2度目の人生を、楽しく生きる
89話 「”龍化”」
光に包まれた後、目を開けると、村長の家の中ではなくなっていた。
どうやら転移したらしい。 セレスとグリムも居て、2人とも辺りを見回している。 
ここは……洞窟か? 俺達が転移してきたこの場所は、かなり広い洞窟の中らしい。
壁と床は石で出来ている。 だが、この部屋はやけに明るい。
ふと上を見ると、この部屋が明るい理由が分かった。
天井に穴が空いていたのだ、かなり大きな穴だ。
あの穴があるおかげでこの部屋に光が差し、明るくなっているのだろう。
そして、この部屋には、大きな湖もあった。 
透明で、綺麗な湖だ。 
「おーい。 いつまで見てるんだ? 」
目の前の男、レイニクスにそう言われる。
俺達3人は、部屋を見るのをやめ、今度はレイニクスを見る。
「さっきも言ったが、これから7日間でお前らを強くしてやる。 何か質問はあるか? 時間はないから、簡単なやつにしてくれよな」
正直、質問したい事はかなりある。
だが、レイニクスの言った通り、俺には時間がない。
俺はレイニクスに質問する為に手をあげる。
「なんだ?」
「レイニクスさんは、何故俺達を強くしようと思ったんですか?」
セレスとグリムは知らないが、俺はレイニクスとは初対面だ。
なのに何故いきなりこんな事をしたんだ?
「お前、ルージュだったか? 村長に聞いたぜ? 大事な人を助けに行きたいんだってな」
「…はい」
「”それを手伝いたい”と、俺様が思ったからだ」
「……ありがとうございます…」
そんな理由で、見ず知らずの俺に稽古をつけてくれるのかこの人は…
本当にありがたい。
「あぁ。 んじゃ、早速始めるぞ。 まずはお前達がどれくらい強いのかを見たい」
レイニクスにそう言われ、俺はセレス達を見る。
俺もこの2人がどれくらい強いのか知らないんだよな。
「では、まずは誰がレイニクス様と戦うのですか?」
グリムがレイニクスに言うと、レイニクスは小さく笑い。
「3人でかかってこいよ。 その方が効率がいいだろ?」
そう言うと、レイニクスの元に青い光が集まり、3本の青い片手剣になった。
レイニクスはその片手剣を1本ずつ俺達に渡すと、俺達から距離を取る。
「さぁ! 好きに攻めてこい! 単独でも協力でもいいぞ!」
俺は片手剣を強く握り、2人を見る。
「セレス、グリム。 俺は2人がどれくらい強いのか知らない。 だから最初は好きに攻めよう。 それで、時間が経ったら協力して攻める」
俺の意見に賛成なのか、セレスとグリムは頷く。
「分かったわ! 」
「緊張するけど…僕頑張るよ…!」
2人共準備は大丈夫みたいだな。
「んじゃ行くぜ! 風加速!」
風加速で一気に走り出す。 そして片手剣に炎を纏わせ…
「炎斬!」
斬撃を飛ばす。 レイニクスは向かってくる斬撃を…
ーーーー右手で受け止めた。
「……は…?」
「面白い技使うんだな!」
レイニクスは右手で俺の炎斬を握り潰し、笑いながら言った。 これまでも炎斬を防がれた事はあった。
だが、今回のような事は一度もなかった。 素手で消されるなんて……
それは、俺とレイニクスの実力の違いを見せつけられてるみたいだった。
「龍神武術・ーー紅破!」
レイニクスの右側からセレスが拳を赤く光らせながらレイニクスに拳を突き出す。
だが、レイニクスはまた素手でセレスの腕を掴んだ。
「筋力が足りないな。 だが動きはよかったぞ!」
「風龍魔術・ゲイルブラスト!」
今度はレイニクスの左側からグリムが緑色の龍のような形をした風魔法を撃つ。
あれは確か…俺を助ける時にセレス達が使った魔術だな。 だがあの時よりも威力が上がっている。
だがこの攻撃もレイニクスは素手で防いでしまった。
「さて…次は俺様の…」
まだだ。
「突風!」
「うおっ」
至近距離から突風を撃ち、レイニクスを遠くへ飛ばす。
「セレス! グリム! 協力して攻めるぞ!」
そう言って風加速で特攻する。
「土龍魔術・ロックマシンガン!」
