ俺を楽しませくれよ!想符 フレアスパーク!」
「こっちのセリフだ!感情 アルマーニイレイザー!」

魔理沙のマスタースパークにちょっと類似してるが色がオレンジで威力は全く桁外れなビームだった。
俺のアルマーニイレイザーと均衡...いや軽く押されてるか。
っち...避けるしかねえな。
攻撃を止め、左に避けるとそれを読んでいたかのように左手を俺に向けていた。

「乱符 スピンシュート!」

先ほどの撃ってきたフレアスパークと似ているがこっちは螺旋状に回転してやがる!
矛盾点で...いや絶対貫通するか。なら攻撃あるのみ!

「怠惰 レッド・アイド・モンスター!!」

起爆性の赤い弾幕を投げつける。
触れるたびに爆発を起こすが磔のフレアスパークは止まる様子はない。

「くそッ!久々に...消滅 感情崩壊」

迫るビーム型の弾幕に指を鳴らした。
すると、目の前から綺麗さっぱり弾幕が消え去った。

「なっ!?弾幕を消しやがった!!」
「お前より勇儀さんの弾幕の方がよっぽど怖いぜ?」
「一回止めただけでいい気になるな!想符 ファイナルブラスター!」

放たれたのはフレアスパークとは比にならないビームだった。
これは...消せないかな?
大鎌を振り回し、目の前の空間を切り裂いた。
ぽっかりと開いた空間の裂け目にファイナルブラスターが吸い込まれた。

「嘘だろ!?」
「久々に空間を斬ったな。さて?今の大技の後、お前はすぐ動けないようだ」
「くっ!」
「怠惰の極 堕落落とし!」

空中に浮き上がり、黒き炎に包まれた天上を覆い隠すほどの弾幕を磔に集中砲火。
5秒...磔がファイナルブラスターを使って動けなくなる時間。
動けるようになってもこの集中砲火は避けれない。
しかし、磔は笑っていた。

「そんなの効くか!夢想添生!」

磔のラストスペルが発動した。
降り注ぐアルマの弾幕は全て磔に当たらずすり抜けている。
夢想添生、効果は短いがその間どんな攻撃も
当たらず幻想郷の住人全員の能力を使用可能!

「う、嘘だろ?」
「とどめだ!禁技 双陣乱舞!」

目の前から消え、アルマの周りに残像を残すほどの速度でもう一つの武器イクスブレードを握り、目にも留まらぬ乱舞を放った。

「ぐぅ...が...!?」

パキン...!
アルマの大鎌にヒビが入った。

「クッソぉぉ!負けた!!」
「いや...お前もなかなかだったよ。正直、ラストスペルが無かったら負けてた」
「あ?ラストスペル?何それ?」
「は?知らないのか!?」
「地底暮らしが長くてね」

さぁて。あっちも決着ついたかな?
たぶん赤眼の怪物負けてるだろうが、嫌がらせしてるだろうなぁ。
あいつ案外性格悪いし。
二人の様子を遠くから見てみると気のせいか?一人増えてる..?
二人の間に割り込むように両手に小さな鎌を持っている。
......蟷螂っぽぉい。

「ちょっと見に行くか」
「えーめんどくさ...」
「お前は何故そんな面倒くさがるんだ」
「怠惰欲の塊だぞ?ダラけてない方がおかしい」
「まあそうだが...いいから行くぞ!」
「はぁい」



△▼△



「誰だお前は!」

アルマの赤眼の怪物と戦っていたら急に空間に亀裂が走ってこいつが現れたが...何者だ?
ちょっと薄い緑色の服にダメージジーンズ...変なセンスしてるな。
腰には小さな農村民が使ってそうな小さな鎌が備えられていた。

「俺?俺は秋日蟷螂あきのひとうろう。人里で占い師をしている」
「占い師...」
「あんたは幻真っていうんだろ?」
「な、何故名前を!?」
「俺は預言できる程度の能力を持っていてな。この世界に来るのも預言していた」

未来が見えるってことだろうか?
しかし、こいつが出る前に空間が割れたが俺も同じような現象でこの世界に来たのか?

