転生先は現人神の女神様

リアフィス

04 王都へ

さて、王都へ行くのは良いがどうしようか。

国王や貴族か……。
正直相手するのは面倒だが、立場上難しいと思う。
となると最初は国王へ挨拶した方がいいかな? 
身分で言ってしまえば確実に私の方が上だろう、女神なんだから。
そうなるとお前が来い。になってしまうんだが……。
でも国に住まわせてーと言う状態なのだからこちらから行くべき?

……王政なんか知らんわ!
まあ、最悪人の決まりなんぞ知らんで突っぱねれば?
いや、人の国で暮らすのに人の決まりなんぞ知らんとかものすごいな。
むむむ……。

とりあえず、『神』として崇められたりするのは勘弁。だからこそ西のアクウェス法国に行かなかったわけで。
王都行って冒険者登録してお金稼いで土地買って暮らす。
これじゃダメですかね。
ダメ……ですかね?

これは考えても無駄だな、うん。
王都について向こうがどういう反応を示すかで決めよう。

後は女神になったので、気をつけないとな色々と。
主に口調とか口調とか仕草。
わたし、わたくし? あたい……はないな、うん。
うん、わたしでいいや。

仕草に関しては頑張るしか無いなぁ……。ロールプレイ的なノリで頑張る?
そのノリで頑張るしか無いか。方向性は無理しても自爆するだけだから無理はしない。王族との関係次第では王女いるだろうし研究させてもらってもいいか。

とりあえず冒険者登録してお金稼ごう。
そしたら家と言うか土地買ってそこに住もう。
私の強さなら稼ぐのは楽なはず。
第一目標はこれだな!
冒険者登録してお金を稼いで土地を買う!
よし、決まった。

《思考加速》便利だな……。
思考速度の上昇っぷりがヤバイ。何倍かは知らんが。
神様って凄いなー。うん、でも未来は分からないのね。

あー、そうだ。使いやすい魔法を調べておかないとダメか。
水、風が安定? 火はやっぱ使いづらいだろうなぁ。
土はちょっとなぁ。となると水、風、氷、雷が良いかな?
雷は人間に使ったら即死しそうだが……。

個人的に氷が好きだから氷だな!
ただ無力化するなら風、見た目的にも効果を求めるなら氷でいいか?

……にしても向かい風がうざい。
《風魔法》で弄る? あー、風除けの結界とかできないかな?
むー、風も物理扱いかな? そうなると物理結界張れば良さそうねぇ。
飛行機みたいな形で物理結界を自分に……よし。問題解決。

いや、待て待て。そういえば肝心の自分の姿をちゃんと確認してない。
鏡なんか無いから、氷で映せばいいかな? どれどれ……。

こ、これが自分か……。凄まじい破壊力。盗賊ホイホイ?
お尻まであるスプリンググリーンのストレートロング、もみあげ部分が肩ぐらいまである。
よく見るとなんか輝いてる気がするのは気のせい。きっと気のせい。髪を動かすと火の粉のように目と同じ色の光が出てる気がするのは気のせい!
超高魔力所持者の証だっけか……。
目は……ジト目とまではいかないが近いか?
瞳が綺麗な紫だ。私の好きな色じゃないか。
なんだっけ? 確かウェブカラーでインディゴって言ったかな。普通インディゴって言うと青だけど、ウェブカラーだと紫なんだよね。
宝石……と言うよりは水面を眺めているようで吸い込まれそうだ。潤んでいる? 濡れている? と言うより軽く光ってない? 魔眼の影響か!
肌は白く、口は小さくて桜色。輪郭は童顔だ。丸っこい。
《真実の魔眼》のポップアップを見ると、身長は132センチ。
ポップアップがものすごいゲームっぽい。
身長の割には無駄に良い体してますね。なんという肉付き……。
声は微妙に低めで落ち着いた感じ。これ成長したらどうなるんだろうか。
我ながら末恐ろしいな。130と言うと大体10歳ぐらいだったか?
20になる頃には声ももうちょい低くなってるかな?
1番気になるのは胸だがな。10歳なのに腕組むと乗るんだ。どうなるんだ?
まあ、今は置いておこう。服装が白いドレスのような物で体のラインが分かる。
背中の翼が3対6枚。真ん中の2枚が黒、上下の4枚が青みがかった白。
広げるとかなり大きい。大体2メートルはありそう。明らかに自分よりでかい。
翼を畳むと青白い翼に黒のラインが入っている大きな1つの翼に見える。
正面から見ると大きな青白い翼だが、背中から見ると黒いラインが入ってるように見える。翼も髪と同じように火の粉の様な物が見える気がするが……。
私の魔力光は目と同じ暗い紫か。
軽く光ってると言う問題が見つかった気がするが、自分の姿の確認はした。

