転生先は現人神の女神様

リアフィス

24 聖女と女神と守護精霊

新しく広がった北側大通り、左側大半を占領する長方形の土地。
そこがルナフェリアの家である。
土地の中央より少し西側を水路が通り、真ん中辺りが池になっている。
池の近くには家があり、池の側にはテーブルに椅子が置かれ、家の近くに塩と砂糖を精錬する魔法装置が置かれている。
周りは様々な果樹が植えられ、敷地内は精霊達が好き放題している。
結界内部、つまり土地の中に入ると空気が変わるのが分かるだろう。
当然のように、後ろをついて入ってきた2人の動きが止まる。

「な、なんですかここは……」
「……聖域?」
「ここはさっきいた場所の西、王都ファーサイスにある私の敷地よ。この土地には私と精霊達しか現状は入れない。安心しなさい」

先ほど仲間、同僚の1人に裏切られ殺されかけたのである。
いくら薄々感づいていようとも、ダメージがない訳ではないだろう。
ルナがいなければそこで死んでいたのが事実なのだから。

せっせと卵を置き、予備の椅子を取り出し、自分の所に座り、マスカットを絞ったやつと、炭酸水メーカーを取り出し寛ぐ。2人のは水で割ろうか。
さっさと座らせて飲み物を渡す。私ができるのはここまでである。

ああ、家改造しなきゃダメかな? 部屋無いわ。
食料もだな……。私達が『趣味』として食べるならまだしも、人間が食べるには栄養が偏りすぎてるな。肉! 果実! お菓子! 稀に野菜。
食べ物から栄養を取る必要が無いからなぁ……。
ギルマスにテイムできた報告もしておいた方がいいか。
……結構やることがあるな。飲んだらやろう。


「さて、私は作業するから」
「作業?」
「テイムしたことをギルマスに報告しておきたいし、あの家に貴方達の部屋が無いし、食材も人間が食べるには不十分。ギルド行くついでに買い物して、帰ってきたら家の改造ね」
「……何かすみません……」
「拾ってきたのは私だし別にいいのだけど……。ん……?」

……ん!?
丸いテーブルを囲んでいるわけだが、その横に精霊とは違う、少しふくよかな巨乳の姉ちゃんが現れた。非常に機嫌が良さそうでニコニコしている。
聖女御一行は目を見開いて固まっている。そりゃあ、そうなるな。
何してるんですか、慈愛と成長の神。
……と言うか、どうしても聞きたい事がある。

「……降りてこれちゃうの?」

……何か身ぶり手ぶりしているがさっぱり分からん。あー、喋れはしないのか。
魔力と多少制御できるようになった神力を渡す。完全制御まで先は長い。
これでどうだろうか。同じ神仲間、多分行ける。

「……ありがとうね~」

ああ、うん。何と言うか、想像通り。
めっちゃ間延びしてるマイペースな姉ちゃんタイプだこれ。

「降りてこれたのはね~、ここだから~。貴女のおかげで神域になってるのよ~」
「神力のせいか、なるほど。長くは持たなさそう、世間話は後ね」

用があるのは聖女達にだろう。加護を与えているようだしね。

「ジェシカにエブリン、無事で良かったわぁ~。私は見ていることしかできないから~……。2人を助けてくれてありがとうね~」
「2人を助けたのは完全にたまたま。あの子を捕まえに行っただけだし……」
「結果的にこうして生きているのだからいいのよ~」

私と違ってそれがデフォなのか? 非常にニコニコしている。
それとも余程気に入っているのか。

「2人共これからは決めたの~? 宛がないならこの人に付くのをお勧めよ~。あんな教会よりゆう……比べるのもあれね」

どうも真面目なのもいるようだが、肥えた豚ちゃんが多いようだ。
《回復魔法》は神の力。加護によって発揮する。
聖女はこうして目をつけられていたので、上級を使用できるのだろう。
力取り上げて使えなくすれば? と思うが、どうもかなり大雑把にしかできないようだ。力が力だけに、小回りが効かないらしい。