「さて、こっちの世界ではいろいろと面白いことになってるようだ。と、いうわけで俺も参加しよう!」

腰に備えていた鎌を両手に持ち、2人に向けた。

「さぁ...どちらから俺と戦う?」
「んじゃ、俺から...だ!」

真神剣を握り直し、蟷螂と名乗る男に斬りかかった。だが、流石に防がれた。
一筋縄ではいかないか。

「斬符 雷魔斬!」
「斬られると痺れる技か...」
「それも預言か?」
「まあね。蟷螂符 秋の鎌切」

蟷螂が両手の鎌を振るうと斬撃が飛ばされた。避けれないスピードではない。
何発も飛ぶ斬撃をかわしながら接近し、蟷螂が射程距離に入った。

「斬符 炎魔斬!」
「避けれるのは読んでたよ。蟷螂符 拝み虫」

俺の剣が空を斬ると目の前にいたはずの蟷螂が消えた。気配も消えている。どこに行った?
周りを警戒していると突然、俺を囲うように四方八方に鎌型の弾幕が現れた。

「蟷螂符 捕食者」
「斬符 水伝斬!」

剣に水を纏わせ接近する弾幕を斬り裂く。しかし、数が多く全てを斬り裂くまでに至らなかった。
回転しながら迫る鎌型の弾幕にもう一度剣を取り出そうとするが異様な気配を感じ、動きが止まった。まるで恐怖で動けないようだった。

「蟷螂符 使わない翅」

ただの威嚇だったが、幻真の動きを止めるには十分だった。

「くそ!」
「消滅 感情崩壊」

パチン!
指の鳴る音が聞こえると幻真に迫っていた弾幕が全て消え去った。
この技はアルマか!



△▼△



ちょっとピンチっぽい幻真を助けた。この人間に話を聞きたいからさ。
話し掛けようとしたが先に相手が口を開いた。

「君は桐月アルマ。魔王だね?」
「今は地底に住む魔人だ。おまえは?」
「秋日蟷螂。人里で占い師をしてる」
「ほうほう。それでおまえも別の世界から来たのか?」
「まあそうゆうことだ」

はぁぁ...何なの今日。
何故こうも別の世界からの訪問者が訪れるんだ。しかもみんな戦闘狂。
ああ...パルスィと一緒にいたい...もう帰ろうかな。うん。帰ろう。

「おい?どこ行くんだ」
「帰る」
「まああんだけ戦ったら疲れるからな〜」
「いやパルスィに会いたい」
「......本当にパルスィが好きだな」

パルスィが好きで何が悪い?

「まあいいか。俺たちも行っていいか?行くあてないし」
「いいけど...ちょっと待ってろ」

さとりさまぁ。こいつら連れてっていい?

【いいですよ?それではいろいろと準備をしておきますね】

はぁい。

「いいってさ」
「いや何が?」
「さとり様に許可もらった」
「この距離で話せるの!?」
「え?だってさとり様だし」
「おまえの世界のさとりは何者だ!?」

何者だって言われても俺とパルスィを年がら年中監視し心の奥底までなめ回した挙句、からかってくるスーパーサディストってところかな?
まあ強いて言うなら...

「さとり様かな?」
「おまえの中でさとり様って一つの単語か!?」
「うん」

なんか磔と幻真にずっとツッコミを入れられてるけど、さとり様はさとり様だよ?何者も覆せない最強のさとり様だよ?
まあいいや。これ以上何を言ってもこの二人うるさそうだ。さっさと帰ろう。



△▼△



地霊殿に戻ると見知らぬ男性とさとり様が二人して入り口に立っていた。
いや誰だ?やけに二人親しそうにしてるけど。
上は白いパーカーを、下は黒のカーゴパンツを着ている。結構厚着してるが寒がりか?


「おう寒がりだ。俺は終始終作よろしく」
「終作さんは目の前の空間からいきなり現れたんですよ」

ああ...なるほど。こいつも別の世界から来たのか。これで何人目だよまったく...パルスィに会いたい...

「まあまあそうしょげるな。きっといいことあるって!」
「心読むな!!てかなんで読めるんだよ!」
「俺は全てを見る程度の能力を持ってるからな。おまえの心の奥底まで覗けるぜ?」

ヘラヘラとしてすっごい厭らしい奴だな。なんかさとり様の男バージョンを見ている気分だよ。

「そんな褒めるなよ...照れるぜ」
「褒めてねえよ!」

その後も終作に弄られながら幻真たちと一緒に地霊殿で休むことにした。
まあ俺は一人地霊殿を抜け出てパルスィのいる橋に向かったわけですが...
橋に向かうと一人でボーッと天上を見上げていた。

「何してるんだ?」
「アルマがいつ来るかなぁっと考えてた」
「な、なんじゃそりゃあ」
「ふふ...顔赤いわよ?」

なんでこいつは上機嫌なんだ。

「それにしてもボロボロね」
「今日ほとんど戦ってばっかだった」
「それはご苦労様。労う?」
「うーん...じゃあ労って」
「はいはい。お疲れ様」

頭を優しく撫でてくれた。
珍しく今日は優しいパルスィ。いつもみたいに妬んでくれてもいいのになぁ...
こっちはこっちで好きだけど。ま、パルスィと一緒に入れるからいっか!