今度こそ快適な空の旅と参りましょう。

・・・・・・
・・・


はて、これはどうしたものか。
とりあえず高高度に移動して、様子見しようかな?
高高度にて魔眼でゆっくり観察。
少し前に見た時は平和その物だったのに、なんで今魔物と戦ってるのか。
いったい何があったんですかねぇ……。
おお!? でかい魔法陣! 緑だからあれは風の上級魔法か。
【魔法】に関しては自然と分かるな。月の女神の能力かな?

まぁ、分かることはただ1つ。このまま放っとくと国がヤバイ?
人側に強いのが何人かいるようだけど、数で押されてるか。
城からも兵がバタバタ出てきてるけど……。
んー、面倒だし片付けちゃおうか。壁に被害出そうだし。
しかし、大国だけあって立派な城郭都市だ。うん、観察は後でゆっくりしよう。
片付けるとしましょうかね。

ゆっくり下りながら魔法を決める。どんなのにしようか?
属性は氷で良い。戦っている者達はランス系が主体かな?
"ランス"であそこまで行くのか。
ふむ、"アイシクルランス"で行こうか。雨の如く降らしてやろう。
そうなると……。”アイシクルランス”の魔法陣のここと……ここをこうして……。
魔力を供給する限り”アイシクルランス”を作成し、飛ばし続ける魔法陣に……。

「よし、完成」

「"アイシクルレイン"」

ドドドドドドドドドド。

……あかんこれ。うん、改変した魔法は1回試してから使用すべき。そうすべき。
ま、まぁだいぶ減ったし? 後は任せようかな。
アセッテナイ、アセッテナイヨ?

「うん、後は任せたー」

お、フリーズしてた奴らが動き出した。よしよし。
……しかし、自分の声に慣れないなぁ。前世と違いすぎる。
そんな事言ってもどうしようもないし、嫌でも慣れるしか無いんだけど。
違和感あるだけで嫌いってわけじゃないからいいけどねー。

後、他の人見て分かったけど魔力、漏れまくってるな私。
こう、隠せないかね? 小説とかでよくあるこう……あ、隠せましたわー。
完全に遮断できるが、逆に怪しそうだからこの辺の人と同じぐらいにしとこう。

よし、もう出番は無さそうだね。
翼を畳んで下りますか。

「もう出番無さそうだし王都入っていい?」
「え!? いや、えーっと」

めっちゃキョドってるけど大丈夫か。何もしないよ? 何もしてこなければ。

「できれば終わるまで待って貰えますか?」
「うん?」

別の人が話しかけてきたな。偉い人かね。
逆らう理由は特に無いし良いだろう。

「ん、分かった」
「ありがとうございます」

《思考加速》便利だなぁ……。
ふむ、とりあえず腕くんで仁王立ちして堂々としてようかな。
翼広げてもいいけどちょっとでかすぎるからダメだね。

「隊長、残りはゴブリンやオーク、ウルフのみです。後は時間の問題かと」
「ふむ、分かりました」

あ、隊長なんだ。やっぱ偉い人か。隊長の隣で仁王立ちしちゃろ。
…………。でかいな……。隊長でかいな?隊長のお腹ぐらいしか無いんだけど?
私が小さいのか、隊長がでかいのか、はたまた両方か。
いや待てよ? そもそも世界が違うんだ。平均身長も同じと言う保証がない。
…………。ここで魔眼の無駄使い!