「そういえば、貴女と話すのも目的だったのよ~」
「私と?」
「そうよ~。やっぱり目的が分からないというのはね~」
「目的……ねぇ……」
「貴女が来た時、創造神様の力を感じたから~、危険視はしていないのだけれど~。でもね? 私達と同格、いや~格上ね。そんな人がふらっと現れると気が気じゃないでしょう~?」
「……あー、私の役目は1つだけ。『世界が滅びそうな時に原因を排除する』それ以外は好きにしていいと言われたの」
「……私達じゃ手が出せないものね~。それは有り難いわ~。じゃあ、貴女個人の目的は?」
「目的なんて大層な物は特に無い。創造神様に肩入れすると面倒だと教わっているから、喧嘩を売ってこない限りは放置かな?」
「今まで通り~?」
「今まで通り」
「ふふふ~、分かったわ~。私達3柱のお願いを聞いて貰える~?」
「気分次第よ?」
「大丈夫~。貴女なら聞いてもらえる内容だから~」
「どんなの?」
「教会関係ね~。会いに行けとは言わないわ~。遭遇した場合ね、酷いのは力を没収して欲しいのよ~」
「……あれ、さっきできないとか言ってなかった?」
「『私達には』ね。地上にいる貴女は別~。神々の加護と言う神力の欠片を没収してくれればいいわ~。それで力は失われるから~」
「なるほど。1人1人なんか到底無理か。それを私にやってほしいと」
「そうなのよ~。流石に目に余るのよね~。天使とかに代理させたいけれど、神力なのよね~……。使えるけれど、操る力を持つのは神々だけなのよ~」
「できるのは私だけなのね。まあ、気に入らない奴の力を没収すればいいのだから、頼まれなくてもやるでしょうね」
「よろしくね~」

また聖女の方に戻っていった。あいつら大丈夫だろうか? ガチガチだけど。
まあ、今まで信仰していた、加護をくれている者がこうして出てきたら、ああなるか? 私は別に信仰されてないし、加護も与えてないからな……。

「あら、貴女も信仰されてるわよ~?」
「えっ? 誰に……」
「相手が正体を知っている必要は無いのよ~。つまり、貴女が感謝されたりすればするほど、それが信仰となるわね~。まあ、されてようが、無かろうが、正直関係ないのだけれど」
「……信仰なんて不確かな物に頼らんわな」
「ふふふ~。あら、そろそろ戻らないと」
「やり残しは?」
「……そういえば伝言頼まれてたわ~。『この子達をよろしくね』だって」

……ん? 聖女達? いや、そうか。『伝言』だもんね。

「言われなくても私の子達でもあるもの、心配ご無用。そう伝えておいて?」
「分かったわ~。じゃあね~」

豊穣と大地の神からの伝言。この子達とは精霊達の事だな。
マナの塊であるこの子達は言うなれば私の子供。
でも、豊穣と大地の神の代理でもある。
感情的には生みの親と育ての親みたいな物だろうか。
まあ何であれ、この子達に何かあれば黙っているつもりはない。
可愛いは正義。

さて、慈愛と成長の神が帰っていった訳だが……。
2人が突然動き出し、椅子に座っている私の横で両膝をつき、両手を胸の前で組んでお祈りポーズ。

ですよねー。やりづれぇ……。

「どうするか決めたの?」
「はい。貴女様にお仕えさせて頂きたく」
「いいけれど条件があるわね。その態度やめてちょうだい」
「ですが……」
「じゃあダメ」
「うぐ……」
「女神ということは一応隠しているの。知ってるのは王様と宰相、王太子と騎士の隊長格、後は冒険者ギルドのマスターと受付の1人だけよ。普段は滅んだ国の精神生命体の皇女だから、旅してる時に拾った侍女扱いかしら? 王様に頼んで侍女修行でもしてくる? 私自分の事は自分でするから、出番あるか分からないけど」
「女神様にお仕えするのだから、修行よジェシカ! 最後のは聞かなかった事にして修行よ!」
「は、はい」