そんな二人を影で覗く者達がいた。
幸せそうな顔をするさとりとニヤニヤと厭らしい顔をする終作。そして、多少引いてる磔。
幻真と蟷螂は地霊殿で勇儀さんに捕まり、お酒を飲むのに付き合わされている。

「いやぁ...眼福です...!」
「そうだなぁ...でもどうせなら弄りたい!」
「終作さんは話がわかりますね!」
「いやいや!さとりほどでは」

磔は静かに二人へ同情するのであった。



△▼△



「いやぁ!面白いことになってきたわ!」

少女はアルマ達の戦いを覗きながらニコニコと笑っていた。

「あと三人ほど送ったら私も参加しようかしら?うん。それがいいわね」

嬉しそうに空間に触れると、亀裂が走り別の世界へと繋がった。
その世界を覗き目的の人物を見つけるとクスクスと笑った。

「さあ、私を楽しませてね」

このあと、アルマはさらに面倒ごとに巻き込まれることを知らない......





△▼△





パルスィと二人で地霊殿に戻る途中、さとり様と終作、さらには磔が物陰でオレ達を覗いていたので感情を奪い、二人を引きずり帰っている。いつもの如くさとり様には能力は効きませんでした。
もう疑問にも思ってない。さとり様はさとり様だからね。
地霊殿に到着すると勇儀さんの傍で酔いつぶれている蟷螂がいた。可哀想に......人間にはきつかっただろう。
幻真は...よく生きてるな。

「おかえり...ってどうしたその二人」
「感情を奪った」
「ああなるほど。でも、なぜさとりは無事なんだ?」
「だって能力効かないもん」
「......本当に何者だ」
『さとり様です』
「ああ...うん。もうそれでいいよ...」

なんだよ冷たい反応だな。
まあいっか。にしても...こいつらはどうやってこの世界に来たんだ?
幻真が言うには蟷螂がこっちに来る時、空間に亀裂が走りそこから現れたって言ってたな。
ふむ...空間...あいつしか思い浮かばん。
しかし、あの人を呼ぶ方法もないしなぁ。さて、どうしましょう。

ピキ...

ん?なんか割れる音が...あれ?こんなところにヒビが。

ピキ......パキパキ...!

こ、これって...まさか!?

パキィィ......ン!

俺の真ん前の空間に入ったヒビが広がり、大きな亀裂が生まれた。
紫の作るスキマにそっくりだったが少し違う。第一、目玉が全然ない。

「あ、また出た」
「じゃあ...またこっちに誰か来るのか!?」
「そうだろうな」
「えーー!!これ以上面倒くさいの嫌ダァぁぁぁ!!」

俺の叫びは届かず、空間の裂け目から現れたのは大きなスナイパーライフルを背負った少年だった。

「へー...ここがもう一つの幻想郷ねぇ。見る限り地霊殿か?」
「ああ......また面倒くさいことに...」
「あなたは昔っから運が無いわね」
「気にしてるから言わないで...」
「おぉい!待てよ終夜!」

もう一人裂け目から現れた。ああ...もう嫌...
次に現れたのは...ショウ...じょ?らしき人が現れました。
いや、男らしい雰囲気が強くて性別不明。

「あれ?その...人?どうしたの?」
「気にするな。精神的に苦しんでるだけだ」
「いやそれ結構重症じゃないの!?」
「大丈夫よ。いつもこんなだから」
「...大変な人生送ってるんだな」

なんか...久々に優しい言葉をかけてもらえた気がする。

「それでおまえら誰?」
「俺は黒崎終夜。こっちは白崎旭だ」
「よろしく!」
「俺は幻真だ」
「...桐月アルマ...魔人だ」
「よし!アルマ!俺と勝負しようぜ!」

ほらぁぁ!!戦わないといけないじゃん!だから嫌なんだヨォ!!
幻真一人で戦ってくれないかな...

「おまえ押し付けようとしてるだろ?」
「うん」
「相手も二人なんだから手伝えよ」

幻真強いんだからひとりで十分じゃん。

「パルスィからも言ってやってくれよ」
「頑張ったら撫でてあげる」
「いや...そんなんで動くわーーーー」
「よっし!やりますか!」
「うっわぁ...単純...」

パルスィからのご褒美があるなら俺...頑張ります!《死をも奪う心の鎌ソウル・ザ・グリード》を取り出し、黒崎と白崎に向けた。

「さぁ!やろうか!」
「いいねぇ!男らしいじゃん!そうゆうの好きだよ!」
「あ...それあかん」
「え?」

ゾク...

