転生先は現人神の女神様

リアフィス

10 再び王城と魔法の説明

ヘルムート隊長と再び王城へ向かう。まさかもう来ることになるとはね。
前に来たのは夜中だったからほぼ人いなかったけど、今は昼間だからいっぱいいるな。ちらちらと見てくるけど当然スルー。

執務室の扉の前には近衛の副隊長がいた。
私達の姿を見た瞬間ノックして中に問いかけてる。

「どうぞ」

スムーズに中へ。
部屋の中は王様と宰相さん、近衛の隊長が居た。

「やあやあ」
「おう、まさか本人が来るとは思わなかったぞ」
「ギルドと私と相手の3人で話して値段を決めることになってね。素材は全て私が持っているのよ」
「珍しすぎてこれといった相場がないか?」
「そうみたい」
「ふむ、なら言い値になるのか。どうするかな……」
「何キロ欲しいの?」
「3キロ……あればいいだろう。それでも結構な額になりそうだな……」
「んー、……お肉あげるから騎士達の訓練混ざっていい?」
「訓練? 魔法師団か……?」
「いやいや、【魔法】はいいや。【武闘】がスキル1個も無いからさ」
「近接戦闘するのか?」
「あった方がいいかなって。【武闘】の心得はないのよね」
「ふむ」

王様がちらっと入り口に立ってる近衛騎士隊長のレオンハルトに視線を向ける。

「どのような武器を使うかお決まりですか?」
「《格闘術》がいいなって思ってるのだけど」
「ふむ、《格闘術》ですか……」
「接近された時に魔法ぶっ放すのもあれだし、周囲の影響を考えるとね……。後、《格闘術》とは別だけど、魔法を使うのは変わらないけど撃たずに武器の形にしたらどうかな、と」
「「「……は?」」」

おう、全員から何言ってんだこいつって視線が……。しょうがない、説明するか。

まずこの世界の魔法は、3パターン存在する。
1.既に存在する魔法。
2.オリジナル魔法イメージ
3.オリジナル魔法(魔法陣)

1は<Index>というマギライブラリにアクセスし、そこから使用する魔法を選択して使う。この世界はこれが一般的。
2は漫画など小説でよくあるパターンだ。イメージを魔法として発生させる。
3は魔法陣を改良して使うオリジナル魔法。

基本的に<Index>から魔法を使用する場合、魔法陣が出現する。
細かいのは置いておくが、魔法を選んだ時点で魔法陣が展開し、魔力を注ぐと輝いていき、魔力が発動するのに十分な状態、発動待機状態で魔法名を言うと輝き溶けるように消える。失敗だと砕けて消える。当然注いだ魔力は帰ってこない。
この砕けて消えるのは安全装置で、魔力暴走防止機能がある。
注がれた魔力が暴走しないように、全て取り込み自壊するようだ。

ちなみに、2と3ができるのは一種の天才だ。天災かもしれんが。
魔法陣の暴走防止機能、これが結構優秀でね?
2はイメージからだから魔法陣を使わないためこれがない。
3は魔法陣を使うため防止機能があるが、そもそも魔法陣を弄れる者がいない。
魔力が暴走した場合は注いだ魔力量にもよるが完全に運次第になる。
何もなく霧散するか、爆発するか、周囲を更地へと変えるか。
これを安全に防ぐのが、注いだ魔力を全て取り込んで自壊する防止機能だ。
よって、2と3は余程の天才、優秀な人間か、ただのキチガイだ。

私はどれかと言えば前者だけど、[夜と魔を司る者]である月の女神だから。
種族補正みたいな物かな? 私の場合は失敗するほうが難しいのだよ。
失敗したところで暴走なんかさせずに手動で霧散させられるからね!

そして今回の私が言っている事は1と2の混合になるね。
『既に存在する攻撃魔法』を『イメージした形』に生成する。
これの良いところは、攻撃魔法その物ということ。
《氷魔法》の超級である”アブソリュートゼロ”。本来は敵を凍りつかせる魔法だけれど、これをレイピアの形にして戦うと……。
刺さった所、触れた所から凍りつくわけだ。周囲の温度もかなり下がるが。
『対象を凍らせる魔法』を『触れたものを凍らせる魔法』に変える。
《雷魔法》の超級にある”プラズマ”。これを剣の形に留めたプラズマソード。
相手の金属剣と鍔迫り合いと言うか触れた瞬間相手死ぬよね。
”プラズマ”としてぶっ放すより、プラズマソードにした方が周囲の影響がないというわけだ。
まあ、最初から2のイメージからのオリジナルで剣作っても大差ないがね。

という説明をしながら各種初級魔法を武器の形にして見せてあげた。
火 水 風 土 光 闇 氷 雷の魔法が武器の形をして私の周囲を回る。
無論全部並列詠唱で同時出現。
ドヤァ。

全員呆れ顔だったけど許可貰いました。
これから暇な時は騎士に混じって【武闘】の訓練しよう。
私が少し馴れさえすれば、騎士達も全力で私と模擬戦できるしね。
万が一私に当たっても《物理無効》だから気にしないでいいよ。
私が当てた場合? ……死ななきゃ安い。死な安死な安。
即死さえしなければ直すから! 許して!

既に渡してあるヘルムート隊長以外にお肉渡して撤退しました。
そしてこれから訓練に戻るヘルムート隊長に付いて行って早速訓練です。
お金は当分困らないし、しばらく訓練入り浸るか。
衣食住が確保できたから後は戦闘面の慣れ。こればっかりは経験が必要だ。
この世界物騒だからね。
殺してでも奪い取る! をされる前に戦闘スタイルを確定しておかないとね。
私が死ねるのかは分からんが。

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