身分的には貴族だったはずだけど、逞しいな、エブリン。
……じゃないと旅なんかしてないか。
まあ、そうしたいと言うのならそれでいいでしょう。王様に頼んでみるか。
さて、作業しよ。

まずギルドに突撃してテアさんに報告。ギルマスに伝えてもらう。
そしたらギルドを出て買い物。シードラゴンがまだ大量にあるので、野菜を確保。
"ストレージ"に買ったものを放り込み、今度はお城に突撃。
かくかくしかじか、まるまるうまうましたら侍女が1人付いて来た。
部屋1個増やそう……。侍女と聖女達が話してる間に、家の改造をする。
平屋だし、横に伸ばせばいいな。

そんなこんなしていたらすっかり夜に。
家は3部屋増やして、食器類も人数分追加。
問題は布団だったが、すんなり鳥系の魔物と遭遇できたため、毟り取ってきた。
3人分の羽毛である。いくら弱肉強食とは言え、女神と遭遇した魔物は可哀想ですね。だが、慈悲はない。妖怪羽置いてけ。鶏肉も確保。唐揚げにしよう。

そして料理のお時間です。
家の外に配置したキッチンです。
侍女? やらせんよ。料理を任せるのはもう少し後だ。
料理に関しては私の元の世界の方が優れていたからな!
私好みの味を教えて、作り方も教えてからだ。それまでは自分で作る。

台所前をウロウロして作っていたら、あの子達が目覚め始めた。

「お待たせしました」
「おはよう、リュミエール」
「おはようございます。一番最初ですか?」
「そうよ、貴女が最初」

光の精霊王だった子が一番最初に起きてきた。


名前:リュミエール
種族:光精霊
身分:皇族
称号:至高なる守護精霊
スキル
【魔法】
    《魔力制御 Lv10》 《光魔法 Lv10》
【身体】
    《魔力強化 Lv10》 《身体制御 Lv10》
【その他】
    《並列魔法 Lv10》 《空適正 Lv10》 《魔法適正 Lv10》
【種族】
    《物理無効》 《痛覚無効》 《環境効果無効》 《状態異常無効》
    《光魔法反射》 《飛行 Lv10》
【固有】
    《月魔法 Lv1》
【所持称号】
    一般
        [精霊皇女]
    固有
        [至高なる守護精霊] [月の祝福を受けし者]


うん、強いな。精霊皇女になったか。
Lv1だけど《月魔法》が固有に入ってるな……。最適化ギフトが《月魔法》とは。

「《月魔法》何が使えるの?」
「えっと……マナ収束砲マギキャノン衛星砲サテライトシューターが使えそうです」
「無と光の2つか。操作系は?」
「それは無理ですね。闇のオスクリタとならもしくは……」
「なるほどね。光と闇が揃えばできるかもしれないか。ん、分かったわ」

リュミエールはいそいそと自分の服を改造し始めた。
妖精、精霊、精霊王と体が大きくなり、服も豪華になっていく。
契約して精霊皇女となった今、身長は大体60センチ程となり、それなりの大きさ。
妖精の時はシンプルなワンピース。精霊の時はドレスモドキ。精霊王はドレスに。
そして精霊皇女は、ドレスモドキから立派なドレスになった。
フリフリになり、装飾も散りばめ、髪飾りなどのアクセサリーも身に纏う。
非常に満足気だ。

そんな時、また1人目覚めた。

「……2番目?」
「おはよう、オスクリタ。2番目よ」

ステータスは《光魔法》が《闇魔法》に。《光魔法反射》が《闇魔法反射》に。
そして、同じく【固有】に《月魔法 Lv1》がある。

「貴女は《月魔法》何ができる?」
「んー……マナ収束砲マギキャノン這い寄る混沌ニャルラトテップ
「無と闇か。無は共通で、後は各属性かしらね」
「2人でなら光量操作リヒトコントロール、できそうです」
「ふむ。そうなるとヴルカンがちょっと可愛そうね……」
「あー、氷精霊いませんからね……」
「ま、こればっかりはしょうがないわね」