ナイフを首元に突きつけられたように寒気が走る。
いや...心臓を握られたって方が合ってるかも。近くにいた幻真や黒崎たちも感じたらしく、体を震わせた。
ゆっくりとパルスィに顔を向けると目が怒ってます。超怒ってます。

「パ、パルスィ?お、落ち着こう!?」
「妬ましい...!」
「な、なんだ今の?」
「この子...嫉妬すると殺気放つんだぁ...」
「死を感じる殺気って...」

パルスィは弾幕を作り戦闘態勢に入っていた。仕方がない...

「幻真。ちょっと休んでろ」
「い、いいけど。大丈夫なのか?あいつら強いぞ?」
「大丈夫。パルスィの方が強いから」

緑色の炎を抑えるように右目を手で押さえる。いつも以上に炎を出してるけど、どうした?

「これ以上二人っきりの時間を減らさないでよ...妬ましい...!」

ああ...俺と同じ理由で怒ってたのね...

「な、なんかやっちゃった感じ?」
「あんたは私が倒す...」
「まあいいか!女同士やろうじゃないの!」

あの白崎って女の子。勇儀さんに似てるなぁ。性格というか見た目というか。
ぼーっとしてるとカチャッ!という音が聞こえた。
横を見ると黒崎がスナイパーライフルを突きつけていた。

「お前は俺だろ?」
「そうだなぁ....パルスィのご褒美もあるし、勝たせてもらうぞ?」
「やれるならやってみろ!!」

後ろに飛び退くとスナイパーライフルを撃ちまくった。
弾丸は正確に俺を狙い撃つ。
俺も黙って撃たれるほど甘くはない。

「感情 拒絶する気持ち」

弾丸が俺の体に触れると肌の上を滑ってゆき、その勢いは弱らずに後ろの壁に向かって飛んで行った。

「怠惰 レッド・アイド・モンスター!!」

赤い弾幕を投げつけると黒崎は平然とした顔で弾幕に触れた。

「弾幕 タッチ・ザ・ハンド」

弾幕は爆発せず方向を変え、天上に向かい触れた瞬間爆発を起こした。
弾幕を投げ続けるが結果は同じで天上や壁に方向を変えられるだけだった。

「これは反らせるか?アルマーニイレイザー!!」

巨大なエネルギーがこもった赤いレーザーは一直線に終夜へ向かう。
流石に反らせなかったようで攻撃をかわした。
右手にはスペルカードを握っていた。

「進化 生命の頂点!」

スペルカードが消えると終夜の魔力が変わった。さらに先ほどよりも一段と力が上がったように見える。

「喰らえ!」

俺の撃った弾幕の倍以上はあるレーザーを放った。
何故こうも異世界の奴らは変身みたいな技を持っているんだ...魔王の俺ですら持ってないのに!
しかも、この弾幕避けきれねえ......仕方ない奪うか。

「強欲 果てなき欲求!」

大鎌が赤黒く輝くと、迫る黒崎の弾幕を防いだ。

「そんなんで防げるか?防げるか?ふ・せ・げ・る・かぁぁ?」

どっかの考えるのをやめた奴みたいなこと言いやがって...!
その余裕のツラを絶望に変えてやる!
その時、異変が起こった。
黒崎の弾幕の勢いが弱まっているのだ。

「な、なにぃ!?俺の弾幕が消えた!?」
「俺が全部吸い取った」
「う、嘘だろ?」
「まあ可哀想だから〜?返すよ十倍で」

大鎌に埋め込まれた目が怪しく光ると赤黒いレーザーが放たれた。
その威力は黒崎の弾幕の約十倍!

「こんなの反らしてーーーー」
「はい感情消失」

カクン、と体が人形のように崩れると能力を使えるわけもなく黒崎終夜は弾幕に飲み込まれた。
はぁぁ...ちょっとセコかったかな?
まあ、勝てばよかろうなのだぁぁぁぁ!って奴さ。
さて、パルスィはどうなった?
二人の戦いを見てみるとほぼ互角に渡り合っていた。
しかも、白崎って奴は弾幕使わないで拳を使ってる。
本当に勇儀さんじゃないの?

「やるじゃないか!あたしとここまでやれる相手は久々だ!」
「あらそう?興味ないわ」
「冷たいね〜」

二人とも余裕ありすぎだろ。
パルスィの弾幕をことごとく拳で粉砕し、被弾を防いでる。
それでも近づくことまではできてないようだ。
あの中に入りたいとは思わん。絶対に死ぬ。それにめんどくさい。

「いや〜すごい戦いしてますな〜」
「お前誰だよ」

いつの間にか俺の後ろに座っていたのは、白のパーカーとダボついたパジャマのような白いズボンを履いた男がいた。フードを深くかぶってるからか顔の部分はよく見えない。

「わしは黑魎 訛。ただの半妖や」
「ただの半妖から悪魔の血を感じるか?」
「あら、ばれてしもうたか。あんさん鋭いの〜」
「別に俺と同じ匂いがしただけさ」

こいつと俺はどこか似てる。そう思ったってのもある。
雰囲気というか魔力の質というか。根本的に思ったのが性格?