後ろから俺に当たらないように魔術が飛んでくる。
…今、ロックマシンガンって言ったか? 俺がいつも使ってる石連弾とは全然違う気がするんだが…
グリムが使ったロックマシンガンは、1つ1つの弾が大きく、それぞれ龍の形をしている。
「援護は任せて! 」
グリムがそう言ってくる。 どうやらグリムは後衛らしい。
「行くわよルージュ! 」
いつの間にか俺と並走していたセレスはそう言うと、俺を抜いてレイニクスの元へ走っていった。
……あれ、俺今風加速使ってるんだけど…
「龍神剣術・紅乱!」
セレスが片手剣で連撃する。 …あれは、ディノスが使っていた技だ。
だが、セレスの紅乱はディノスの紅乱よりキレがないように見える。
「おっと…」
セレスの連撃を、レイニクスはロックマシンガンを避けながら自分の片手剣で防ぐ。
レイニクスは今セレスとグリムの攻撃で手一杯。
今しかない。
「炎拳ッ!!」
大きな炎の拳を、レイニクスに突き出す。
炎拳には大分魔力を込めた為、そこそこの大きさになっている。
セレスは俺の炎拳がレイニクスに当たる直前に後ろに飛んだ。
「……へぇ…子供なのに凄いもんだな」
レイニクスは素手で炎拳を受け止めたが、ジリジリと後ろに下がっている。
「まだまだだ…!」
俺はさらに魔力を込める。 炎拳は魔力を込めただけどんどん大きくなっていく。
「グリム! 私達も加勢するわよ!」
「う、うん!」
「「風龍魔術・ゲイルブラスト!!」」
セレスとグリムのゲイルブラストも加わり、レイニクスの負担は大きくなる。
レイニクスの身体がジリジリと後ろに下がって行く中、ボソッと声が聞こえた。
「……”龍化”」
その瞬間、一気に流れが変わった。 俺の身体がジリジリと後ろに下がり始めているのだ。
前の方から物凄い力で押されてる感覚がある。
「なん…だこれ…!」
そして、ついに俺の炎拳が消えた。 それにより、レイニクスの姿が見えた。
レイニクスの姿を見た瞬間、俺は驚愕した。
「えっ…? 」
レイニクスの手足が、青い鱗で覆われていたのだ。
レイニクスはそのまま俺の元に歩いてくると…
「よっと…」
「えっ!?」
片手で俺の身体を持ち上げた。
「ルージュ!?」
「ルージュ君!?」
えっ、なになに!? めっちゃ怖いんだけど俺何されんの!?
まさか仕返しに殴られたり……
「そりゃあっ!!」
レイニクスは俺の事を思い切り湖の方へ投げ飛ばした。
「うわああああっ!!」
俺の身体はそのまま大きな湖に落ちる。
「冷た! ………くない?」
あれ…? 湖だからめちゃくちゃ冷たいと思ってたけど、全然冷たくない。
というかむしろ温かい…?
「きゃあああっ!」
「わあああぁっ!」
俺が湖に対して疑問を抱いていると、セレスとグリムも飛ばされてきた。
2人は俺の左右に落ちる。
「つ、冷たっ……くない?」
「…あれ? なんでだろ…?」
2人も俺と同じ疑問を抱いているらしい。
レイニクスはそんな俺達の前に立ち。
「その湖は特殊なんだ。 簡単に言うと、湯気が出ない温泉だな」
温泉!? 温泉だと!?
「あと、その水は空気に触れると一瞬で乾くから、風邪を引く心配はない」
俺は試しにその場で立ち上がる。
すると水に濡れてぴっちりと身体に張り付いていた服が一瞬で乾いた。
触ってもちっとも濡れていない。
「本当だ…」
俺はこの水の凄さに驚きながらもう一度温泉に入る。
「んじゃそのままで聞けよ? さっきお前達に見せた”龍化”の事だ」
龍化。 あの手足を鱗が覆っていた奴か。
あの状態になってからレイニクスの力が強くなった気がした。
「龍化はまぁ簡単に説明すると、身体強化だ。 あの状態の時はパワー、スピード、ジャンプ力、視力、聴力。 全ての能力が格段に上がる」
やっぱり、龍化は身体強化だったか。 …それにしても、便利すぎる力だな。
「お前達3人にはこれから”龍化”を覚えてもらう」
もしも龍化が出来るようになれば…近接戦でも有利に戦えるようになるかもしれない。
…よし! 何としてでも龍化を覚えてやるぜ!