《真実の魔眼》

ふむ、なるほど。隊長でけぇわ。2メートル近いわ。193か。
と言うか周りもでかいな。小さくても170で、でかいのだと210とかいるな。
女性も170とか180が大半だな……。
……私132cmだからな。つまり両方だったか。

193cmの隊長の隣で腕くんで仁王立ちしてる132cmの女の子の図。
うん、微笑ましいなぁおい!
私は女神、私は女神。小さいだけで幼くはない。私は女神……。
よし、考えるのはよそう。

ちなみに隊長の名前はヘルムート 第1番隊隊長のようだ。
職業が軍人。称号が1番隊隊長。
《真実の魔眼》は高精細分析だから便利だね。
人相手だと名前、種族、職業、身分、称号、所持称号、状態、スキルが分かる。
普通の分析だと所持称号、状態、スキルは分からない。
スキルだと《分析》、《精密分析》があるけど魔眼は《精密分析》になる。
ただ、《真実の魔眼》の高精細分析は妨害系魔法すらガン無視して見れる。
『真実』を見るからかな? まあ、性能が良い分には文句はない。

「隊長! 片付きました!」
「冒険者の諸君! いつも通り入る前にギルドカードを提示して下さい!」
「ういーす」
「忘れたら今回の報酬は出ませんよ! 忘れてくれると嬉しいですね」
「冗談キツイぜ隊長さんよ」

冒険者達と隊長が話してる。結構気さく。
それはそうとギルドカードまだ持ってないんだけど?

「ギルドカード無いんだけど?」
「……お嬢さん冒険者じゃないのか?」
「王都に着いたら教会行ってステータスリングと冒険者登録しようかと思ってたんだけど、なんか戦ってた」
「ふむ、王都に入るには身分証があるとスムーズなんですが……」
「ないね!」
「そ、そうですか。冒険者の方を頼みますよ。私はこのお嬢さんを見ます」
「はっ! 処理もしておきます」
「ええ、お願いします。で、お嬢さん名前は?」
「ルナフェリア」
「ルナフェリアですね。出身は?」

……どこだ? どこだろうね?

「……知らん!」
「え、出身。生まれた所は?」
「知らん。しいて言うならこの国の北の森」
「北の森……? まさか聖域の森ですか!?」
「この国に繋がってる川辿って来たからね」
「あそこは妖精や精霊、聖獣で外側に魔物や魔獣がいるぐらいのはずですが……。お嬢さん種族は? もしかして天使じゃないですよね?」

「んー?」

天使……なのか? でも種族女神になってたな。

「まあ、これに触ってくれれば分かるんですが……」

何この玉。

「名前、種族、性別、年齢、職業、身分、称号を表示する魔道具です。どこの街にも門に置いてあると思います」
「ほーん」
「ほーんって」

ステータスボール レア
名前、種族、性別、年齢、職業、身分、称号を表示する。
どこの街にも置いてある。村にはない。

ふむ、嘘ではないと。このタイミングで嘘つく意味も無いだろうけど。

「さあ、見て驚くが良い」

そう言いながらぺしっと玉に触る。

「何言ってるんだお嬢さ……!?」

おーおー、固まった。こういうの見てる分には面白いね。性格悪くなりそうだ。

「ヘルムート隊長どうしたんです?」
「…………」
「隊長?」
「あ、ああ、ハンネ隊長か。いや、その、な」

ニンマリしてしまう。頑張れヘルムート隊長。

「どうしたんです?」
「こんな時どうすればいいんだろうなぁ……」

この流れは……!

「笑えばいいと思うよ?」
「ハッハ」

めっちゃ顔引き攣ってるわ。面白い。

「隊長が2人して何してんだ?」
「ああ、ヨハン隊長。ヘルムート隊長が変なんですよ」
「ふむ、そうか。お前達を巻き込めばいいんですね?」
「何ですかいきなり」
「この嬢ちゃんはさっきの?」
「ええ、そのお嬢……お嬢さんがですね、王都に入りたいけど身分証が無いってんで触れてもらったわけなんですが」
「ステータスボールですね?」
「まさかの盗賊とか?」
「だったらさっさと捕まえておさらばで良かったんですがねぇ……。まぁ君達も見れば分かります。つうか見ろ」
「なんなんだよ……消えてんな」
「……消えてますね」

ふむ、時間で勝手に消えるのか。

「また触ればいいのね?」
「ええ、お願いします」
「ほれ」

ぺしっ。固まった固まった。いや、これ面白いな。

「くすくす」
「楽しそうですね……」
「思ったより楽しい」
「他人が取り乱してると自分って落ち着きますよね」
「そうだね。なんでだろうねあれ」
「ふーむ……」

ヘルムート隊長が思考の渦に囚われた。そっとしとこう。
新たな犠牲者は……。ヨハン隊長って言ってたな。2番隊の隊長か。
ハンネ隊長は魔法師団の隊長か。

「これ、まじか?」
「ステータスボールの表示が嘘だった事は見たこと無いわね……」
「つーことは、あの嬢ちゃんが……?」
「そういうことになるわね……」
「まぁだとして、だ。どうするんだ?」
「お城に連れて行くしか無いんじゃない……?」
「ふむ、それでいいか? ヘルムート」
「まあ、それしか無いでしょう……」

やっぱそうなる? 私的には放っといてくれればいいんだが……。
でも放っといて下さいで神様放っとけないよねー。
これだけは言っておかないとな!