「奇遇ですな。わしも同じ匂いがすると思ってたんや。あんさん名は?」
「桐月アルマ。怠惰欲に塗れた魔王さ」
「ほうほう。ほんま奇遇やな。わしも怠惰を背負ってるんやで?」
「あー...だから同じ匂いが」
「にしても...みんなめんどくさいことばっかしよるの〜」
「わかるわかる。なんであんなにめんどくさいことするんだろうな」

二人のダラケきった会話を聞いていた幻真は思った。
どこまでだらければ気がすむのだ、と......
その二人に近づく影が一つあった。
先ほど、ボロボロにされたはずの黒崎終夜だ。その目は怒っている。

「クソ!セコイ技使いやがってぇぇ!!あれがなければ俺は勝てたというのに!」
「使ってなくてもボロボロにはなってたと思うぞ?」
「うるさいぞ幻真!さあ!あいつを倒すぞ!」
「えー...別にいいけどさ」

幻真と黒崎は手を組んだのだった。
そんなことも知らずアルマは訛とダラケ話をしていた。
その内容は聞けば聞くほど自分もダラケそうなほどにダラケきっていた。

「おいアルマ!もう一回勝負だ!」
「やだよめんどくさい。しかも今お話中だぞ?」
「そうやそうや。やるならわてら抜きでやってくれや」
「こ、この怠け者どもがぁぁ!」

完全に怒った幻真が真神剣を手に取り、二人に斬りかかる。
それを後ろから黒崎がスナイパーライフルでサポートする。

「堕落 動かぬこと要塞の如く」

訛を庇うように前に立つと斬撃と弾丸をモロに受けた。
しかし、まるで鉄のように硬くなったその体には一切の傷は受けなかった。

「か、かってぇ!?」
「避けたくないなら硬くなればいい」
「おー!怠惰欲の鏡や!」
「褒めるところじゃなくね!?」
「ほな。こっちも反撃するとしますか。不幸 繋がった不運」

二人の死角から狙ったように弾幕が現れ翻弄する。その動きはどう見ても嫌がらせをしてるようにしか見えない。
二人が嫌な場所を的確に狙ってるな。

「そこを容赦なく狙うってわけだ。怠惰の極 堕落落とし・回」

空から黒く燃え上がる怠惰の雨が降り注ぐ。だが、雨は雨でも隕石の雨。さらに回転もお前してます。
回転が加わった隕石は貫通力が増し、地面に激突した瞬間に地面を抉り、小さなクレーターを作った。その光景は世界の終わりのようだ。

「よ、容赦なさすぎだろ!!」
「意気込んでいたわりに呆気ないですな〜アルマはん?」
「そうだな〜訛さん?」
「お、おちょくりやがって!たまたま拾った鉱石で...変身 呪いの石仮面!」
「後悔させてやる!炎砲 マグマ熱砲!」
「これで使える!龍砲 ラスト・キャノン!」

マグマの如き熱量のレーザーと龍の息吹のような弾幕が混じり、巨大なエネルギーを迸る弾幕と化した。その威力は周りの地面を気化させるほどだった。

「怠嫉開放」
「感情解放・怠惰」

一瞬、黒い炎に全身が包まれ、黒炎が消えると背中から黒炎の翼。左目からはパルスィのように赤い炎が放出した。
訛はどこからともなく現れた椅子の上に踏ん反りがっていた。いつの間にかフードは取れ、顔があらわになっていた。
左の口の端が頬の骨辺りまで開き、左目が白目と黒目が反転。
髪は左半分が黒で右半分が白く染まっている。
右手で頬杖を付きながら、左手で小指でパチン!と音を鳴らした。
すると、目の前に渦を巻く真っ黒な弾幕が現れた。幻真と終夜はそれに引っ張られてしまい攻撃の手を止めた。

「不動 NO MOVE」
「な、なんだこの引力はぁぁ!?」
「ダイ○ンの変わらぬ吸引力...」
「言ってる場合かぁぁぁ!」
「楽しそうな二人には悪いがトドメだ」

パチンッ!
俺が指を鳴らした瞬間、二人を囲うように弾幕が現れた。

「怠惰の極 逃れる術なし怠惰欲」
「ゆ、許してくれないかなぁ...?」
「も、もう暴れませんから...!」
「と言ってはるけど、どないします?」
「い・や・だ」
『ですよねぇ!?』

ギュッ!と右手を握ると檻は一気に収縮し、二人を潰すように縮んで爆発した。
いい花火だ。
パルスィも終わった頃かなぁ?