「あ、言い忘れてた。 ルージュ、お前は龍族じゃないから、龍族の血を飲んで眷属にならないと龍族の技は使えないからな」
「…へ?」
どうやら転移したらしい。 セレスとグリムも居て、2人とも辺りを見回している。 
ここは……洞窟か? 俺達が転移してきたこの場所は、かなり広い洞窟の中らしい。
壁と床は石で出来ている。 だが、この部屋はやけに明るい。
ふと上を見ると、この部屋が明るい理由が分かった。
天井に穴が空いていたのだ、かなり大きな穴だ。
あの穴があるおかげでこの部屋に光が差し、明るくなっているのだろう。
そして、この部屋には、大きな湖もあった。 
透明で、綺麗な湖だ。 
「おーい。 いつまで見てるんだ? 」
目の前の男、レイニクスにそう言われる。
俺達3人は、部屋を見るのをやめ、今度はレイニクスを見る。
「さっきも言ったが、これから7日間でお前らを強くしてやる。 何か質問はあるか? 時間はないから、簡単なやつにしてくれよな」
正直、質問したい事はかなりある。
だが、レイニクスの言った通り、俺には時間がない。
俺はレイニクスに質問する為に手をあげる。
「なんだ?」
「レイニクスさんは、何故俺達を強くしようと思ったんですか?」
セレスとグリムは知らないが、俺はレイニクスとは初対面だ。
なのに何故いきなりこんな事をしたんだ?
「お前、ルージュだったか? 村長に聞いたぜ? 大事な人を助けに行きたいんだってな」
「…はい」
「”それを手伝いたい”と、俺様が思ったからだ」
「……ありがとうございます…」
そんな理由で、見ず知らずの俺に稽古をつけてくれるのかこの人は…
本当にありがたい。
「あぁ。 んじゃ、早速始めるぞ。 まずはお前達がどれくらい強いのかを見たい」
レイニクスにそう言われ、俺はセレス達を見る。
俺もこの2人がどれくらい強いのか知らないんだよな。
「では、まずは誰がレイニクス様と戦うのですか?」
グリムがレイニクスに言うと、レイニクスは小さく笑い。
「3人でかかってこいよ。 その方が効率がいいだろ?」
そう言うと、レイニクスの元に青い光が集まり、3本の青い片手剣になった。
レイニクスはその片手剣を1本ずつ俺達に渡すと、俺達から距離を取る。
「さぁ! 好きに攻めてこい! 単独でも協力でもいいぞ!」
俺は片手剣を強く握り、2人を見る。
「セレス、グリム。 俺は2人がどれくらい強いのか知らない。 だから最初は好きに攻めよう。 それで、時間が経ったら協力して攻める」
俺の意見に賛成なのか、セレスとグリムは頷く。
「分かったわ! 」
「緊張するけど…僕頑張るよ…!」
2人共準備は大丈夫みたいだな。
「んじゃ行くぜ! 風加速!」
風加速で一気に走り出す。 そして片手剣に炎を纏わせ…
「炎斬!」
斬撃を飛ばす。 レイニクスは向かってくる斬撃を…
ーーーー右手で受け止めた。
「……は…?」
「面白い技使うんだな!」
レイニクスは右手で俺の炎斬を握り潰し、笑いながら言った。 これまでも炎斬を防がれた事はあった。
だが、今回のような事は一度もなかった。 素手で消されるなんて……
それは、俺とレイニクスの実力の違いを見せつけられてるみたいだった。
「龍神武術・ーー紅破!」
レイニクスの右側からセレスが拳を赤く光らせながらレイニクスに拳を突き出す。
だが、レイニクスはまた素手でセレスの腕を掴んだ。
「筋力が足りないな。 だが動きはよかったぞ!」
「風龍魔術・ゲイルブラスト!」
今度はレイニクスの左側からグリムが緑色の龍のような形をした風魔法を撃つ。
あれは確か…俺を助ける時にセレス達が使った魔術だな。 だがあの時よりも威力が上がっている。
だがこの攻撃もレイニクスは素手で防いでしまった。
「さて…次は俺様の…」
まだだ。
「突風!」
「うおっ」
至近距離から突風を撃ち、レイニクスを遠くへ飛ばす。
「セレス! グリム! 協力して攻めるぞ!」
そう言って風加速で特攻する。
「土龍魔術・ロックマシンガン!」
後ろから俺に当たらないように魔術が飛んでくる。
…今、ロックマシンガンって言ったか? 俺がいつも使ってる石連弾とは全然違う気がするんだが…
