転生先は現人神の女神様

リアフィス

13 レストランでご飯

ヘルムート隊長と分かれ、お城を出る。
所々にある水路を飛び越え直進して帰る。

ふむ、朝は食材買って自分で作って、お昼は出店回って、夜はレストランでも回ろうかな? 気に入るのがあるといいけれど。
お菓子食べた感じ嫌な予感するけどね。
でもパット見売ってる野菜系は見覚えあるようなのが多い気がする。
と言うかポップアップ見る限り名前一緒なんだけど? 問題は味だが。
魔物はともかく、単位といい野菜達といい共通点が多いな。
……前世の世界、地球は6番世界って言ってたな……。
もしかしたら地球の単位とか名前も他の世界からだったりして。
と言うかその可能性が高いな。

さて、異世界転生、転移物は食事がいまいちってのがこの手の定番だが、この世界はどうだろうか? 美味しいといいなー。

えっと、家の正面……ああ、このでかい所がそうなんだね。
土地はうちと同じぐらいだね。レストランの名前は『水のせせらぎ亭』か。
突撃、向かいのレストラン!

中はテーブルと椅子が並べられていて、チェーン店のような内装だ。
まあ、そうする以外どうするの? って感じだが。

「いらっしゃいませー。個室に致しますか?」

20歳の お姉さんが やってきた! 飛び出しては来ない。
個室があるのか。容姿と服装から貴族と判断されたようだ。
間違っちゃないが正解でもないな。

「いえ、開いてる場所でいいわ、1人だし」
「カウンターでよろしいでしょうか?」
「ええ、構わないわ」
「ではこちらへどうぞ」

カウンターに案内され、椅子に座るが……足が届かないどころかテーブルが胸ぐらいある。肘をテーブルに乗せるとほぼ平行になる。

ちょーん。

これは、なんとも言えない気持ちになるな。
お姉さん、微笑ましく見ないで下さい。
男は185センチ、女でも175センチが大体の平均なこの世界。
146センチだと地味に不便そうだな。
子供用の椅子があるのか。食べやすさを取るか、何かを捨てるか。
この歳で子供用椅子……しかし見た目的には……ぐぬぬ。
あ、自分で椅子作れば良いのか。

すっと降りて、お姉さんに椅子を持ってって貰い、椅子を作る。
無属性は……私の魔力光は紫だからちょっとなぁ……。
《環境効果無効》がどこまで適応されるかは知らんが、熱や冷気は感じない。
だからと言って炎の椅子はない。氷の椅子とか水の椅子もなぁ……。
風? 空気椅子はちょっと。いや、意味違うけどさ。ちゃんやれば座れるけど。
やっぱ土? ああ、そういえば家作るのに加工して余った末端部分があったか。
フローリングの木材が。あれくっつけて成形しよう。

《空間魔法》の”ストレージ”から末端を取り出し。
《魔導工学》の”コンポジション”で纏める。
これを繰り返していき、丁度いい大きさになったら”モルディング”で成形する。
それを置いて”ストレージ”から予備のクッションを取り出す。
直接座るには硬いからね。

ごくごく普通の足の長い木造椅子が完成した。
うん、丁度良い高さだ。完璧。
あ、これメニューか。なになに……。
『ステーキ』
ゴブリン
ウルフ
オーク
『ごろごろステーキ』
ゴブリン
ウルフ
オーク

「なあ、お嬢さん……」

ごろごろステーキって、サイコロステーキかな?
ゴブリン、ウルフ、オークの隣に値段書いてあるから使用する肉か……。
他にはスープ系だったり、サラダだったりか。何にしようかな……。

「な、なあ」

ん? ああ、私か。

「何?」
「今のって……」

? あー、椅子作ったの言ってるのか。
《思考加速》が便利すぎて考えるときは使ってるから、ズレるんだよねぇ。
余り使わないほうが良さそうか。
基本的には戦闘時とか、こちらの返答が重要な場合ぐらいかな。
無意識で《思考加速》の方に合わせて体を動かしちゃうとちょっとあれね。
うん、これからはそうしようかな……。
そのうち無意識に《思考加速》の調整ができるようになるでしょう。

さて、ご飯決めよう。話しながらでも《並列思考》で全然問題ない。
なお、意識の大半はご飯な模様。

「《空間魔法》と《魔導工学》ね」

言いながらもメニューガン見である。
ゴブリンは見た目からして食う気が失せるので却下。
値段的にもまずいんだろう。ウルフ肉とそこそこ差があるし。
ウルフとオークはほとんど差が無いが、微妙にオークの方が高いか。

「”モルディング”てっと《魔導工学》の上級だろ……? お嬢さん有名な魔法技師なのか?」
「違うわよ。ただの冒険者」

高いのと安いのを食べようかしら。お姉さんを呼んで聞こう。

「お姉さん、ここで1番高い料理はなに?」
「一番高いのはですねー。ジャイアントクラブをさっと茹でた物ですね」

カニか……。

「じゃあそれと、ごろごろステーキをウルフで。後このスープを」
「そ、そんなにですか? ジャイアントクラブはそれなりに量ありますけど……」
「うん、高いのは最後にして? ステーキとスープ最初がいいわ」
「わ、分かりました」

一番高いジャイアントクラブの料理と恐らく基本的なステーキ。
それに加え値段的に中間ぐらいのスープを頼んだ。
これで大体の料理レベルがわかると良いな。

・・・・・・
・・・


ご飯をもぐもぐしたけれど、ごろごろステーキはそれなりのボリュームなサイコロステーキだった。ウルフ悪くない。野菜スープも美味しかったし。
ジャイアントクラブはジャイアント言うだけあってでかかった。
足であれなら全体でメートル単位余裕だろうな……。

ただねぇ、基本的に塩味ばっかなんですね……。
私が頼んだのがたまたま塩味ばっかなのか思ったけど、周り見る限りどうもそうじゃなさそう。やっぱ調味料自体が高価か?
ジャイアントクラブの方についてきたサラダ食べて思ったんだけど、野菜とか魔物の肉その物が非常に美味しい?
調理レベルが低いと言うか、そこまで調理する必要が無いって感じかな?
野菜むしゃむしゃするだけでも十分美味しいんだ。
この世界がそうなのか、この国がそうなのか、品種がそうなのか分からんが。
元が美味しく、調味料の入手が大変となれば、そんな研究はされないか?
そこまで気が回らない、そんな余裕がないって所もあるかもしれないな。
後ジャイアントクラブの時にお酒も頼んだけれど、温いし炭酸も微妙。
炭酸飲料が好きな私からすると非常に不満である。食べ物よりも。
なんとかしよう。

王都の一角が畑やら牧場に占領されてる時点である程度は察せるよなぁ。
と言うか、畑やら畜産やらの範囲を考えたら王都がこのサイズに成りました。って感じがする。
ミルクがあるならチーズもあるだろうか。明日にでも探してみよう。

まあ、とりあえず食べたし帰るとするか。

「ごちそうさま」


味は分かるけど、空腹と満腹と言う物がありません。
食べたものはどこに行くのでしょうか。女神の体の謎です。
まあ、トイレに行く必要がないと言うのは、どちらかと言えば嬉しいので気にしない方向で。

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