「あら、そっちも終わったの?」
「ああなんとか。そっちは?」
「平和的解決?」
「お前らの戦い見てたら熱中しすぎて戦うのやめてた」

なんか雑な終わり方してるけどいいよね。
さて、地霊殿に戻るか。




△▼△




ボロボロの幻真と終夜を引きずって地霊殿に戻ると磔と終作が目を覚ましていた。
訛は終作を見ると驚いたように声をかけた。

「なんや、終作もこっちにおったんか」
「そうゆう訛もこっちに来てたんだな」
「知り合い?」
「わしらは同じ世界の住人なんや。でも、まさか終作まで呼ばれてるとは思わんかったわ」

黒崎や白崎みたいに同じ世界出身者がいるんだな。

「それで...その二人はどうした?」
「ボッコボコにしただけ」
「あらら...」
「さっ!こいつらほっといて宴でもしようか。そこで見てる奴も来いよ」

その場の全員が俺の言葉に首を傾げた。まあ、いきなり言ったってわかるわけないか。
幻真が来た時からずっと感じてた視線があった。
また映姫かと思ってたが直に見ている感じだったから違う。
こいつは誰だ?

「よく気づきましたね」

目の前の空間に亀裂が走った。
幻真達のように割れるかと思ったが今回は亀裂がスキマになった。
そこからニュルッと現れたのは金色の髪に整った顔立ちで、和服っぽい紫色の服をきている。スタイルも良く、そこらの美女とは比べもにならないほど顔が整い、美しい。しかし、どことなく紫さんに似ている。

「初めまして私は八雲 金やぐも こがねと申します」
「八雲...?八雲って」
「はい。こことは違う世界の八雲紫の娘です」

へぇ...紫さんに子供ができたんだ。別の世界の存在とはいえ驚きだ。
あの人ってキャラが濃いから、いい相手が見つからないと思ってたのに。

「それでお前は何故俺の世界にこいつらを送る込んだ?」
「ちょっとした暇つぶしってとこかな?」
「ふーん。そうなんだ。よし宴しようか」
「え!?そんなアッサリしてていいの?!」

アッサリって言われても...ねぇ?誰だって暇つぶしはしたくなるでしょう?
俺だって暇つぶしに人の感情を弄ぶし、異世界の奴らを一つの世界に集合させる時だってあるだろう?

「それに紫さんの娘なら納得だ」
「ああ、言えてる」
「本当に自由やからな〜」
「管理者の自覚あるのかってレベル」
「さ、散々言われてるわねお母様...」

みんなの世界の紫さんも同じもんなんだね。
......よくよく考えたけど、あの人って境界を弄れる能力で異世界とか行き来できると思うが、まさか全世界の紫さんは同一人物だったりしないよな?
だとしたら...いや何もいうまい......

「それでどうする?宴する?」
「そうね。参加しようかしら、ただあなたと一度一戦交えたいわ」
「マジか...あんた絶対強いだろ?」
「強かろうとやってみなくちゃわからないわ」
「わかった。場所を変えよう」





△▼△




オレ達の戦闘跡地に移動した。
ここならこれ以上破壊しても被害はないはずさ。たぶん....
幻真達には外野で見てもらう。一騎打ちがいいそうだ。
勝てるかなぁ...?

「大鎌出さないんだ」
「壊されて動けなくなるの嫌だ。どうせ負けるならボロボロになってでも嫌がらせをする」
「......あなたは意外に嫌な性格をしてそうね。さぁ、始めましょう」

一つ大きな刀を取り出し、切っ先を俺に向けた。

「俺から行くぞ。感情 アルマーニイレイザー!」

両手を突き出し、自分の魔力を撃ち放った。
一直線に金に向かうレーザーは彼女に直撃したかに見えた。
だが、俺の技は金に直撃する寸前に真っ二つに斬られた。本当に真っ二つだった。

「真っ二つってマジかよ...」
「このアメノオハバリの前ではどんな能力も真っ二つに断ち切る」
「チートかよ!?」
「次はこっちから行くよ。遊戯 素敵で可憐な人形劇」

いくつも作られたスキマから数え切れないほどの人形が現れた。
その一個がたまたま近くにいた幻真に触れた途端、大爆発を起こした。
あまりダメージを帯びた様子はないが、周囲の地面が軽くえぐれていた。なんつう威力だ!