グリムが使ったロックマシンガンは、1つ1つの弾が大きく、それぞれ龍の形をしている。
「援護は任せて! 」
グリムがそう言ってくる。 どうやらグリムは後衛らしい。
「行くわよルージュ! 」
いつの間にか俺と並走していたセレスはそう言うと、俺を抜いてレイニクスの元へ走っていった。
……あれ、俺今風加速使ってるんだけど…
「龍神剣術・紅乱!」
セレスが片手剣で連撃する。 …あれは、ディノスが使っていた技だ。
だが、セレスの紅乱はディノスの紅乱よりキレがないように見える。
「おっと…」
セレスの連撃を、レイニクスはロックマシンガンを避けながら自分の片手剣で防ぐ。
レイニクスは今セレスとグリムの攻撃で手一杯。
今しかない。
「炎拳ッ!!」
大きな炎の拳を、レイニクスに突き出す。
炎拳には大分魔力を込めた為、そこそこの大きさになっている。
セレスは俺の炎拳がレイニクスに当たる直前に後ろに飛んだ。
「……へぇ…子供なのに凄いもんだな」
レイニクスは素手で炎拳を受け止めたが、ジリジリと後ろに下がっている。
「まだまだだ…!」
俺はさらに魔力を込める。 炎拳は魔力を込めただけどんどん大きくなっていく。
「グリム! 私達も加勢するわよ!」
「う、うん!」
「「風龍魔術・ゲイルブラスト!!」」
セレスとグリムのゲイルブラストも加わり、レイニクスの負担は大きくなる。
レイニクスの身体がジリジリと後ろに下がって行く中、ボソッと声が聞こえた。
「……”龍化”」
その瞬間、一気に流れが変わった。 俺の身体がジリジリと後ろに下がり始めているのだ。
前の方から物凄い力で押されてる感覚がある。
「なん…だこれ…!」
そして、ついに俺の炎拳が消えた。 それにより、レイニクスの姿が見えた。
レイニクスの姿を見た瞬間、俺は驚愕した。
「えっ…? 」
レイニクスの手足が、青い鱗で覆われていたのだ。
レイニクスはそのまま俺の元に歩いてくると…
「よっと…」
「えっ!?」
片手で俺の身体を持ち上げた。
「ルージュ!?」
「ルージュ君!?」
えっ、なになに!? めっちゃ怖いんだけど俺何されんの!?
まさか仕返しに殴られたり……
「そりゃあっ!!」
レイニクスは俺の事を思い切り湖の方へ投げ飛ばした。
「うわああああっ!!」
俺の身体はそのまま大きな湖に落ちる。
「冷た! ………くない?」
あれ…? 湖だからめちゃくちゃ冷たいと思ってたけど、全然冷たくない。
というかむしろ温かい…?
「きゃあああっ!」
「わあああぁっ!」
俺が湖に対して疑問を抱いていると、セレスとグリムも飛ばされてきた。
2人は俺の左右に落ちる。
「つ、冷たっ……くない?」
「…あれ? なんでだろ…?」
2人も俺と同じ疑問を抱いているらしい。
レイニクスはそんな俺達の前に立ち。
「その湖は特殊なんだ。 簡単に言うと、湯気が出ない温泉だな」
温泉!? 温泉だと!?
「あと、その水は空気に触れると一瞬で乾くから、風邪を引く心配はない」
俺は試しにその場で立ち上がる。
すると水に濡れてぴっちりと身体に張り付いていた服が一瞬で乾いた。
触ってもちっとも濡れていない。
「本当だ…」
俺はこの水の凄さに驚きながらもう一度温泉に入る。
「んじゃそのままで聞けよ? さっきお前達に見せた”龍化”の事だ」
龍化。 あの手足を鱗が覆っていた奴か。
あの状態になってからレイニクスの力が強くなった気がした。
「龍化はまぁ簡単に説明すると、身体強化だ。 あの状態の時はパワー、スピード、ジャンプ力、視力、聴力。 全ての能力が格段に上がる」
やっぱり、龍化は身体強化だったか。 …それにしても、便利すぎる力だな。
「お前達3人にはこれから”龍化”を覚えてもらう」
もしも龍化が出来るようになれば…近接戦でも有利に戦えるようになるかもしれない。
…よし! 何としてでも龍化を覚えてやるぜ!
「あ、言い忘れてた。 ルージュ、お前は龍族じゃないから、龍族の血を飲んで眷属にならないと龍族の技は使えないからな」
「…へ?」
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