この間もいそいそと料理を続ける。オスクリタも自分の服を改造している。
自分の体の一部を服としているため、非常に特殊な素材に見える。
リュミエールは白、オスクリタは黒だ。どちらも半透明な不思議な布感がある。

「ごっはーん!」
「……おはよう、ヴルカン。3番目ね」
「おー! 早かった!」

ふむ、《火魔法》に《火魔法反射》か。そして《月魔法》が……。

「えっとねー、マナ収束砲マギキャノン新星爆発ノヴァエクスプロージョン。後は火炎操作フレイムコントロール!」
「うわ、まさかの独立か。《火魔法》どころか火その物の操作か」
「えっへん!」
「でも新星爆発ノヴァエクスプロージョン火炎操作フレイムコントロールも禁止ね」
「ええええええ!」
「火遊び厳禁。使うときはしっかり考えて使うように」
「……はーい」

火は周囲の被害がシャレならんからな……。こればっかりはしょうがない。

「起きたー!」
「おはようございます」
「おはよう、シルヴェストルにウンディーネ。同時ね」

水と風が起きた。

マナ収束砲マギキャノン大津波タイダルウェイブ液体操作リキッドコントロールです」
マナ収束砲マギキャノン撃ち貫く者サジタリウス大気操作アトモスフィアコントロール!」

ふむ……。操作系が分断されてるな。
リュミエールとオスクリタは揃わないとダメなのか。

「お待たせしました」
「おはよう、グノーム」

地面からモコっと出てきた。

マナ収束砲マギキャノン流星群ミーティア固体操作ソリッドコントロールです」

これ、実は1番強いのグノームだったりして。
固体操作ソリッドコントロールって適応範囲広すぎない?
《月魔法》その物としては……。

新星爆発ノヴァエクスプロージョン流星群ミーティア大津波タイダルウェイブ衛星砲サテライトシューター

この順番で地上がヤバい。

撃ち貫く者サジタリウス這い寄る混沌ニャルラトテップマナ収束砲マギキャノン

この3つは地上にはダメージがほぼ無い。
マナ収束砲マギキャノンの使用マナ次第では衝撃波が出るぐらいか?
撃ち貫く者サジタリウス這い寄る混沌ニャルラトテップは対象がヤバいだけで地上自体は問題ない。
正直、新星爆発ノヴァエクスプロージョン流星群ミーティアは使い道無いんじゃないか? どっちも数キロ、ヘタしたら数百キロで更地になる。クレーターのおまけ付きだ。
ぶっちゃけ国の1つや2つ、私達なら超級をぶっ放せば落とせる訳で……。
《月魔法》威力高すぎるのよね……。

まあ、そんな事よりご飯だご飯。

「こら、つまみ食いしないの」
「むー」

ヴルカンが我慢できなさそうだしね。

「食べるわよー。運べー」
「わーい!」

私は椅子に座り、精霊6人は机に座る。そして3人を席に着かせる。

「ど、同席など」
「やかましい」
「…………」

ゴリ押し。

「ところでその方達は?」
「私の侍女見習い2人と侍女の先生。今後ここにいるからね」
「なるほど。光の契約精霊、リュミエールです」

それぞれ自己紹介をしている。

「……あれは?」

オスクリタが巨大な卵を見ている。

「ああ、あれは私の従魔。皆が最適化中に捕まえてきたの。今最適化中」
「でかいですね?」
「魔王種のアラクネ捕まえてきたからね!」
「魔王種! 皇族なるかな?」
「どうだろうねー。出てきてのお楽しみだ」