「喰らい尽くせ...感情 荒ぶる武龍!」

地面を突き破り現れたのは武器を集合させて龍を模した巨大な武龍。
口の部分が大きく開いた。暴れるように動き回り攻めて来る人形達を喰らう。何度も爆発するがそれでも退くことなく喰らい尽くした。

「やりますね。なら、これはどうでしょう?祭儀 残酷なる生贄」

金の人差し指が潰れ、血を吹き朽ち果てると彼女の後ろの空間に亀裂が走った。そこから指が現れた亀裂を広げようとしている。
異様な音を立て、亀裂が大きく広がった。
空間の裂け目にいたのはニメートルはあろう巨漢で筋骨隆々のおっさんだった。
その手に持つ武器からは電流が迸っている。

「我が名はインドラ!主の剣となり、盾とならん!」

剣を高々と掲げると空も見えない地底の天上に雷雲の群が出現した。

「我がヴァジュラの力とくと見よ!」

雷鳴を轟かせ、雷が降り注いだ。

「そっちがそう来るなら、対抗してやるよ!怠惰 赤色の目をした堕羅けた怪物!」

赤黒い煙を出し、赤眼の怪物は姿を現した。
少し捻れたツノ。血のように真っ赤に染まった赤眼。巨漢のインドラをも見下す巨体。赤黒き肌。
本来の赤眼の怪物の姿であった。

「行け!赤眼の怪物!」
「ダルイが...仕方ない...」

何もない空間から黒く染まった刀身。脈動するように動く黒刀を取り出した。

「喰らうがいい!龍神の雷を!」

雷を纏ったヴァジュラが赤眼に斬りかかるが、赤眼は黒刀で弾きインドラをよろめかせた。

「わ、我のヴァジュラを...!」
「龍神如きが魔王に挑もうなど一万年早い...」

驚き戸惑うインドラを黒刀で斬り、真っ二つとなったインドラは光る粒子となり消滅した。
インドラがやられても驚く様子はない金は少し嬉しそうに笑った。

「インドラを真っ二つにするとは、これなら少し本気を出しても良いですね」

アメノオハバリをスキマにしまい、また違う神秘的な魔力を放つ、金色の剣と見た目は特に特徴はない扇を取り出した。

「この天剣ルシアと地扇ハクアで」
「今までは遊びだったと?」
「ええ、けど次は少し本気です。地技 天剣クライシス」

スペルカードを宣言すると、天剣ルシアの斬撃をスキマに放った。
疑問を抱く隙もなく、俺を取り囲むように大量のスキマが出現し、先ほどの金の斬撃がスキマの数だけ現れた。

「こんなのってありか!?感情爆破!憤怒!」

憤怒の感情を解き放ち爆発に変え全ての斬撃を掻き消した。

「やりますわね。天技 地扇クライシス」

地扇ハクアを扇ぐと台風などとは比べ物にならない風が巻き起こった。
周りにいた幻真や蟷螂達は遠くへと吹き飛ばされた。
かくいう俺はすぐ後ろにあった壁にめり込んでいる。吹き飛ばされなかったのは運がいいのか悪いのか...

「運がいいですこと」
「いや...戦いが続くって点では運が悪い」
「本当に戦うのが嫌なんですね」
「めんどくさいじゃん?」
「......ふふ。あなたは面白いわね。さぁ、決着をつけましょう?画竜点睛」

赤黒い槍を取り出し、俺に切っ先を向けた。

「これが衝突すれば新たな銀河が生まれ、まあここは崩壊しますね」
「なんてものを取り出してんだ!?」
「いや、あなたなら止めれそうな気がして」
「何その適当な感じ!」
「えーい!」

ポイッと投げられた槍は軽く投げたはずなのに、尋常じゃないスピードだった。
これって避けても触れてもダメって事だろ!?あ、詰んだじゃん。うーん...最後の最後でこれってやっぱり俺って運が悪い?
まあ、ただやられるのも癪だし、試すか。