「国のために動くつもりはないよ?」
「うん?」
「ふむ?」
「ええ! 動いてくれないんですか!?」

はっは。危ない危ない。

「私は冒険者としてこの国で暮らすだけ。とでも思っとけばいいよ? 私の『神』としての仕事は別にあるし、それに関してはこの国である必要はない」
「ど、どうします?」
「どうしますって聞かれてもなぁ」
「国王様に丸投げで良いでしょう」
「んだな。隊長とは言え所詮騎士だからな」

確かにそうだな?

「そうだねー。じゃあ王様と話すかねー」
「では我々がご案内致します」
「うむー」

やっと王都に入れる! 北の森から流れてる川を分断して張り巡らせてるのか。
分断してるから流れも穏やかと。川がかなりでかかったから、まだまだ余裕がありそうだ。

「城へはここから船で行きます。各門へすぐに兵を送れるように一般が使用禁止の水路を使用します」
「ふむ、さすが水の都か。水運が主流?」
「ええ、基本的に船ですね」
「動力は何使ってるんだい?」
「動力は複数ですね。手漕ぎや《風魔法》、《水魔法》の3通りです。手漕ぎは最終手段ですがね……」
「魔法は便利だねぇ」
「ですね」

てくてくと隊長3人について歩いて行くと、前方に大きな船が停まっている。

「すまない君達。城の客人です。降りて欲しい」

せっかく乗ったのに降りるのか。城の客人となると……そうなるか。私の立場もあるし。だが、そんな面倒な事はさせん。

「降りる必要はないよ。まだまだ乗れるじゃないか」

翼を広げふわっと船に乗り込む。……君達? なんでフリーズしてるんだい?
まあいい。船首行こう。

「し、しかし!」
「私がいいと言っているんだ。いいじゃないか。責任は私が取るからさっさと行こう。騎士達もさっさと帰って休みたいだろう?」

こういうのは多少強引に限る。

「……分かりました。さっきも言った通り城の客人だ。丁重に扱うように」
「「「はっ!」」」

……かっこいいな! 本物の騎士達だ! しかも1番隊と2番隊と言う事はエリート達だろうし。近衛は城守らないとだからここには居ないのかな?
ま、それはいいとして。
聖域からの川をそのまま使っているだけあってものすごく綺麗な水だな。底が普通に見える。魚も結構泳いでるな。……この川魚だと臭みも無さそうだ、塩焼きしたい。

……ルナは知らない。
後ろにいる騎士達が、船首から魚を眺めて頬を緩めているのを微笑ましいく見ているのを。
そして騎士達も知らない。ルナが旨そうだと思っているのを。
決して、『わ~、お魚さんだ~』などとは思っていない。
そんな時期は80年ぐらい前に過ぎた。ただ旨そう、それ一択である。


真上から薄っすら町並みを照らす月光をキラキラと反射させる川、ゆっくりと静かに進む船の上。水の流れる音を聞き、船に揺られながら過去を振り返り内心頭を抱える者が1人。船首で仁王立ちしながら、頭を抱えてしゃがみ込みたい衝動を堪える。なぜそんな状態かと言うと、これに尽きる。

口調がブレまくってやばい……!

どーしようかねぇこれ。お? 待てよ……?
今ってまさに見た目は子供、頭脳は大人! めいたn……やめよう。
そもそも王政の世界だ。王が黒って言ったら白だろうが黒だ。
警察もクソもねぇ。まあ、頭脳は大人どころか老人なんですがね。
……ん、ロリババアが行けるか! 行けるな!
でもあれ、実際にいたらどうなんだろう? ただ生意気な子供という評価がされそうなんだが? 背伸びしたいお年ごろ……。いや、ちょっと変わったお嬢様的な?
うーん、いっそきゃっきゃして見た目の歳相応を演じるか? 流石に辛いか?
……うん、考えるのはやめよう。なるようになるさ。お城に着いちゃったし。

おお、でけぇ!

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