まあ、多分なるだろう。あの子は何をギフトでもらってくるのかね。

「ヴルカン。もう少し落ち着いて食べなさい。綺麗な服が汚れる」
「汚れつかないもん!」
「そうだけど、そうじゃない」

精霊達はそれぞれの属性の色の服を身に纏っている。
火は赤。水は青。風は緑。土は黄。光は白。闇は黒。
どれも薄っすらとすけていて、幻想的な見た目をしている。
火と水と風は常に動いているような、流れているような見た目をしており、光は薄っすらと発光。闇は吸い込むように暗く、土は眩しくない暗い黄色をしている。

……派手だな。まあ、精霊だし。

「……非常に美味しかったです」
「後々作り方教えてくから」
「本当ですか!」
「ええ、じゃないと侍女としての仕事が無いしね」
「頑張りますよー!」

元気だな、エブリン……。

食事が終わると、精霊達はベアテの卵に群がっている。
あれ? もしかして進化したらもっとでかくなるんじゃ?
下の蜘蛛3メートルぐらいあったよな? これ以上育つんですか?
でもカニとか脱皮したら、どうやってその中に入ってたんだ? ってサイズで出てくるよな……。考えるだけ無駄か。でかくなったらなっただ。好きにしてくれ。
多分起きるのは明日だろう。


考えるのをやめて、3人に家の中を案内する。
3つサイズもデザインも同じ部屋を用意したので、そこを使わせる。
更にほぼ全部が魔道具なので、お風呂の使い方や、台所の使い方を教える。
そしたら精霊達含め、皆でお風呂に入り、寝る。

「我々が寝るのは主様が寝た後です」
「あ、私精神生命体だから、睡眠必要ないよ」
「……丁度2人いるので交代で付きましょう」
「夜は私ゴロゴロして動かないから、全員6時間から8時間は寝ること!」
「…………寝ますよ」
「「あ、はい」」
「主様が仰った事が全てです。お先に失礼致します」
「ええ、おやすみ」
「「おやすみなさい」」


私はベッドに転がり、静かに目を瞑る。
侍女を持つ方も楽じゃない。さて、彼女らには何を任せようか。
よくあるのは着替えの手伝いや、食事を運んだり、飲み物を入れたり……だが。
服は私の魔力だし、コックは居ない。飲み物も基本私の"ストレージ"内。
ここに住んでいるのは私と精霊達のみ。しかも彼女達には実体化している精霊達しか見えない。……仕事ないんだこれが。どーしようかね。
しかもそろそろ冒険者しようかと思ってたのに……。
短期間でみっちり詰め込んでもらって、連れ歩くか? 今まで旅してたんだし、その辺りは大丈夫だろう。立派な侍女になるのにどのぐらいかかるか、だな。

……とは言え、旅して助けて回りたい思いは捨てきれてないな。
捨てろとは言わないし、捨てる必要も無いんだが。
何がそこまで彼女達を駆り立てるのか。
……ま、他人の過去なんぞ微塵の興味も無いので、見る気にもならんが。

冒険者旅に連れ回して私の代わりに使わせれば丁度いいか。
上級の《回復魔法》を使える者を連れ回すんだ、間違いなく教会関係で面倒事が起きるだろうが、慈愛と成長の神に頼まれてる事もあるし、別に良いだろう。
ということで、ちょいちょい連れ回してやろう。
そうすれば『困っている人、助けて欲しい人を助けて回りたい』という思いは達成できるだろう。

聖女ねぇ……。
理不尽な理由で殺されかけて尚、そうありたいと思うのだから強いもんだな。
悪いことじゃあるまいし、したいようにさせてやろう。火の粉どころか、核弾頭だって振り払ってやるさ。安心して己が道を進むと良い。
私ができるのはそれぐらいだろう。むしろ、これ以上は望んじゃいないだろう。

……侍女としての仕事が無いなぁ。
ベアテが《裁縫》持ってたのよな。服でも作ってもらおうかしら。

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