「暴食 紫色の目をした食欲の化け物」

全てを飲み込む最強の化け物が赤眼の怪物のように俺の中にいる。
紫の煙が吹き出し、煙が晴れると紫眼の怪物が立っていた。見た目はちんちくりんの小さな少女だ。

「ふにゅ?マスターお久〜今日は何〜?」
「説明してる暇ないから、あの槍食え!!」
「食べていいの!?やったぁ!」

ぴょんぴょんと跳ねて喜ぶ紫眼の怪物は迫ってくる破滅の槍を見て嬉しそうに口を開けた。
ただし、顔についてる口ではなく魔力によって手を大きく変形させた巨大な口だ。

「いっただきまぁす!」

バクン!
金の槍を一飲みにした。紫眼の怪物に何も変化はない。という事は、成功したって事か。
ああ、死ぬかと思った。

「まさか本当に止めるとは...」
「俺も実際こいつに賭けただけだ。良くやった紫眼」
「えへへ...マスターに褒められた!私満足!帰る!」

紫眼は笑って紫の粒子となり消えた。

「さあて...どうする?続ける?」
「いえ、終わりましょうか。めんどくさいですし?」
「ははは!そうだな。よし、宴するか」
「はい」

金の攻撃で飛ばされた奴らを拾って地霊殿に戻った。




△▼△




「まあ、そんなわけで宴しようか?」

気の抜けた挨拶をし、宴をしようとするが幻真が文句をつけた。

「拍子抜けだ!なんかもっと言う事あるだろう!?」
「そう言うなら幻真が言えよ」
「え?嫌だ。この世界の代表としてお前が言うべきだろう」
「えー...蟷螂やって」
「蟷螂なら勇儀に連れてかれたぞ?人間の割に酒が強いな!って言われて」

勇儀さんに気に入られてる......蟷螂頑張ってね。
仕方がない...挨拶するか...こうゆうの恥ずかしいから嫌なんだよな。

「気楽でええんやで〜」
「じゃあもう!乾杯!」
『カンパーイ』

挨拶なんてなかったんだ。
その後はみんなが自由に食えや歌えやの大宴会。
途中、蟷螂を引きずる勇儀さんが乱入してきて突如飲み比べが始まり、終夜と元々死にかけていた蟷螂が酔い潰れた。
かわいそうに。

「磔って酒強いのか?」
「まあまあかな?飲みすぎると吐くよ」
「いや、勇儀さんと同じ量飲んで飲みすぎもないから......」

今は勇儀さんと旭がどうゆうわけか外で戦いを繰り広げていた。どちらも女性とは思えない殴り合いの喧嘩が勃発。
正直、旭と戦わなくてよかった...
中に戻ると何人かが残っていた。

「お前らは見に行かないのか?」
「わしは動きと〜ないんや」

うん知ってた。

「俺は蟷螂と終夜の看病」
「私も同じく」

二人は顔を真っ赤にして目を回していた。本当にかわいそうに...
俺はキョロキョロと辺りを見渡した。それに気づいたのか、それとも心を見たのか終作がからかうように言った。

「お前の彼女さんは縁側だぜ?」
「彼女じゃねえよ!!」
「え?ちがうの?」
「私もスキマで見てたけど、どう見ても彼女にしか見えないわよ」
「お前らがどう思おうと彼女ではない!」

不機嫌そうにアルマは縁側に歩いて行った。

「難しい関係なんやの〜」
「その方が面白いだろ!」
「あんさんはホンマに性格悪いの〜」
「お前に言われたくない」




△▼△





縁側を覗くとパルスィが一人、風に吹かれていた。
少々、顔を赤く染めているが酔っ払ってるのか?
何も言わずに隣に座るとムスッとした顔になった。俺何かいたしました?

「遅い...」
「何も言わないで早く来いって言われても困る」
「だって...」
「恥ずかしい?」
「うん...」

頭をワシワシと撫でるとパルスィはくすぐったそうに笑った。

「いつも思うけど、どうして頭を撫でるの?」
「え?ん〜...撫でやすい?」
「何それ...」
「なんて言うんだろ。撫でると落ち着くんだよ」
「ふーん......じゃあ私も撫でていい?」
「別にいいけど...」

すると、立ち上がったパルスィは後ろから抱きついて頭をそっと撫でた。
なんか...気持ちいい...
何秒か撫でるとピタッと手の動きが止まった。どうした?

「......ツノ邪魔しまって」
「あ、悪い悪い。今しまうよ」
「あ...やっぱりしまわなくていい。ツノも触りたいからそのままにしてて」
「はぁぁ?どっちだよ」

クスクスと笑って濁された。
また手が動いて頭を撫でる。なんかパルスィがいつも嬉しそうにしてるのがわかった気がする。
気持ちいい気分を味わっていると後ろの襖から何人かの厭らしい感情を感じた。
パルスィも気づいたらしくスペルカードを握っていた。
俺もスペルカードを握った。

「やばい!気づいた!」
「逃げろ!」
「感情 アルマーニイレイザー!」
「嫉妬 ジェラシーボンバー!」

青と緑のレーザーが混じり合い、襖の裏に隠れていた幻真と終作、磔そしていつの間か起き上がった終夜に直撃し、地霊殿の一部を吹き飛ばしたのだった。


こうして、異世界人たちは地霊殿の修理を半強制的にさせられ帰って行ったのだった。

「東方魔人黙示録外伝〜東方異人録〜 」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「ファンタジー」の人気作品

コメント

コメントを書く